ペナントパターンとは?
ペナントパターンは、様々な種類の資産を取引するのに使用される継続価格パターンの一種です。本パターンは、特定の資産の価格が短期間の統合期間の後、同じ方向に大きく動き続けることを示唆しています。
本パターンの名前は、その形状に由来しています。この形状は、スポーツイベントで一般的に使用されるペナント旗の形状に類似しています。このペナントは、直前のトレンドに相当する「ポール」または「旗竿」が発端となります。その後、資産の価格がある程度の時間、価格の範囲内またはサポートとレジスタンスのトレンドラインの間で統合または取引されることで横ばいの動きが生じ、この価格帯が時間とともに減少し、下図のように支持線と抵抗線が互いに収束するときに「旗」の形が形成されます。線が収束すると、その後ペナントチャートからブレイクアウトし、直前のポールのトレンドが継続されることになります。
ペナントパターンには、強気ペナントと弱気ペナントの2種類があります。
ペナントパターン (出典:FX.academy)
強気ペナントとは?
強気ペナントは、特定の資産の価格が上昇したことで強気のポールが形成されている上昇トレンドから始まります。その後、価格の上昇トレンドは止まり、代わりに価格が下落し始めますが、価格の下落は通常長くは続かず、前回の上昇トレンドが後退するにつれて上昇します。しかし、このリトレースメントは小さく弱いため、価格は再び下落し、横ばいトレンドが形成されます。リトレースとディップの連続は時間の経過とともに小さくなり、支持線と抵抗線の収束に至ります。この需給の差が横ばいの値動きの要因となります。最終的には、ブレイクアウトが起こり、レベルが収束した地点で価格は上昇トレンドに継続します。このように形成されるペナントを強気ペナントといいます。
強気なペナントパターン(出典:IG.com)
弱気ペナントとは?
弱気ペナントは、特定の資産の価格が下落したことで弱気のポールが形成されている強い下降トレンドが発端となります。その後、価格の下落トレンドは止まり、代わりに価格が上昇し始めますが、一般的に価格の上昇は長くは続かず、前の下降トレンドに逆行するように下落していきます。強気ペナントと同様、このリトレースメントは弱く、その後価格はわずかに上昇します。こうして再び横ばいトレンドが形成され、支持線と抵抗線は圧縮され収束していきます。収束点では、ブレイクアウトが発生し、価格はより強い下降トレンドに継続します。このように形成されるペナントを弱気ペナントといいます。
弱気なペナントパターン(出典:IG.com)
ペナントパターンを見分けるには?
ここでは、参考となる強気と弱気のペナントパターンの実例をいくつか紹介します。ただし、ペナントの出現が、必ずしも価格の継続を保証するものではないことには留意する必要があります。経験豊富なトレーダーは、通常トレーディング指標や移動平均などのテクニカル分析ツールを使用して、ペナントパターンを確認します。
強気ペナントの見分け方
下の図から、強気のペナントパターンが見て取れます。今、ループリング(LRC)の価格は約2.10ドルから約3.00ドルに上昇し、上昇トレンドとなりました。その後、上昇トレンドは止まり、高値と安値が更新されるようになりました。やがて上値の抵抗線と下値の支持線が収束していき、横ばいトレンドが形成されました。通常、このような横ばいの動きをしている間は、相場には上昇トレンドを継続するという強い心理が存在します。一方、既存の買い手の中には資産を売却して利益を得ようとする人もいれば、リトレースメントを期待して資産を売却したり空売りしたりする弱気なトレーダーもいます。この例では、この横ばいの動きが終わった時点で、ポジティブな心理が優位となり、LRCの価格は上昇傾向を続け、$3.80に迫りました。
2021年11月9日から11月10日のループリング(LRC)の価格チャート(15分足)にて確認された強気のペナント(出典:TradingView)
弱気ペナントの見分け方
下図から、弱気なペナントパターンが見て取れます。この例では、ビットコイン(BTC)の価格は弱気トレンドにあり、65,000ドル付近から55,000ドル付近まで下落しました。その後、下落トレンドは停止し、安値と高値の更新が続くようになりました。やがて上値の抵抗線は下値の支持線に収束していき、横ばいの動きを形成しました。弱気ペナントの場合、横ばいトレンドでは、相場に弱気を続けるという強い心理があることを示しています。売り手の中には、相場がさらに下落する前に利益を得ようとするトレーダーがいる一方、価格が跳ね返ると考えて新しいポジションを建てる強気なトレーダーもいます。この例では、横ばいの動きの最後にネガティブな心理が優位となり、BTCの価格は下がり続け、48,000ドル強にまで下落しました。
2021年4月7日から5月4日までのビットコイン(BTC)価格チャート、4hタイムフレームにて確認された弱気ペナント(出典:TradingView)
ペナントパターンを用いた取引の基本
特定の資産の価格チャート上に強気または弱気のペナントパターンを見つけた場合、いかにして市場に参入(ロング)または撤退(ショート)するかを検討する必要があります。強気のペナントであれば、価格の上昇を見込んでその資産を購入し、ロングすることが利益に繋がります。逆にそれが弱気のペナントであれば、価格が下がることを見越して資産を売り、より低い価格で資産を買い戻すことによって、ショートをすることが得策といえます。利益を確保し、大きな損失を避ける方法としては、テイクプロフィット注文とストップロス注文があります。暗号資産市場は変動が激しいため、過度な早期トリガーを防止するため、ストップロスまたはテイクプロフィット注文はエントリー価格に近すぎない程度に設定することが推奨されます。
理想的には、統合期間前に市場が100ドル上昇または下落した場合、価格のブレイクアウトポイントの後、市場はさらに100ドル上昇または下落することが予想されます。しかし、ほとんどの場合、横ばいトレンドが終了した後は、市場が同様の値動きをすることは期待しない方が無難です。その代わり、自身のリスク許容度に従ってテイクプロフィット注文を設定しておくことが望ましいと考えられます。初心者の方は、従来の市場や暗号通貨市場でリアルマネーを使って取引する前に、取引シミュレーションプラットフォームでペナント取引をテストし、練習することをおすすめします。
強気ペナントでの取引
下図は、強気ペナント出現後の相場に参入する方法の一例です。対応する手順は以下の通りです。
- 強気で推移した後、統合期間がある強気のペナントを探します。本例では、2.10ドル前後である強気推移の開始価格に注目したものとします。
- 価格が横ばいトレンドから抜け出し、上昇する時点で注文を出します。本例では、2.95ドル付近で注文を出し、ロングする準備をします。開始価格から価格が上昇し、テイクプロフィットの価格は$0.85となります。
- 損失を限定するために、サポートレベルにストップロス注文を出します。本例では、ストップロス注文は$2.75付近で発注されます。
- リスク許容度に応じ、テイクプロフィット注文を出します。本例では、価格が強気トレンドが一時停止する前に約$0.85の同様の上昇をすると予想します。したがって、$3.75付近で利食い注文を出し、数時間後に市場でそれが達成されることとなりました。
2021年11月9日から11月10日のLoopring(LRC)価格チャート、15分足から確認したテイクプロフィット、ストップロス、強気ラン開始価格、強気ペナントへのエントリーポイント(出典:TradingView)
弱気ペナントでの取引
下図は、弱気ペナント出現後の相場から撤退する方法の一例です。手順は以下の通りです。
- 弱気相場が続いているときに、弱気のペナントを確認します。本例では、弱気推移の開始価格である64,300ドル付近に注目します。
- 価格が横ばいトレンドから脱却し、下降する時点で注文を出します。本例では、53,750ドル付近で注文を出し、ショートする準備をします。開始価格から価格が上昇し、テイクプロフィットの価格は$10,550となります。
- 損失を限定するために、抵抗線にストップロス注文を出します。本例では、ストップロス注文は$57,300付近で発注されるように設定します。
- リスク許容度に応じてTake Profit注文を出します。本例では、価格が弱気トレンドの一時停止前に減少した$10,550の半分を作ると予想します。したがって、48,000ドル付近で利食い注文を出し、市場は数日後にそれを達成しました。
2021年4月7日から5月4日までのビットコイン(BTC)価格チャート、4h時間足から確認したテイクプロフィット、ストップロス、弱気ラン開始価格、弱気ペナントへのエントリーポイントです。(出典:TradingView)
結論
ペナントパターンは、市場に参入または撤退するタイミングを決定するために使用される一般的な価格継続パターンです。強気ペナントは強気トレンドの後に発生する一方、弱気ペナントは弱気トレンドの後に発生する可能性があります。ペナントパターンを確実に識別することができれば、ペナントパターンを利用した取引は非常に有益なものとなります。取引するにはまず、強気または弱気のトレンドの後に発生する統合期間に注目します。次に、価格のブレイクアウトを待ち、ロングまたはショートします。しかし、他の取引戦略と同様、ペナント取引にはある程度のリスクが伴います。ペナントの出現は、ブレイクアウト後もトレンドが継続することを必ずしも意味しません。したがって、損失が許容される範囲でのみ取引を行い、リスク許容度に応じてテイクプロフィット注文とストップロス注文を適切に設定する必要があります。期待値の高い取引を行うには、事前にペナントパターンを他の取引ツールと組み合わせ、取引に利用する前にそれらのツールで練習しておくことが推奨されます。