QuickSwapは、現在の分散型取引所（DEX）や自動マーケットメーカー（AMM）の欠点を改善することを目的とした、Uniswapのフォークです。ユーザーエクスペリエンスはUniswapとほぼ同じです。ただし、UniswapがEthereumブロックチェーン上に展開されているのに対し、QuickSwapはPolygonネットワーク上に構築されているという違いがあります。
QuickSwap：ポリゴンのレイヤー2プロトコル
イーサリアムは、分散型アプリケーション（dApps）やスマートコントラクトの作成を可能にした最初のプラットフォームでした。このため、Ethereumには、その上に構築されるプロトコルやプロジェクトが大量に流入しました。その一方で、この流入により、ネットワークが非常に混雑することもありました。その結果、取引の遅延が発生し、dAppsやスマートコントラクトを展開するためのプラットフォームのコストが高くなりました。ほとんどの分散型取引所はERCベースのトークン取引を促進するため、小さな取引でも時間とコストがかかりました。一方、イーサリアムベースのAMMは、トークン・スワップを促進するために流動性プロバイダーの資金を使用しており、これも手数料が高騰していました。
イーサリアムネットワークのスケーラビリティとTPSレートをめぐる問題に対抗するため、近年、さまざまなレイヤー2ソリューションが登場しています。その1つがPolygonで、PoS（Proof-of-Stake）コンセンサスアルゴリズムを用いてEthereumのメインネット上で取引を確定しています。PolygonはPoSにより、1ブロックあたり65,000件以上の取引を実現しており、コストはわずか数セントです。さらに、Polygonで構築されたdAppは、Ethereumブロックチェーンネットワークに対応しています。
QuickSwapもPolygon上に展開されたdAppであり、イーサリアムベースのトークン取引を促進することができます。これにより、ユーザーはあらゆるERC-20トークンを取引することができ、これらのトークンのいずれかをQuickSwapに掲載して、リクイディティ・プールに流動性を提供することができます。
QuickSwapは良い投資なのか？
QuickSwapのメリット
- ガス代がゼロに近い：イーサリアムのガス料金は2ヶ月前ほど高くはありませんが、ユーザーはまだコストが高いと感じています。その上、EthereumのPoSへの移行が完了するまで、ネットワークは低いスケーラビリティと高価なトランザクションに関する問題に直面し続けるでしょう。QuickSwapはPolygonネットワークをベースにしているため、ユーザーはほぼゼロコストでEthereumトークンを保管、転送、使用することができます。
- 高いスケーラビリティ：イーサリアムを含むほとんどのブロックチェーンネットワークは、特定の時間帯に大量の取引やユーザーをサポートするための拡張性を備えていないため、大量導入には至っていません。QuickSwapは、これらの問題を解決するPolygonネットワークを利用し、Ethereumのメインネット・ブロックチェーンの負荷を軽減することでスケーラビリティを実現しています。また、内蔵されたPlasma技術により、Ethereumネットワークに送信する前にオフチェーンでトランザクションを処理することで、QuickSwapのユーザーに高いスループットを提供しています。
- イールドファーミングの代替となるコスト効率の高いサービスです。イールドファーミングとは、貸し借りをして利回り（または利息）を得ることを指しますが、イーサリアムを使ったイールドファーミングには、ガス代などの不快な要素があります。しかし、ポリゴンネットワーク上のQuickSwapでの取引は、ほんのわずかなコストしかかかりません。そのため、QuickSwapは、暗号投資で利回りを得るための説得力のある、費用対効果の高いレイヤー2ソリューションとなります。さらに、比較的少額の取引に高い手数料を払いたくない人にとっては、このことがDeFiのユースケースをさらに後押しすることになります。
QUICKトークンとは？QuickSwapのネイティブトークン
QUICKは、QuickSwapのガバナンストークンです。同プラットフォームでは、コミュニティメンバーに独自の仮想通貨を提供することで、不換通貨に代わる信頼性と安全性の高い即時決済を実現し、取引を行うことを目指しています。他のイーサリアムベースのトークンと相互運用可能なERC-20トークンで、ETHや他のトークンでQuickSwapプラットフォームを介して購入したり、流動性を提供したLPに報酬を与えることができます。
現在、このプラットフォームでは、0.3%の取引手数料をLPに報酬として支払っています。この手数料はさらにLPとQuickSwapの流動性プールであるDragon’s Lairに分配されます。
QuickSwapはPoSモデルを用いてコンセンサスを得るPolygon上で展開されているため、QUICKのトークン保有者は特定の期間、トークンをステークして利回りを得ることができます。さらに、QUICKトークン保有者は、QuickSwap取引所に関する様々な提案の変更や修正のための投票に自分のトークンを使用することができます。
結論
他のイーサリアムベースのDEXやAMMと比較して、ポリゴンベースのQuickSwapは、はるかに速い速度と手頃なコストでトークンのスワップを容易にします。その高いスケーラビリティと費用対効果の高い取引を可能にする能力により、このプラットフォームはERCベースのトークンを仲介業者を通さずに取引したいと考えているユーザーにとっての頼みの綱となっています。QuickSwapのTVL（Total Value Locked）は、設立からわずか数ヶ月にもかかわらず、10億ドル近くに達しています。これは、ユーザーが保有資産から高い利回りを得ることも可能な、コミュニティが管理する安価でスケーラブルなプラットフォームを、暗号コミュニティが受け入れ、採用していることを証明しています。
このプラットフォームは短期間で多くの成果を上げていますが、非常に競争の激しい環境で運営されています。QuickSwapが進化して人気が出てくれば、世界中の多くのユーザーを惹きつけることになるでしょう。その時になって初めて、QuickSwapが大量の取引を処理できるかどうかが試されることになります。
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