
サークル(Circle)は本日、2026年第2四半期の決算を発表します(8月5日朝)。同社はUSDC(米ドル連動型ステーブルコイン)の発行元であり、主な収益源はトークンを裏付ける米国債リザーブの利息です。8月3日(月)、モルガン・スタンレーは同社株の目標株価をストリート最低水準の38ドルに引き下げました(CoinDesk調べ)。一方、21人のアナリストの平均目標株価は120ドル近辺を維持しています。どちらかの予測が大きく間違っており、本日の決算発表は今四半期でもっとも明確な答えを両陣営に突きつける場となるでしょう。
決算報告と経営陣によるウェブキャストは8:00 AM(米国東部時間)に行われる予定ですので、本記事をご覧になる頃には数値がすでに公表されているかもしれません。以下は発表前の事前整理であり、両陣営が主張するポイント、そして決算発表で焦点となる論点をまとめました。
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CRCL決算直前の状況
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状況解説
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株価
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約62ドル。2026年に入って約30%下落(Benzinga)
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7月のパフォーマンス
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会社史上最悪の月(Benzinga)
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空売り比率
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決算直前に増加中(Benzinga)
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第2四半期収益コンセンサス
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プロバイダーによって異なるが約7億1,400万~7億4,400万ドル
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第2四半期EPSコンセンサス
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プロバイダーによって0.16~0.18ドル
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決算ウェブキャスト
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本日8月5日8:00 AM ET、Circle投資家情報ページより
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史上最悪の月を終えた銘柄
Circleの株式取引履歴は2025年6月のIPO以降しかありませんが、7月は同社史上最悪の月となりました。Benzingaによれば、空売り勢は本決算発表を前に持ち高を増やしています。ただし、傷は先月だけではありません。同株は今年、1日で2度の急落を経験しています。1度目はステーブルコイン利回り禁止による20%下落(当サイトで速報解説)。2度目は6月30日、Open USDコンソーシアム計画発表時の17%急落(当サイトで詳細解説)。
その一方で、収益目標も油断できません。コンセンサスはプロバイダーによって約7億1,400万~7億4,400万ドルで分かれ、Benzinga集計では7億1,370万ドルとEPS0.16ドル、ZacksとYahooでは7億3,470万ドルで約11%成長、Moomooではトップの7億4,400万ドル/EPS0.18です。ひとつのプロバイダー値のみを基準にすると、場の反応を読み違えやすいのでレンジ感で捉えるのがトレーダーの鉄則です。
ここまで売り込まれた銘柄が、ここまで見解が割れる決算に臨む構図は、リリース後の反応が実態以上に大きく動く典型パターン。そのため、いま最も注目されるのはウォール街の強弱両サイドのコールです。
モルガン・スタンレーの38ドルターゲットの根拠
モルガン・スタンレーは8月3日にレーティングを「アンダーウェイト」に格下げし、目標株価を106ドル→38ドルに大幅カット(CoinDesk調べ)。ストリート最安値です。根拠は供給量。USDC発行残高は第2四半期末で約730億ドルと、第1四半期末の770億ドルから減少し、Circleの収益はこの浮動資金に連動します。トークン発行数が減れば、利息を生むリザーブ額も減り、金利収益に支えられた成長倍率が弱まる──これが同社株下落の理屈です。
同レポートではさらに、「エージェンティック・ペイメント(AI商取引)」に関連するUSDCの活動も、実際は日額4.19万ドル程度に過ぎないとして、AIコマース文脈の盛り上がりも現状は誤差にすぎないと断じています。
そして発表48時間前という絶妙なタイミングで最低水準の目標株価を出したことで、「強い決算なら即座に無効化され、弱ければ全メディアが38ドルを参照する」挑発的な意味合いも帯びています。
強気派の論拠─82ドル・120ドル目標の世界
TD Cowenは逆張りで「買い」カバレッジを開始、目標株価82ドルを設定。21名アナリスト平均の120ドルも現状から約2倍の上昇余地を想定。強気派はモルガン・スタンレーが描くシナリオと全く別の会社像を見ています。
強気派の主張はリザーブを軸とする事業基盤の拡大。Circleは2026年、プロダクトの幅を広げました。例えば、機関投資家向けDeFi担保「cirBTC」をイーサリアム上で展開し、韓国の銀行・取引所とのUSDC導入協議も推進中。しかし、四半期単位での収益にはまだ大きく表れていません。これら全てが120ドル目標を正当化する「オプショナリティ(将来の成長余地)」であり、今日の決算説明会はパイプラインの実在性を証明する場となります。
さらには競合リスクも全ての業績予想を左右します。Open USDコンソーシアム(Visa・Mastercard・BlackRockが支援するプロジェクト)は、リザーブ利回りを導入企業に還元する設計。強気派は「脅威は既に織り込まれており株価は30%下落済」と主張。一方、弱気派は「本格的な影響はこれから」と警告。本日の決算で明らかになる供給量がどちらの主張を裏付けるか注目です。
両陣営が説明を求められる逆説「62%マーケットシェア」
弱気派のストーリーに逆らう数字が一つあります。USDCは7月、ステーブルコイン取引高で8490億ドルに達し、市場シェア62%を獲得(CoinGape調べ)。USDTの5020億ドルを大きく上回っています。供給量が減少する一方でマーケットシェアが拡大――まさに今回決算の焦点となる「矛盾」です。
この2つの数字は測っているものが異なります。取引量(ボリューム)はトークンの「流通速度」、供給量(サプライ)は「USDCに退避する米ドル総額」。Circleの収益源は後者のみです。浮動資金の絶対額が減っても取引速度が上がれば「決済インフラ」としての勢いは増しますが、利息収益は細る構図。リアルタイムの供給量はCoinGeckoのUSDC市場データで常時チェック可能です。
どちらの数字に軍配が上がるかは、USDCが「流動性決済基盤」へ成熟するのか、単に取引に使われているだけで残高が減り続けるのか次第。前者なら遅れてでも残高(float)は戻りますが、後者ならどんなにボリュームシェアが高くても収益は減る一方。本日発表のサプライ数がこの問いへの答えとなります。
Circleのビジネスモデル――稼ぎ方の仕組み
USDCとは「無利息でCircleに預ける短期融資」のようなものです。ホルダーはドルをCircleに預け、無利息のトークンを受け取ります。Circleはそのドルを短期米国債などに投資し利息を享受。もしステーブルコインの仕組みに馴染みがなければ、当社ステーブルコイン解説をご参照ください。
この構造で同社は2つの変数に対するレバレッジを持つビジネスです。1つめが「金利」。Fedはケビン・ウォッシュ議長の下で3.50~3.75%を維持し、リザーブ利回り(reserve yield)は高止まり。本記事の別特集(原油急落/ホルムズ合意動向)ではマクロ要因の動向を追っています。直近Q1のCircle業績は売上6億9,400万ドル(前年比20%増)、リザーブ利回り3.5%でした。
2つめが「取り分」。リザーブ利息の大部分は、ユーザーにUSDCを届ける配信パートナーに支払う仕組み。そのため730億ドルの総リザーブが全て株主利益として残るわけではありません。供給量が減ってもパートナーへの支払は一定で、利益率は両端から圧縮されます。これがモルガン・スタンレーのモデルに組み込まれた「静かな要因」であり、多くのプレビュー記事が見落としがちなポイントです。
決算発表で注目すべき論点
リザーブ利回り:Q1の3.5%が基準。今回も近い水準を維持すれば金利による追い風が続きます。利回り低下が始まれば、利ざや縮小が収益を圧迫しているサインです。
配信コスト:リザーブ収益のうち、外部パートナーへの配当比率に注目。供給量減少とともに比率が上がれば、弱気派シナリオが加速。もし効率改善が示されれば利益率が劇的に改善します。
供給量(float)の推移:6月四半期末の残高が弱気派の核論点。7・8月の数字やコメントで縮小が続くのか、ボリューム回復とともに反転したのかが見どころです。
これら損益項目の背景として、本日決算を発表するCFOジェレミー・フォックス=ジーンの同日独占インタビュー記事も併せてご覧ください。ステーブルコイン事業の財務責任者の実務が分かります。
よくある質問
Circleの決算発表はいつ?
Circleは2026年第2四半期(Q2)の決算を本日8月5日に発表。経営陣ウェブキャストは8:00 AM ET。米国市場の寄付き前にリリースされるため、大半の個人投資家がリアクションする時点ですでに株価は材料を織り込んでいる可能性があります。
モルガン・スタンレーのCircle株目標価格は?
モルガン・スタンレーは38ドルをターゲットとし、8月3日(CoinDesk)に「アンダーウェイト」格下げ・目標値106ドルから大幅引下げ。ストリート最低水準です。現状約60ドル台前半からみて、さらに40%近い下落余地を示唆しています(弊社試算)。
なぜ2026年、USDC供給量は減っている?
供給量縮小は、償還(トークン→米ドル交換)が新規発行(ミント)を上回る時に発生します。最近は取引量(ボリューム)が増えても、USDC保有残高を減らすユーザーが増加。これは「取引用需要は伸びているが、余剰資金としてのUSDC退避は減少」している構図。加えて他の運用手段(金利収入が得られるオプション)が魅力ならUSDCは選ばれにくくなります。
Circle株価が下落した場合、USDCへの影響は?
USDCの裏付け資産はCircle株価とは無関係です。USDCは分別管理された現金・短期国債で常時フルバックされており、株主にリスクが及んでもUSDCのペッグ(1ドル価値維持)には影響しません。Circle株価下落は収益力への懸念に過ぎず、トークンの仕組みは独立運用されています。
結論まとめ
Circleは今朝の決算ウェブキャストで、「空売り拡大」「ストリート最低目標株価」「それでも株価倍増を見込む強気予想」と“三つ巴”の状況。もしリザーブ利回りがQ1水準を維持し、残高サプライが安定するなら弱気派の主張(供給量縮小→収益減シナリオ)は瓦解し、空売り筋が踏み上げられる展開も。一方、配信コストが増え続け経営陣から「浮動資金減少が続く」といったコメントが出れば、モルガン・スタンレーのシナリオが主流化します。発表8:00AM ETのヘッドライン収益ではなく、必ず「供給量についてのコメント」に注目してください。他の全指標はサプライ動向の下流にあるからです。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融・投資助言ではありません。暗号資産取引には重大なリスクが伴います。必ずご自身で十分な調査・判断のうえ、お取引ください。






