概要:
- 指数平滑移動平均線(EMA)は直近の価格データに重みを置き、売買シグナルを生成するためにデイトレードで活用される指標です。加重移動平均線(WMA)に類似しています。
- EMAは、n期間の設定を50、100、200に調整することで、長期取引にも利用できます。2本のEMAがクロスすることで、トレンド転換のサインとなる場合があります。
- トレーダーは、価格がEMAラインを下回ったタイミングでロングポジションを、上回った場合はショートポジションをエントリーすることが可能です。
移動平均線は、価格トレンドの方向性を判断するための測定ツールです。ローソク足上にトレンドラインとして表示され、n期間における資産の平均価格を示します。指数平滑移動平均線(EMA)はテクニカル分析で最も人気の高い指標のひとつで、トレンド方向やエントリー・イグジットポイントを判断する際によく用いられます。EMAは最新の価格によりウェイトを置くことで、単純移動平均線(SMA)など他の移動平均よりも価格変動に敏感に反応します。
指数平滑移動平均線(EMA)指標とは?
指数平滑移動平均線(EMA)は、直近の価格トレンドに重みをつけて計算される移動平均型インジケーターの一種であり、トレンドの確認、ダイバージェンス、クロスオーバーなどの取引戦略に利用されます。SMAと並び、EMAは取引で最も重要かつ人気のある移動平均インジケーターの一つであり、仮想通貨取引でもトップ10に入るほど使用されています。
EMAラインはビットコインのローソク足の周りを上下に動くラインとして表示されます。価格がEMAを上回れば、強気の上昇トレンドと見なされ、他のローソク足の形状で確認できればトレーダーはロングポジションをエントリーできます。逆に、価格がEMAを下回った場合は弱気の下降トレンドとなり、他のインジケーターで傾向を確認した上でショートポジションのエントリーが可能です。ビットコインの価格は、一時的に移動平均と乖離しても、必ず再びタッチし、その後上抜けまたは下抜けして取引されます。
クロスオーバー取引では、異なるn期間のEMAを複数利用してクロストレードを行います。たとえば20日EMAと50日EMAのクロスで、現在のトレンドの転換を示唆します。計算式は日々の終値とスムージングによって、過去の価格データをフィルタリングします。
指数平滑移動平均線(EMA)の発明者は?
EMAは1963年から存在しており、最も歴史のある取引インジケーターのひとつです。指数平滑化については、ロバート・グッデルとチャールズ・ホルトが著名な貢献をしています。
ロバート・グッデルは指数平滑化に特化した数学者・作家で、1963年発行の著書『Smoothening, Forecasting, And Prediction of Discrete Time』がEMAインジケーターの礎となりました。
テキサス大学オースティン校ビジネススクールの教授であるチャールズ・ホルトも指数平滑化分野に貢献しています。
EMAは元々株式や商品取引で最も活用されてきましたが、現在では仮想通貨トレーダーにも広く利用されています。デジタル取引ソフトが登場するまでは、トレーダーが手動でEMAを計算していました。
指数平滑移動平均線(EMA)の計算方法
EMAは、まずは通常の移動平均線(MA)を元に算出されます。MAは重み付けなしの終値平均なので計算が簡単ですが、EMAは前日のEMA値も用い、過去データのウェイトを徐々に減少させていきます。
EMAの計算式:
「今日」「昨日」の変数はビットコインの当日の平均価格を示します。「a」はスムージングもしくは重み付けパラメータで、通常「2」が使われます。EMAの計算は常に前日の値に依存して動的に変化します。
PhemexのデフォルトEMA期間は9で、チャート上に9日間の平均価格を計算します。
移動平均の重みは現在の平均から離れるほど低下します。直近価格に重みをかけることで、EMAはSMAよりも価格変化に敏感となり、ラインの動きが速くデイトレードのシグナルをスピーディーに捉えられます。
指数平滑移動平均線(EMA)の使い方
次に、PhemexプラットフォームでEMAを活用する方法を紹介します。
1.「マーケット」に進み、数百の取引ペアから選択します(例ではBTC/USDTチャートを使用)。ペアを開き、画面上部の「インジケーター」をクリックします。
2. インジケータードロップダウンの検索バーに「Moving Average Exponential(移動平均 エクスポネンシャル)」と入力します。
3. インジケーターを左クリックで選択し、ビットコインチャート上に適用します。
4. EMAが青いラインとしてビットコインのローソク足上下に表示されます。感度が高いため、EMAラインはローソク足の動きに密接し、サポートライン・レジスタンスラインとして変動性の高い仮想通貨マーケットで機能します。サポートは価格反転の下値、レジスタンスは反転しやすい上値を示します。
ダブルEMA・トリプルEMAとは?
トレーダーはダブルEMA・トリプルEMAを用いたクロスオーバートレードも可能です。EMAはn期間を自由に設定でき、それぞれで異なる値を出力します。例えば9EMA・20EMA・50EMA・100EMA・200EMAなど、複数同時にチャート表示ができます。
再度「インジケーター」を選択し、追加EMAを有効化。「設定」ボタンで各EMAの期間を自由に調整できます。
本例では9EMAと50EMAを使用します。9期間EMAの期間を50に切り替えれば、2本を同時に表示可能です。
ダブルEMAの設定が完成しました。水色が50期間EMA、青色が9期間EMAです。短期EMAは直近価格を反映するため、ローソク足の動きと密着しますが、50期間はより多くの過去データを平均化します。
プロのコツ: どのEMA期間を使えばいいか迷った場合、長期EMA(50期間以上)はバリュー投資向け、短期EMA(20期間未満)はデイトレード向けに適しています。
EMAを使った取引方法
EMAはトレンドトレード、クロスオーバー、ダイバージェンスなどの戦略で活用可能です。EMA単体でも機能しますが、相対力指数(RSI)、ストキャスティクスRSI(StochRSI)など他の指標と組み合わせるのが推奨されます。
EMAクロスオーバートレード
EMAはクロスオーバー戦略で買い・売りシグナルを発信するために使用されます。シグナル検出には2本以上のEMAが必要となります。例えば9期間EMAと50期間EMAで、1日足(1D)を活用すれば戦略の有効性を検証できます。
2本のラインがクロスしたタイミングで、ロングまたはショートのエントリーを検討します。
濃い青のライン(9EMA)が水色のライン(50EMA)を上抜けた場合、上昇トレンドのシグナルでロングエントリーのタイミング、逆に水色のラインが濃い青を上抜けた場合は下落トレンドとみなしショートエントリーとなります。
このクロス以降、ビットコインは4万ドルから4.8万ドルまで約15%上昇し、数日間トレンドを維持。その後EMAが減少し、弱気ダイバージェンスを捉えて売りシグナルが点灯しました。
EMAデイトレード戦略
EMAによるデイトレードは短期チャート(例:4時間足など)で、より短いn期間設定で行うと効果的です。指標単体で利用せず、RSIなどトレンド系オシレーターと組み合わせ、「買われ過ぎ・売られ過ぎ」水準を参考にしてください。
デイトレード時はRSIとEMAの組合せが有効
RSIが極端な買われ過ぎ・売られ過ぎに達したときが絶好のトレード機会となります。価格がEMAを下抜けしRSIが売られ過ぎの場合、大きなロングチャンスに。逆に価格がEMAを上抜けしRSIが買われ過ぎならショートチャンスとなります。実例では価格が3.9万ドル→4.3万ドルに上昇し、逆に買われ過ぎ時には4.3万ドル→3.9万ドルに下落しました。
要約すると「価格がEMA下抜け時はロング、上抜け時はショート」。必ずRSIオシレーターの極値と組み合わせて判断しましょう。
EMAを活用した代表的なトレード戦略
EMAは汎用性が高く、さまざまなトレード手法と組み合わせて利用できます。代表的な戦略をいくつか紹介します。
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EMA × サポート&レジスタンス
トレンド中のマーケットでは、価格がEMAまで押してから上昇(上昇時はダイナミックなサポート、下降時はレジスタンスとして機能)することが多くなります。-
例: 上昇トレンド中、価格が50期間EMAまで押した後反発した場合、トレンド継続を見越してロングエントリーの根拠になります。
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EMA × プライスアクション
ローソク足パターンやチャートパターン(三角持ち合い、フラッグ、チャネル等)とEMAを組み合わせることで、トレンドの継続や転換の確認が可能です。-
例: 上昇トレンド時、9期間EMA付近で強気の包み足が発生すれば、トレンド継続を示すサイン・買いエントリー根拠となります。
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マルチEMA戦略(トリプルEMA)
トリプルEMA戦略は、5期間EMA・13期間EMA・21期間EMAなど期間の異なる3本を利用します。すべてが同方向に揃った場合、強いトレンド発生の合図となります。-
例: 3本すべてが上方に並び発生したとき買いエントリー、下方に並んだときは売りエントリーが可能です。
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EMAを使うメリット
- 短期トレンドへの適性:EMAは価格変化への反応が速く、短期取引でのトレンド追従やエントリーチャンス把握に最適です。
- 変動に敏感:最新価格重視の計算式により、急激な相場変動時も素早く追従します。ボラティリティの高い仮想通貨市場に非常に有効です。
- トレンド転換を察知:特にクロスオーバー戦略は、トレンド転換やエントリーシグナルの特定に広く活用されています。
EMAの注意点・デメリット
- 遅行指標:すべての移動平均と同様、EMAは遅行指標であり過去の価格をもとにするため、特にボラティリティが高い局面ではシグナルが遅れることがあります。
- レンジ相場に弱い:トレンドが発生していない横ばい相場やレンジでは機能しにくく、ダマシ(フェイクシグナル)が多くなります。
- ダマシシグナル:揉み合い時に誤ったクロスオーバーやダマシブレイクが発生しやすくなります。

SMAとEMA、どちらが優れているか?
単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)はよく似た指標です。SMAはすべての過去データを均等に重視、EMAは近年の値に強くウェイトを置き、過去データの影響を徐々にスムージングしていきます。この2つは同時に表示できます。
SMAとEMAの違い
EMAはSMAより価格の変動に敏感で、ローソク足により密着します。EMA(青)はビットコインのローソク足に寄り添いトレンドに沿いますが、SMAはやや離れた位置に描画される傾向にあります。長期投資にはSMA、デイトレードにはEMAの活用が推奨されます。
通常の移動平均線(MA)指標とも異なります。MAはスムージングなしでn期間の平均のみ計算します。
MAとEMAの比較
通常のMA(赤)とEMA(青)は近似値を示すものの、MAはEMAよりローソク足から離れて描画されるため、EMAの方が感度が高いことが分かります。
まとめ
移動平均系インジケーターは100年以上の歴史を持ち、MACDなど多くの指標がダブルEMAモデルを基にしています。特に効果的な戦略はダブルEMAを用いたクロスオーバー取引で、感度の低い(長期)EMAと感度の高い(短期)EMAがクロスするタイミングが売買シグナルとなります。
指数平滑移動平均線(EMA)は、市場トレンドやエントリーおよびイグジットポイントを見極める強力なツールです。新しい価格データに重きを置く計算式のため、迅速で正確なシグナルを求める短期トレーダーに特に適しています。トレンド確認、反転サイン、ダイナミックなサポート・レジスタンスラインとして幅広い戦略に応用可能です。EMAは加重移動平均線と特に近く、どちらも最新価格への重み付けが特徴。SMAも同一期間設定なら近い値を出します。
EMAには遅行特性や横ばい相場での非対応など制約もありますが、順張りトレーダーにとっては依然不可欠なツール。出来高やRSI、ローソク足パターンと組み合わせることで取引判断の精度や収益性が飛躍的に向上します。
EMAと組み合わせて使える代表的なテクニカル指標については、テクニカル分析特集ページをご覧ください。
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