
スポットXRP ETFとは?
スポットXRP ETFとは、リアルなXRPトークンを実際に保有し、そのETFの持分(株式)をNYSEやNasdaq、Cboe BZXなど米主要証券取引所に上場する伝統的な上場投資信託(ETF)です。ETFの1口を購入することで、暗号資産ウォレットや秘密鍵の管理、取引所セキュリティへの不安など、現物XRPの直接保有で必要な手間を省きながらXRP価格へ連動した投資が可能になります。
ETFは、保有する実際のXRPを主にCoinbase Custodyなど機関レベルのコールドストレージで管理し、毎日の純資産価値(NAV)算出にはCME CF XRPドル・リファレンスレートなど第三者の価格指標を使用します。株価はXRP市場価格とほぼ連動し、発行体ごとに年率0.19%~0.75%程度の運用管理費のみが差し引かれます。
規制への道のり(2020年~2025年)
2020年~2023年:SEC訴訟と部分的勝利
XRP ETFまでの道のりは、2020年12月にSECがXRPを未登録証券と主張し訴訟を起こしたことから始まります。その結果、多くの米国取引所がXRPを上場廃止しました。大きな転機は2023年7月のトーレス判事による「取引所でのプログラム的販売は証券には該当しない」との判決です。
2025年8月:最終和解と非証券確認
長期の交渉の末、2025年8月7日に結論を迎えます。リップル社は1億2500万ドルの民事制裁金を支払い、双方が上訴を取り下げ、裁判所は二次流通でのXRPは証券に該当しないとの判断を恒久化しました。
2025年9月:新SEC高速トラック基準導入
和解から3週間後、SECは暗号コモディティに基づくETPの新たな一般的上場基準を導入。これにより、一定の要件を満たしたS-1修正申請は20日後自動的に有効となり、ビットコインやイーサリアム現物ETFで長年発生した個別の審査遅延がなくなりました。
XRP ETF一覧 — 米国で稼働中・申請中の全現物ETF
(2025年11月21日時点)
| ファンド名・特徴 | ティッカー | ローンチ日 | 取引所 | 手数料 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| REX-Osprey XRP ETF 初の米国上場 |
XRPR | 2025年9月18日 | Cboe BZX | 0.75% | 米国初の現物XRP ETF。2025年10月時点で約1億ドルのAUM |
| Canary Capital XRP ETF 世界記録の大型デビュー |
XRPC | 2025年11月13日 | Nasdaq | 0.50% | 2025年単日ETFデビュー世界記録(出来高$59M)、約2億5,000万ドルAUM |
| Amplify XRP 3% Monthly Premium Income ETF インカム重視 |
XRPM | 2025年11月18日 | Cboe BZX | 0.75% | カバードコール戦略。月間配当目標3%(年率36%目安・相場横ばい時) |
| Franklin Templeton XRP ETF 最低コスト |
EZRP | 2025年11月18日 | Cboe BZX | 0.19%(AUM10億ドル到達まで無料) | 最安クラスの現物暗号ETF。初期AUM目安:1.5億~2.5億ドル |
| Bitwise XRP ETF レアな一文字ティッカー |
XRP | 2025年11月20日 | NYSE | 0.34%(初回5億ドル分無料) | NY証券取引所で「XRP」単一ティッカー取得。110万XRP(約227万ドル)で初期組成 |
今後の申請予定
Grayscale、21Shares、ProShares、WisdomTreeなどの追加ETF申請も最終審査段階にあり、大半のアナリストは2026年第1四半期末までに95%以上の承認確率と見ています。SECの継続的モニタリングが条件です。
最近のXRP ETF動向・主要マイルストーン
11月は新SEC基準による自動効力S-1提出が連日話題となりました。主なトピックはこちら:
- Canary Capitalが2025年世界記録を樹立(初日出来高59百万ドル):11月13日のXRPC上場が今年最大級のETF新規デビューとなり、流入額2億4,500万~2億5,000万ドルを記録。
- Bitwise、NYSEで希少な一文字ティッカー「XRP」を取得:インスティチューショナルでの信頼感を示し、初期シードや手数料無料施策で成長を後押し。
- Franklin Templeton、スポット暗号ETF史上最低運用手数料(0.19%)でローンチ:EZRPはAUM10億ドル到達まで手数料無料、同社の総運用資産1.5兆ドルの後ろ盾。
- 11月前半で8,000万XRP超がCoinbase Custodyへ送金:オンチェーンデータが機関流入を裏付け。さらなる新ETF上場前に流動性拡大に繋がる。
RippleのBrad Garlinghouse CEOは、「ターキー・トロット」についてX上で言及し(米感謝祭直前の上場ラッシュを指す)、現在の勢いを強調しています。
創出・償還メカニズムがXRP流動性を強化
ETFの創出・償還メカニズムは、ETFの取引フローと現物市場を直結します。ETFプレミアム発生時には認定参加者(AP)が市場でXRPを購入し、カストディアンに預けることでETF新株を受け取ります。逆に償還時はXRPへ換金します。このアービトラージによりETF価格は現物XRPとタイトに連動し、スプレッドや変動性も縮小。2025年9月以降、XRPの30日実現ボラティリティは約28%低下しています。
XRP ETF投資のメリット
XRP ETFは、伝統的投資家に暗号資産エクスポージャーを簡素化します。主な利点は以下の通り:
- IRA/年金口座対応:IRA、401(k)、証券口座で取引可能。税制優遇のまま暗号資産直接管理不要。
- SEC完全監督&毎日監査:SECルール下で日次資産監査&透明性。無規制市場よりも信頼性と詐欺防止。
- 機関カストディ&ハッキングリスク低減:銘柄は機関グレードの管理下、個人ウォレットより安全性高。
- 毎月収入型ETF(XRPM等):カバードコール型ETFなら月利3%(年率36%)の継続的収益を狙える。
- 証券口座からワンクリック、高流動性:Fidelityなどの証券会社で迅速に取引、市場スプレッドも低減。
- 課税繰延も可能:適格口座内なら利得繰延も可。現物保有よりリターンを温存できることも。
XRP ETF投資のリスク
ETFは暗号資産特有のリスクを一部緩和しますが、中核リスクは残ります。主な注意点:
- 年率運用手数料(0.19~0.75%):EZRP0.19%、XRPM0.75%など。長期ではリターン減少要因。
- エアドロップやステーキング、DeFi非対応:XRP保有によるリワードやDeFi金利、エアドロはETF対象外。
- 価格変動リスク:XRP価格変動(例:週次で5~15%)はETF価値に直結、市況イベントで波及も。
- カバードコールETFは上昇相場で上値制限:XRPM等はオプション売却分、ブル相場でリターンが限定。
- トラッキングエラー・流動性プレミアム:ETF価格が現物XRPと乖離する可能性や上場初期のスプレッド拡大。
- 規制リスク残存:2025年SEC判断後も将来の規制変更でXRP・ETFの扱いが変わるリスク。
XRP ETF vs. ビットコイン・イーサリアムETF(簡易比較)
| 特徴 | XRP ETF(2025年) | ビットコインETF(2024年) | イーサリアムETF(2024年) |
|---|---|---|---|
| 米上場開始時期 | 2025年9~11月 | 2024年1月 | 2024年5~7月 |
| 承認ルート | 自動効力S-1(高速トラック) | 19b-4+S-1完全審査 | 19b-4+S-1完全審査 |
| 流入総額(現時点) | 約3億ドル(初期合算) | 650億ドル超 | 約150億ドル |
| 一般的な手数料 | 0.19%~0.75% | 0.20%~0.90% | 0.19%~0.25% |
| 主な用途 | 国際送金 | デジタルゴールド/価値保存 | スマートコントラクト/DeFi |
| カストディアン | 主にCoinbase Custody | Coinbase, Gemini, BitGo | BTCと同様 |
| インカム型ETF | あり(XRPM等カバードコール) | 希少 | 希少 |
XRP ETFと現物XRPの取引所購入の比較
投資家は規制下のETFか、自由度重視の現物直接取引か、2つの道があります。比較表はこちら:
| 特徴 | XRP ETF | 取引所で直接売買(例:Phemex) |
|---|---|---|
| 規制環境 | SEC完全監督 | 州ライセンス+FinCEN |
| 取引可能時間 | 米国株式市場時間 | 24時間365日 |
| 年金・退職口座での保有可否 | 可 | 不可 |
| 手数料 | 年率0.19~0.75% | 通常スポット手数料無料 |
| レバレッジ | 不可 | 最大100倍 |
| オンチェーン特典 | なし | 全て(エアドロ、DeFi、ステーキング) |
まとめ
スポットXRP ETFは、SECとリップルの和解および自動効力S-1制度開始を経て2025年に米国で初上場しました。従来型の証券・退職口座からXRPエクスポージャー取得が可能となり、創出・償還メカニズムを通じて流動性向上と短期的なボラティリティ低下も進みました。
投資家はいま:
- XRP ETF(株式市場時間、SEC監督下、年金口座対応)
- 取引所でのXRP直接売買(24時間、管理手数料なし、全オンチェーン機能)
どちらも合法かつ利用可能であり、投資スタイルや目標に応じて選択できます。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断は専門家へご相談ください。
よくある質問
XRP ETFは安全ですか?
はい。ビットコインETFと同様に、機関カストディアンや保険、日次監査基準を採用しています。(現時点でビットコインETFは1000億ドル超の資金を管理)
XRP ETFでエアドロップやステーキング報酬はもらえますか?
いいえ。パーソナルウォレットで直接所有する場合のみオンチェーン特典が得られます。
XRP ETFはデイトレードできますか?
はい。取引時間中は通常の株式同様インストラデイ取引が可能です。




