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Chiaネットワークとは?~よりエコなビットコイン~

著者: Contributor 日付: 7月 1, 2021

概要

  • Chiaは、より環境に優しいビットコインの実現を目指して設計されたスマートなトランザクションプラットフォームです。Chiaのマイニング方法は、ビットコインのPoWよりも遥かに環境負荷が少ないものとなっています。
  • Chiaには、PoST(Proof of Space and Time)アルゴリズムに加え、革新的な要素が備わっています。それは、より環境に配慮した分散型ファーミング工程、よりシンプルかつ信頼性の高い実装、金庫や支払いチャネルなどの内部トランザクションを支援する機能の3つです。

Chia

2021年5月に発表されたChia Network(XCH)は、より環境に配慮したビットコインの改良版トランザクションプラットフォームとして設計されました。現在、1トークンあたり823米ドルで取引されています。

Chiaが解決しようとしている問題について

2009年に登場したビットコイン(BTC)は革命的な存在でしたが、その中核となる技術や前提条件の一部が陳腐化しつつあります。これまでビットコインのproof-of-work(PoW)アルゴリズムとUTXO(Unspent Transaction Output)モデルは十分にその役目を果たして来ましたが、その根本的な構造の非効率性により様々な問題が生じ始めています。

まず、ビットコインの普及が進むにつれトランザクションは遅くなり、手数料が高騰しました。このスケーラビリティの欠如は、ライトニングネットワークなどの解決策にもかかわらず、長年にわたってプロジェクトの悩みの種となっており、Bitcoin Cash(BCH)のようないくつかのハードフォークを引き起こしています。

また、ビットコインのPoWアルゴリズムは、「世界中に使われていないCPUリソースが余っている」という前提で成り立っていました。しかし、汎用のCPUよりも、安価な電力を利用した使い捨てのハードウェアの方がPoW計算に優れていることが判明した結果、採掘者は大規模なデータセンターの設置に適した地域に集まってしまいました。中国はその代表的な地域の1つで、現在、ビットコインの採掘活動全体の65%を占めています。

これにより、マイニングには大規模なリソースを有する専用設備を用いることが一般的となり、ビットコインの多極分散の原則が崩れました。2014年7月には、ビットコインのマイニングプールであるgHash.IOの計算能力が一時的にネットワーク全体の50%を超え、一極化がそれまでで最も深刻な状態となりました。

gHash.IOを始めとするこれらの巨大マイニングファームは、一般の人々から規制当局に至るまで、幅広い層から否定的に捉えられています。ケンブリッジ大学が公表しているビットコイン電力消費指標(CBECI)によると、ビットコインに起因する二酸化炭素排出量は、スウェーデン全体のそれよりも多いとされています。ビットコインが環境に与える影響は、依然として暗号通貨の普及に対する最も一般的な反論の1つであり、特に中国では政府による大々的な取り締まりの理由に挙げられています。

bitcoin mining in diffferent countries出典: CBECI

Chiaの仕組み

Chiaのブロックチェーンを支える重要な技術の1つに、PoST(Proof of Space and Time)アルゴリズムがあります。このコンセンサスアルゴリズムでは、ファイルコイン(FIL)のように、「ファーマー」(Chiaの採掘者)がネットワークに自らのストレージを割り当てたことを証明しなければなりません。このマイニング手法は、実際には価値を生まない計算に電力や貴重なリソースを浪費することがないため、ビットコインのPoWよりもはるかに環境に優しいものとなっています。PoSTの他にも、Chiaには以下の3つの革新的な概念が備わっています。

  • ファーミング:PoWがその収益性を担保するには、潤沢なリソースを有する専用のハードウェア(ASIC)が必要です。これに対しChiaの開発チームは、代わりに未使用のストレージを割り当てるトークンの「ファーミング」を行うことで、より環境に優しくかつ分散化したマイニング処理が実現できるとしています。ファーミングに必要なのは、Chiaのノードソフトウェアが最初に実行する「プロッティング」処理だけで、その後はほぼリソースを消費しません。
  • Chialisp:Lispベースのチューリング完全プログラミング言語です。スマートなトランザクション開発の促進を目的として、Ethereum(ETH)のトランザクションモデルの利点とUTXOの信頼性、シンプルさ、実装のしやすさを兼ね備えるというコンセプトをもとに設計されました。本言語は、Chiaにおける許可された受信者にのみ資金を送ることができるウォレット、基盤となるハードウェアが故障した際の資金回復、アトミックスワップなどの機能の実装に使用されています。
  • カラーコイン:ERC-20規格と同様に、Chiaネットワーク上でアルトコイン、アセット、ステーブルコインの発行を可能とします。ERC-20トークンとは異なり、カラーコインは、金庫や支払いチャネルなどの内部トランザクション機能をサポートしています。また、カラーコインは保有者が「オファー」を作成することを可能にします。オファーとは、一般公開(アクセス権の配布)することのできる未完了の取引を指します。オファーにアクセスできる人がカウンターパーティの役割を担うことで、取引を完了させることができます。

Chiaの運営元について

多くの暗号通貨プラットフォームとは異なり、Chiaは上場による規制を受け入れる方針を表明しています。Chiaは、BitTorrentの創始者兼CEOとして知られるBram Cohenにより設立されました。BitTorrentは、そのピーク時である2009年に全インターネットトラフィックの43~70%を占めるファイル共有プロトコルでしたが、2017年にCohenがBitTorrentを離れ、2018年7月24日、BitTorrentはTRON財団に買収されました。CohenはBitTorrentを離れた後にChiaを設立し、現在はそのCEOを務めています。

Chiaは、Andreessen Horowitzやエンジェル投資家のNaval Ravikantなど、著名な機関投資家から投資を受けています。直近では、DeFiに適した基幹技術の開発を模索するため、2020年にSlow Venturesが主導するエクイティラウンドにおいて500万ドルの資金を調達しました。

Chiaの価格変遷

5月4日に1600ドルで上場したChia(IOU)は、一時1800ドルまで上昇しましたが、その後50%を超える急落を経験し、今日では約629ドルとなっています。ここで注意するべきは、トークンがまだ公開されていない点です。上場銘柄のIOCによれば、Chiaの資産はファーマーからの預り金から拠出されているとのことです。これらの資産は、メインネットがリリースされ次第、最終的にトークンへ変換されることになっています。

chia price

出典:CoinMarketCap

ビットコインとは異なり、Chiaのファーミング容量には上限がありません。その代わり、Chiaチームは、予測可能かつ継続的なインフレ率を採用しています。これにより、保有者間で供給に対する期待感の共有が行われ、予期せぬ事態から保有者を保護できるとされています。

また、特筆すべき点として挙げられるのが、Chiaのプレマイニングの規模です。同社 の「戦略的予備軍 」には、プレマイニング用の資産として2,100万XCHを追加したとされています。Coindeskのある記事では、発売日に同社が保有するであろう量のXCHを採掘するには、世界中の人々が取り組んだとしても21年かかると予測しています。

一方で、ChiaにはICOを実施する予定がないことに注意が必要です。COO(最高執行責任者)のGene Hoffmanによれば、トークンはあくまでChiaが所有するものであり、Chiaが上場計画を実行した場合には、適切な株主の監視のもとでのみ使用を許可するとのことです。そのため、同社が保有する実質的なXCH資産は、一種のETF(Exchange-Traded Fund)として扱うことができると考えられます。

Chiaの今後の展望

Chiaの背後には有望な技術がある一方、そのトークンは新しく、実証が殆どされていません。Chia Network Inc.は、トークンのネットワーク上で、分散型金融(DeFi)、分散型取引所(DEX)、国境を越えた決済アプリケーションの開発を推進しようとしています。しかし、直近の資金調達形態が示すように、同社はまだ初期の探索段階にあります。分散型アプリ(DApp)の仕様にトークンの追加を検討するのは、まだ先になると予想されます。

また、同社は目標であるエコシステムの確立が実現した際に、Chiaブロックチェーン(オープンソース)のソフトウェアサービスやサポートを政府、金融機関、企業、ストレージトレーダーなどに向け販売することを予定しています。加えて他方では、戦略ファンドを活用して、他の企業に安価なローンを提供し、財務活動への導入を促進することも検討しています。

一方、現在に至るまで、Chiaは「より環境に優しいビットコイン」としての役割を果たす以外に、市場での地位を確立していません。保有者の多くがビットコインを富の貯蔵庫として利用していることを考慮すると、ネットワークの用途が広がらなかった場合に、上記の提案は現実的でなくなる可能性があります。同様に、ビットコインの課題であったリソースの制約と一極化をChiaがどれだけ解決できるかについても、注視していく必要があるといえます。実際、中国ではGPUやビットコインと同様、ファーミングへの利用を背景にハードディスクの価格が高騰する現象が発生しています。

結論

長年の技術的背景を有するChiaの前に横たわる主な課題は、その提案の価値を証明することに他なりません。他の多くのトークンにおけるマイニングが高いハードウェアコスト(proof-of-work)や初期投資の必要性(proof-of-stake)を背景にアクセスできなくなる中、Chiaの試みには、コンピュータさえあれば誰でも暗号通貨をマイニングできるような世界を実現する可能性を秘めています。

暗号通貨の関係者間で従来のガバナンス構造について複雑な感情が渦巻く中、Chiaの協調的な気質は、会社が正式に公開された後の透明性とセキュリティの水準向上に寄与するのかもしれません。今後数週間、メインネットのオンライン化に伴い、相当数のトークンが市場に投入されます。投資家の皆様におかれましては、今後数週間で価格が大きく変動する可能性があることにご留意ください。


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