概要
- トレードにおけるピボットポイントとは、暗号通貨や他の資産の全体的なトレンドの識別に役立つ指標です。
- ピボットポイントは決して最も人気のあるテクニカル指標ではありませんが、移動平均やフィボナッチレベルなどの他のテクニカル指標と組み合わせた場合に有用であると多くのトレーダーに認識されています。
ピボット・ポイントの定義
ピボットポイントは、テクニカル分析(主にデイトレード)で使用される指標で、暗号通貨やその他の資産の全体的なトレンドの特定を支援するのに用いられます。
株式ピボットポイントとは何なのか?
一般的に株式ピボットポイントと呼ばれている指標は、資産の日中の高値と安値の相対的な基本平均と、前日の終値との組み合わせによって計算されます。簡単に言えば、暗号通貨がピボットポイントの上で取引されている場合、市場が強気であることが推察できます。逆に、ピボットポイントを下回って取引されている場合は、弱気トレンドが継続すると推定されます。
ピボットポイントは、資産の高値、安値、前回の終値に加え、支持線と抵抗線(暗号通貨が買い支えまたは売り圧力を受けるとトレーダーが予想する箇所)も利用します。これらの線が崩れた場合、その資産の市場が強気または弱気の方向で推移していく可能性が高いことを示唆します。
ピボット・ポイントの識別方法
ピボットポイントはどのように計算されるのか?
ピボットポイントの計算は、次のような式で表されます。
ピボット・ポイント=(高値+安値+終値)÷3
抵抗線1=(ピボットポイント×2)-安値
抵抗線2=ピボットポイント+(高値-安値)
支持線1=(ピボットポイント×2)-高値
支持線2 = ピボットポイント – (高値 – 安値)
例として、火曜日にピボットポイントを計算すると仮定してみましょう。この場合、前日の月曜日から高値、安値、終値を取得する必要があります。
まず、高値、安値、終値を足し合わせます。その後、この合計を3で割り、その結果をピボット・ポイントとしてチャートにマークします。
ピボットポイントがわかれば、上記の計算式を使って2段階の抵抗線と支持線を算出することができます。
ピボットポイントの別の計算方法
テクニカル分析では、資産の始値を計算式に含めてピボットポイントを計算する場合もあります。その場合、計算式は次のようになります。
ピボット・ポイント=(本日の始値+昨日の高値+昨日の安値+昨日の終値)÷4
始値を式に組み込むことで、2つの支持線と抵抗線も変化します。
テクニカル・アナリストの中には、より複雑なピボット・ポイントのバリエーションを作成・利用する方もいますが、それらの指標は人によっては使いづらさを感じる可能性があるため、ご自身の好みに合わせて使用する指標を選択するのが良いでしょう。
ビットコインCME先物チャートに描かれたピボットポイントと関連する抵抗線/支持線
(出典 :TradingView)
ピボット・ポイント指標の使用方法
ピボットポイントはデイトレードに適した指標であり、様々な資産や商品の取引に使用することができます。しかし、移動平均やオシレーターなどの他のテクニカル指標とは異なり、静的で一日中動かないことに注意することが重要です。他方で、それによりデイトレードの取引計画を事前に確認することができるという利点もあります。
一般的に、ピボットポイントを用いたテクニカル分析では、暗号通貨の価格がその日の早い段階でピボットポイントを下回ると、その暗号通貨をショートにすることを検討します。逆に、暗号通貨がピボット・ポイントを上回った場合、ロング・ポジションを取ることを検討します。2つの抵抗線と支持線は、利益確定またはストップロスの設定のための潜在的なターゲットとして使用されます。
しかし、他のすべてのテクニカル指標と同様に、ピボットポイントは、明確に定義された取引戦略において、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することが最善です。例えば、支持線や抵抗線がフィボナッチ・レベルと一致している場合、その信頼性は強化され、より有効であることがわかります。同じ原理はよく使用される移動平均にも当てはまります。
ビットコインCME先物1時間足チャートに重ねられたピボットポイント(オレンジ)とフィボナッチレベル(白)
(出典:TradingView)
ピボットポイントをフィボナッチレベルと併用した例
上記のチャートを例にとると、ビットコインCME先物の価格は、51,000ドルにフィボナッチレベルが存在するため、比較的高確率で現在のピボットポイントである52,000ドル付近まで上昇することがわかります。これは、51,000ドルから52,000ドルの範囲で、買いまたはロングポジションを取りたいトレーダーが熱心になる可能性があることを意味します。同時に、弱気なトレーダーの場合は、2番目のサポートレベルである42,000ドル付近でショートポジションを決済することを検討していることが推察できます。
結論
ピボットポイントはテクニカル分析で使用される簡易な指標で、トレーダーがデイトレードの戦略を事前に計画することを可能にします。計算がとても簡単であるため、取引に慣れていない方でも利用することが可能です。
ピボットポイントはあまり人気のあるテクニカル指標ではありませんが、多くのトレーダーは移動平均やフィボナッチレベルなどの他のテクニカル指標と組み合わせることで、その有用性を認識しています。
一方、ピボットポイントは本質的に予測的なものであり、正確性を保証するものではないということにも留意して下さい。他のすべてのテクニカル指標同様、利益を生むことを保証するものではありません。