
PIは3月13日に$0.29まで上昇しましたが、3月14日のPi Dayには約$0.20まで26%下落し、当日の主要トークンの中でも最もパフォーマンスが悪い結果となりました。Krakenへの上場が注目材料とされていましたが、多くの初期購入者にとっては利益確定の機会となりました。
しかし、価格下落の裏では、Pi Networkは実質的なアップグレードを実施しました。メインネットv23.0が稼働し、初めてスマートコントラクトとDAppの展開が正式に可能となりました。また、ピア・ツー・ピア取引を可能とするネイティブのDepth Exchangeも立ち上がりました。プロトコルv20.2は3月12日に完了し、スマートコントラクト展開に先駆けノード基盤を強化しています。
ただし、トークンが過去最高値から93%下落し、今後数千万枚のトークンアンロックを控えている現状で、これらのアップグレードが価格にどれほど影響を与えるかは不透明です。ここでは現状を客観的に整理します。
PIの価格に何が起きたのか?
今回の値動きは、いわゆる「事実売り」のパターンが約10日間にわたって展開されました。
PIは3月初旬に$0.22付近で推移し、Kraken上場の発表をきっかけに上昇を始めました。3月11日には$0.25を超え、3月12日にKrakenでの取引開始が正式発表されると、$0.28を突破。3月13日の取引開始時には一時$0.29に到達し、3月初旬から約35%の上昇となりました。
しかし、上場当日から流れは逆転。Kraken上場から24時間以内にPIは$0.29から$0.21まで下落し、Pi Day終了時点では$0.20付近で推移しました。
下落を招いた要因は以下の3つです:
上場自体が材料出尽くしとなった。 事前にKraken上場やPi Dayアップグレードを期待してPIを購入していたトレーダーが多く、イベントが実現したことで利益確定売りが優勢となりました。これは典型的な「事実売り」の値動きです。
取引所への供給増加。 Kraken上場発表から24時間以内に300万枚以上のPIが中央集権型取引所に送金されていました。Pi Day前には取引所に451万枚のPIが蓄積されており、多くの保有者が売却準備を進めていたことが伺えます。
トークンアンロックによる供給圧力。 3月17日に約1700万枚、3月20日にさらに1600万枚のアンロックが予定されています。直近3週間は1日あたり平均450万枚未満に落ち着く見通しですが、短期的な新規供給増加で、押し目買いが慎重となった背景があります。
Pi Dayで何が実現したのか?
Pi Dayでのアップグレードは、一般的な「事実売り」のイベントよりも中身のある内容でした。
メインネットv23.0が3月14日に稼働し、スマートコントラクトとDApp展開が正式に対応。開放型ネットワークが2025年2月に始まって以来、待望の機能です。スマートコントラクトにより、開発者は分散型アプリや自動取引、プログラム可能なロジックをネットワーク上で構築できるようになります。Pi Core Teamは、DeFiの投機的利用ではなく、サブスクリプション機能やエスクロー契約、NFT関連など実用性重視のコントラクトカテゴリから優先実装しています。
Depth Exchangeがローンチ し、Pi Networkのエコシステム内でP2P取引が可能となりました。これまで中央集権型取引所への依存が強かった中、オンチェーンDEXの導入は構造的な改善です。
プロトコルv20.2のノードアップグレードが3月12日に完了。ネットワークの安定性や取引検証、ノード連携が強化され、v23.0で追加されたスマートコントラクト基盤の土台となっています。2月のv19.6や3月4日のv19.9、3月14日のv23.0と合わせ、歴史上最も集中した開発期間です。
開発者ツールもPi App Studio経由で拡充。3月12〜14日の間、スマートコントラクトのアップロードやテストが行われ、本稼働前にDAppの調整期間が設けられました。スマートコントラクトはRust言語とWebAssembly(WASM)で動作し、StellarのSoroban同様、DeFiやNFT、DAOなどにも対応可能です。
スマートコントラクトの導入で評価は変わるか?
これは時間軸によって評価が異なります。
強気シナリオは、膨大なユーザーベースと新たなブロックチェーン機能の組み合わせにかかっています。Pi Networkは1億人超の「Pioneer」ユーザーがモバイルでPIを採掘したと主張しており、仮に一部がアクティブユーザーとなった場合、DApp市場の規模は非常に大きなものとなります。実用性重視のコントラクト設計から、投機より利用増加を目指していることが伺えます。
インフラ面では、Kraken上場が主要取引所へのアクセス実現性を証明し、今後はBinanceやCoinbase上場が材料になる可能性も。Depth Exchangeの導入でエコシステム内の流動性も確保されました。Rust/WASMのアーキテクチャはStellarと同様で、技術的基盤も評価できます。
弱気シナリオでは、供給構造の課題があります。最大供給量1000億PIのうち、循環しているのは97億枚のみで、今後も長期的な希薄化リスクが続きます。オンチェーンの実利用よりも投機的取引が優勢で、ネットワーク上で実際に大きな取引高を生み出す外部アプリは未登場です。研究者からは内部関係者のトークン集中保有にも懸念が指摘されています。2月の最高値以降も価格が下落基調であることは、現状の評価が反映されたものです。
現実的な中間評価としては、スマートコントラクト実装で「売買可能なトークン」から「構築可能なブロックチェーン」へと性質が変化した点は長期的に意義がありますが、短期的には供給圧力(90%以上が未流通)が価格動向を支配しています。
テクニカルの現状は?
Pi Day後の下落により、PIは$0.20付近で推移しています。2025年2月の過去最高値$2.99から93%下落、3月13日のピーク$0.29からも約30%安です。
直近のサポートゾーンは$0.18〜$0.20とされており、トークンが安定するにはこの水準の維持が必要とされています。もし$0.18を明確に割り込めば、次の下値目処は$0.15となります。
反対に、$0.24を回復できれば上昇のシナリオも見込まれます。また、今回の下落でRSIが過熱圏から正常化し、短期的な売り圧力が和らいだ状況です。
最大の注目点はトークンアンロックのスケジュールです。3月17日の1700万枚、3月20日の1600万枚の新規供給が、現在の価格水準で受け入れられるかが試されます。$0.18〜$0.20帯を維持できれば下げ止まりの可能性も高まります。
今後トレーダーが注視すべき点
スマートコントラクト層での開発者活動が最重要指標です。実際にDAppが開発され、トランザクションやユーザーが増加すれば、アップグレードは転換点となります。逆に開発が進まなければ、単なる形式的アップデートとなります。
Depth Exchangeの取引量も注目。中央集権型取引所を介さずにDEXで流動性が伸びれば、好材料の一つです。
次の主要取引所上場。Kraken上場で主要プラットフォームでの流通実績ができました。今後BinanceやCoinbaseなどTier-1取引所での上場があれば、流動性向上と新たな注目につながります。
3月以降のアンロックスケジュール。3月17日・20日以降は1日あたりのアンロックが平均450万枚未満に減少予定で、需給バランス次第では価格安定につながる可能性もあります。
よくある質問
なぜPi DayでPIは下落したのですか?
典型的な「事実売り」パターンです。Kraken上場やPi Dayを見越して約2週間で35%上昇し、イベント到来とともに利益確定売りが集中しました。Pi Day前には取引所に451万枚のPIが蓄積されており、売却準備も進んでいました。
Pi Dayで実現したアップグレードは?
メインネットv23.0によるスマートコントラクトとDApp展開、ネイティブDEX「Depth Exchange」の公開、3月12日のプロトコルv20.2完了によるノード基盤強化、Rust/WASM対応の開発者ツール拡充などが含まれます。
PIは$0.20で買い時ですか?
スマートコントラクトやネイティブDEXなど実用的なアップグレードは評価できますが、最大供給1000億枚のうち流通量は9.7%のみで、長期的な希薄化リスクが存在します。$0.18〜$0.20が直近のサポートですが、3月17日の1700万枚アンロックが維持の試金石となります。リスクを十分考慮した上で取引することが重要です。
PIはBinanceに上場しますか?
2026年3月15日時点でBinance上場は未定です。3月13日のKraken上場で主要取引所へのアクセス実績ができましたが、今後は規制、オンチェーン活動、ユーザー需要などが要因となります。
まとめ
Pi Dayは価格面では「事実売り」となりましたが、プロトコル面では大きなマイルストーンでした。26%の下落で直近の上昇分は消失したものの、スマートコントラクトやDEX、基盤アップグレードは実際の進展です。
根本的な課題は明快です。Pi NetworkはDAppエコシステムを支える技術基盤と、理論上は1億人超のユーザーを抱えていますが、供給の90%以上が未流通、実利用の広がりも限定的で、現状の市場は過去最高値から93%安という評価になっています。
現状の$0.20付近は、今後開発者によるDApp構築やユーザー移行が進むかどうかが焦点です。それは短期的なPi Day取引ではなく、長期的な視点でのテーマとなります。短期的には3月17日・20日のアンロック状況、長期的にはv23.0での開発活動が重要なサインとなります。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融や投資の助言を行うものではありません。暗号資産市場は非常に高いボラティリティやリスクを伴います。取引判断は必ずご自身で十分にご検討ください。






