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MESA適応型移動平均線(MAMA)とは?

2021-07-22 04:46:30

要約

  • MESA適応型移動平均線(MAMA)とは対象となる資産の価格変動に適応する能力を特徴とするインジケーターです。

MESA-Adaptive-Moving-Averag

経済や金融市場の強みと弱みを測るインジケーターには、大きく分けて先行性インジケーターと遅行性インジケーターの2種類があります。前者は景気循環やトレンドの形成に先立って変化するものであり、後者は過去の値動きに依存するもので、ある市場や経済の過去のデータをより深く理解することができます。

移動平均線とは?

移動平均線とはさまざまな金融業界で使用される最も一般的なツールの1つであり、仮想通貨市場も例外ではありません。移動平均線は、一定期間の平均価格を示すチャート上の線であり、与えられたデータの平均値を計算して、極端な価格変動や「ノイズ」を排除したスムーズな一般的傾向を示すことを目的としています。

デジタル通貨の過去の値動きに基づいているため、「遅行性」または「トレンドフォロー」のインジケーターと呼ばれています。最も人気のあるインジケーターの一つであるにもかかわらず、移動平均線には様々な欠点があります。例えば、移動平均線の期間が短すぎると、誤った売買シグナルが増え、投資家が重要なトレンドの動きを見逃してしまうリスクがあります。

適応型移動平均とは?

そのような問題を解決するために市場の動きをより明確に把握し、市場の状況に合わせて適応することを目的とした適応型移動平均が誕生しました。適応型移動平均(AMA)は、米国の定量的金融理論家であるペリー・カウフマン氏の著書「Smarter Trading」で初めて紹介されたテクニカルインジケーターで、刻々と変化する市場の動きに合わせて調整・適応するように作られています。AMAはノイズの影響を受けにくいという特徴があり、トレンド検出に必要な遅行性を最小限に抑えることができます。

適応型移動平均(AMA)を読み取る方法とは?

AMAは、市場のトレンドに連動してスピードアップし、レンジ相場になるとスローダウンします。また、ボラティリティーが低い時には、適応型移動平均は資産の市場価格に近い値を示しますが、ボラティリティーが急上昇した時には、一般的に遅れをとります。

ama indicator資料: TradingViewにおけるBTC/USD; 適応型移動平均(AMA)

MESA適応型移動平均とは

MESA適応型移動平均(MAMA)とは、対象となる資産の価格変動に適応することを特徴とするインジケーターです。曲線を描く通常の移動平均線とは異なり、2本の移動平均線で構成されていてエッジがあり、階段状に移動します。

MESA適応型移動平均はどのように機能するのか?

MESA適応型移動平均は、MESA Software社のチーフサイエンティスト兼社長のジョン・エーレルス氏が開発したもので、高速で動く平均線と低速で動く平均線を合成して使用し、資産の価格変動に素早く対応します。価格変動率の判定には、市場の動きに合わせて方程式の周波数成分に90度の位相変化を与える線形演算子「ヒルベルト変換」を使用しています。

平均値の決定

またこのインジケーターは、次のローソク足が閉じるまで平均値を維持しており、エーレルス氏によると、平均値の落ち込みが遅いため、whipsaw取引がほとんどない取引システムの開発に利用できるといいます。さらに、MESA適応型インジケーターは周期的な性質を持っており、短期的、中期的な市場の動きを予測することができます。

市場トレンドシグナル

また、市場のトレンドの分岐点を正確に把握することができ、場合によってはトレンドリバーサルの前兆となることもあります。MESAインジケーターは、もともと波動理論と同じ分析手法を用いており、波動理論は市場のサイクルを測るために電気工学の分野で初めて導入されました。

このトレンドフォロー型のインジケーターは、商品や株式の取引で動きを見極めるためにすぐに使われるようになりました。さらに、ビットコインやその他の仮想通貨の市場が急成長していることから、MESAインジケータはもはや一般的な金融市場だけにとどまらず、デジタル資産のトレーダーや投資家に広く利用されています。

mama indicator資料Mesa Software

MAMA vs FAMA

MESAの移動平均は、2つの主要な出力を生成します。MAMAとFAMAです。FAMA(Following Adaptive Moving Average)は、最初のMAMAラインの結果であり、この2つは時間的にも同期しています。しかし両者を区別する主な要因は、FAMAがMESAラインとは異なりラグを伴った垂直方向の動きをすることです。

これにより、市場に大きな変化がない限り2つの移動平均線がクロスオーバーすることはありません。エーレルス氏によると、MAMAとFAMAのクロスオーバーは”事実上、むやみに取引されることはない”とのことです。

mesa on trading view資料: TradingViewにおけるBTC/USD; MESAインジケーター

FAMAとMAMAは他の移動平均線と同様に、市場のトレンドや反転パターンを理解したり、強い抵抗線や支持線を特定したりするために取引することができます。仮想通貨の価格は、移動平均線に接触すると跳ね返ることが多く、主要な支持・抵抗線に触れたどちらの線も、売買の重要なシグナルであることがわかります。

MAMAFAMAクロスオーバー

MAMAとFAMAのクロスオーバーは、通常の移動平均線と同様に、クロスオーバーの方向によってゴールデンクロスやデスクロスのようになります。MAMAがFAMAを下からクロスして上昇した場合、市場は強気になる傾向があり、トレーダーはこれを買いシグナルと見なすことが多いです。一方、MAMAがFAMAを上から下にクロスすると、市場は弱気のトレンドにあると考えられ、一般的に投資家がショートポジションを取る強いシグナルとなります。

MESA適応型移動平均は単体での使用に加え、仮想通貨の価格チャート上で様々なインジケーターを補完する役割も果たします。MESAと最もよくペアになるツールには、単純移動平均(SMA)や指数移動平均線(EMA)などがあります。

MESAと他の様々なインジケーターを組み合わせることで、トレーダーは市場の状況や資産価格の動向について、単独のインジケーターよりもはるかに明確に把握することができます。

以下の式は、指数移動平均線(EMA)の計算方法の一般的な式です。:

MAMA = α価格 + ( 1 – α )前日MAMA

ここで、αの値はローソク足ごとに異なり、次の式に依存しています:

α = FastLimitDeltaPhase

DeltaPhaseは実質的にヒルベルト変換ホモダイン検出の変化率であり、α値はFast LimitとSlow Limitの範囲で保持されます。

MESA適応型移動平均の開発者

MESA適応型移動平均の開発者であるジョン・エーレルスは、現在MESA Software社のチーフサイエンティスト兼社長を務めています。エーレルス氏はテクニカルアナリストとして、また電気技師として、フィールドとウェーブ、そして情報理論に精通していました。1976年に退職して個人トレーダーとなった彼は、テクニカルインジケーターを使った市場分析にすぐに魅了されました。

彼は、14日RSIのようなインジケーターの背後にある論理に疑問を持ち、ある期間が他の期間よりも有効であるかどうかを検討し、インジケーターは市場の状況に適応する必要があると結論づけました。そのためには市場のサイクルを測定する必要があると考えたエーレルス氏は、すぐにMESAサイクル測定アルゴリズムを導入し、テクニカルチャート分析にデジタル信号処理の手法を使用しました。

1978年、情報理論のセミナーでMESA(Maximum Entropy Spectrum Analysis)を発見したジョンは、すぐにそのコンセプトをトレーディングシステムで使用するためのコンピュータプログラムに落とし込みました。当初はS-100コンピュータ用に作成されましたが、後にそのソースコードを、テクニカル分析にコンピュータを使用する先駆者となるトレーダーたちに販売しました。

その後Apple IIで動作するように変換し、それ以来プログラムはコンピュータ技術とともに発展してきました。現在、MESA Software社は、金融分析の分野で最も著名な企業の1つであり、DELIDetrended Ehlers Leading Indicatorをはじめ、現在も世界中のアナリストやデイトレーダーに広く利用されている数多くのインジケーターを開発しています。

DELIは、その名の通り、この記事で取り上げた他のインジケーターとは異なり、先行性のカテゴリーに属します。つまり、市場は周期的なパターンで行動するという仮定に基づいて、市場の早期シグナルを提供するものです。 通常の市場でも仮想通貨市場でも、資産価格は人間の期待値に大きく影響され、その期待値は需要と供給に基づいて常に変化するダイナミックな性質を持っています。

Detrended Ehlers’ Leading Indicator資料: TradingView におけるBTC/USD;DELI

需要と供給のいずれかが急激に変化すると、価格は買われすぎと売られすぎの間で変動します。このような価格変動は、期待値が変化したり、繰り返されたりする自然なプロセスであり、市場全体に周期的なパターンを誘発することもあります。

ジョン・エーレルス氏の著作であるDELIは、基本的にはDSP自体からトレンド除去された合成価格(DSP)の単純移動平均(SMA)を差し引くことで算出されます。DSPは、現実の価格データの支配的なサイクルと一致しており、現在の高値、前回の高値、現在の安値、前回の安値、フィードバックなどの値を使用して、2つの指数平滑化移動平均(EMA)を生成します。トレンド除去インジケーターはトレンドが反転するポイントを予測するために使用されるため、1本分リードします。

MESA適応型移動平均の懸念点

単純移動平均、適応型移動平均、そしてMESA適応型移動平均は、基本的に同じコンセプトで機能します。しかし、適応型インジケーターは、従来のものよりも少し洗練されています。SMAとは異なり、その主な目的は、ノイズを排除し、標準的な移動平均で発生するラグを減らし、様々な取引戦略を実行するためのより信頼性の高いシグナルを生成することです。

これらのツールは、市場のユニークな側面に焦点を当てているため、独立した優れたインジケーターとして機能します。しかし、他の指標と同様に、ボリンジャーバンド(BB)、相対力指数(RSI)、オーサムオシレーター(AO)、チャイキンマネーフロー(CMF)、クリンガーオシレーター(KO)などの他のテクニカルインジケーターと組み合わせることが常に望ましいと言えます。

まとめ

すべてのインジケーターには、長所と短所があり、すべてのテクニカル分析ツールが誤ったシグナルを出す可能性もあることを理解することが重要です。すべてのエントリーを除外するためには、特に変動性の高い仮想通貨においては、資産のテクニカルおよびファンダメンタルのパフォーマンス、過去の値動き、センチメント分析などの要素が同様に重要となります。

どのような投資も、人生の貯金をつぎ込む価値はなく、消えてしまっても構わないと思える資本のみを投資することが重要です。仮想通貨は、従来の金融市場よりもはるかに変動が激しいため、仮想通貨の取引や投資を行う前に、自分で調査することが重要です。

すべての投資には何らかのリスクが伴いますが、トレーダーが仮想通貨やその他の金融市場の激動の波を乗り越えるのに役立つのが、このようなインジケーターです。アナリストたちは、テクニカル指標の限界をかつてないほどに押し広げ、さまざまな時間枠で資産価格の動きを予測する、最も包括的で洞察に満ちたツールを生み出しています。

仮想通貨業界は、この10年間で多くの人の予想をはるかに超える成長を遂げましたが、まだまだ発展途上の段階です。デジタル資産市場の機能についての研究が進めば、より高度なテクニカルインジケーターやチャート分析ツールが脚光を浴びることは間違いありません。しかし、MESA適応型移動平均の人気は高く、より複雑な分析ツールが登場したとしても、MAMAをはじめとする上記の移動平均線が廃れることはないでしょう。


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