
現在、3社の資産運用会社がHyperliquidのHYPEトークンを原資産とした現物ETFの申請を行っており、市場投入を目指す競争が数週間のスパンで進行しています。Bitwiseが2025年9月に最初にBHYPを提出し、Grayscaleは2026年3月にGHYPで参入、21Sharesは2026年4月14日にTHYPの第2次修正版を提出しました。3社はいずれも、Layer-1チェーンや決済ネットワークではなく、純粋なDeFiプロトコルトークンへの規制下での現物エクスポージャーを米国機関投資家に提供するという、同じゴールを目指しています。
興味深い点として、これら3つの申請は一様ではありません。上場取引所、カストディ構造、ステーキング設計、管理手数料で違いがあり、これらの違いは各商品を選択する機関投資家のタイプに直結します。
3つのHYPE ETF申請内容比較
3社のETFを表で比較するのが最も分かりやすい方法です。いくつかの項目は公開S-1で確認できますが、最終的なSECコメント待ちの項目は"未定"として正直に記載します。
| 項目 | Bitwise BHYP | Grayscale GHYP | 21Shares THYP |
|---|---|---|---|
| 上場取引所 | NYSE Arca | Nasdaq | Nasdaq |
| カストディアン | Anchorage Digital | Anchorage Digital Bank | Anchorage Digital Bank + BitGo Bank & Trust |
| ステーキングパートナー | Anchorage他 | 規制承認待ち | Figment Inc. |
| ステーキング報酬還元 | 手数料差引後約85% | 未開示 | 未開示 |
| 管理手数料 | 0.67% | 未開示 | 未開示 |
| 初回申請時期 | 2025年9月 | 2026年3月 | 2025年申請・2026年4月14日修正 |
BitwiseはSECとの協議期間が最も長く、2026年4月時点で手数料やステーキング比率、最新のS-1を確定済みです。これは数週間以内のローンチが想定されるパターンです。一方、Grayscaleと21Sharesはステーキング設計などSECスタッフとのコメントやりとりが続いており、未確定項目が多い状況です。
各申請内容の詳細
Bitwise BHYP
2025年9月の申請、2026年4月に修正版S-1を提出。3つの中で最も運用詳細が明確です。NYSE Arcaに上場し、カストディはAnchorage Digital、保有HYPEの大部分をAnchorageと他のステーキングエージェントでステーキング。管理手数料0.67%とステーキング運用コスト差引後、約85%の報酬が純資産価値に還元されます。これは株主が1つの規制ラッパー内で価格エクスポージャーとオンチェーンイールドの両方を享受できる仕組みです。0.67%の手数料水準は、GrayscaleのイーサリアムETFより低く、自社のビットコインETFよりは高めで、一般的なオルトアセット系ステーキングETFの範囲です。PhemexによるBitwise BHYP申請の詳細や、CoinDeskの最新S-1解説で市場の予想が強まっている背景が分かります。
Grayscale GHYP
2026年3月にSECへ申請、上場先はNasdaq。最大の更新点は2026年4月20日の修正版で、カストディアンがCoinbaseからAnchorage Digital Bankへ変更されたことです。AnchorageはOCCのナショナルトラストチャーターを持ち、州規制ではなく連邦基準でのカストディ要件を満たします。ステーキングについては規制承認を条件としてオプション扱いであり、報酬分配もSECコメント次第で決定されます。手数料は未開示です。申請タイミングはCrypto Timesの解説が分かりやすいです。
21Shares THYP
21SharesのHyperliquid ETFは2026年4月14日に第2次修正版S-1を提出し、ティッカーTHYPでNasdaq上場を目指します。Anchorage Digital BankとBitGo Bank & Trustの共同カストディ体制を採用し、Figment Inc.を通じて信託内HYPEの30~70%をステーキング。比率は独自モデルで運用流動性や償還リスクを加味して決定されます。手数料・報酬還元率は未開示。共同カストディはカストディリスクの分散につながりますが、やや運用の複雑さは増します。
上場市場の違いと影響
3本のうち2本はNasdaq、1本はNYSE Arcaに上場予定です。これは流動性や創設・償還メカニズムに微妙な違いを生みます。
NYSE Arca(BitwiseのBHYPが上場)は2024年以降、BlackRockやFidelityの現物BTC ETFを含め、現物暗号資産ETFの主流上場先となっています。Arcaの認定参加者ネットワークは暗号資産に特化し、現物受渡やNAV公開、監視体制も整っています。そのため、取引初期にはスプレッドが狭く、価格発見も早い傾向です。
一方、Nasdaq(GHYP、THYP)はリテール投資家向け認知度が高く、ディスカウント証券との連携も強いです。リテールの売買高はNasdaqが先行するケースもあります。機関投資家主導の初期流動性はArca、リテール流入は3~4週目頃にNasdaqが追いつく傾向です。
各ETFの優位性
3社のETFはターゲット投資家が異なり、棲み分けが予想されるため、いずれも存続の可能性が高いです。
Bitwiseの強みはスピードと利回り透明性:最も早く申請し、2026年4月の修正版で手数料とステーキング設計が確定。ポートフォリオ構築ツールで想定リターンの入力がしやすい唯一のETFです。
Grayscaleの強みはブランド力とRIAチャネル:GBTCやETHEを通じてRIA(登録投資アドバイザー)との関係構築が進んでおり、既存顧客にとってGHYPの組み入れは運用面で容易です。
21Sharesの強みは運用リスク分散とグローバル実績:2018年から欧州でクリプトETPを展開しており、共同カストディやFigmentの実績が特徴。年金や財団などリスク分散を重視する機関向きです。
HYPEを原資産とするETFの意義
現物ETFはビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPなど一部トークンで既に承認されていますが、HYPEは単一DeFiプロトコルのガバナンストークンであり、レイヤー1でも決済資産でもありません。もし承認されれば、米国で初の純粋DeFiプロトコルトークン現物ETFとなります。
この区分は今後のETF申請の方向性にも影響を与え、AaveやUniswap、Pendle、Curve、LidoといったプロトコルトークンETFの道を切り開く可能性があります。資産運用会社は1本目の承認発表と同時に次のETF申請を進めると予想されます。詳細はyellow.comの分析も参照ください。
3社が同一資産で競合申請するという事実自体、機関投資家の関心が高いことを示唆しています。Bitwiseの0.67%手数料も、資産運用サイドが相応のAUMを見込んでいる証左と言えるでしょう。
よくある質問
どのHYPE ETFが最初にSEC承認を得るか?
Bitwise BHYPが申請時期と修正版提出から最有力です。SECによる最終判断は2026年春~初夏が想定されます。他2社は6~8ヵ月ほど遅れています。
ETF内でのステーキングはHYPE価格へ影響するか?
間接的に影響します。ステーキングによりHYPE流通量が減り、供給が縮小します。Bitwiseは「大部分」を、21Sharesは30~70%をステーキング対象としています。
なぜ3社ともカストディにAnchorage Digitalを選ぶのか?
AnchorageはOCCのナショナルトラストチャーターを持つ唯一の米国暗号資産カストディアンであり、SECカストディ規則上のリスクを低減できます。
HYPEを直接保有する場合とETF経由で保有する違いは?
直接保有ではトークン自体の利用やネイティブなステーキングが可能、ETFでは証券口座で価格エクスポージャーを取得でき、ステーキングはETFスポンサーが代行し管理手数料が発生します。両者は補完的な商品であり、ETF上場後は小幅な価格差で推移する見込みです。詳細はHyperliquidとは?をご参照ください。
まとめ
3社のETFはターゲットが異なるため、順次ローンチされる可能性が高いです。順番よりも累積AUMが重要となります。Bitwise BHYPは確定した手数料とステーキング設計で、機関投資家の初期フローを獲得する見通しです。Grayscale GHYPはブランドと運用チャネル面で優位、21Shares THYPは共同カストディとFigmentの実績から運用リスク分散を重視する投資家層を引きつけます。今後の注目点は、5~6月のSEC最終判断、Grayscale・21Sharesの手数料開示、そして上場後1ヵ月間のAUM推移です。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融や投資のアドバイスではありません。暗号資産取引には相応のリスクが伴います。投資判断はご自身の調査に基づき慎重に行ってください。
