暗号資産市場のFear and Greed Index(恐怖と欲望指数)は、60日以上連続して10未満を記録しており、これは過去最長の極端な恐怖の期間です。4月7日、米国とイランの2週間停戦が報じられ、原油価格は1日で16%下落し、BTCは68,800ドルから72,000ドル以上へと急騰、427百万ドル相当のショートポジションが清算されました。2月初旬以降初めて、市場に最大の恐怖感をもたらしていた要素が、現実の出来事によって直接対処された形です。
停戦は重要な要因ですが、原油や地政学リスクの解消がこの指数を恒常的に押し上げるのか、それとも60日間の恐怖によるダメージが一つのニュースだけでは解決しないのかが焦点です。
原油が恐怖指数の要因となった理由
これまでの極端な恐怖の長期局面は、暗号資産業界内の出来事によるものが主でした。Terra/Lunaの崩壊やその後の3AC、Celsius、Voyagerへの波及、FTXの破綻などが挙げられます。これらは不良債権の整理や強制売却が終了したことで収束しました。
しかし、2026年の連続記録は外部要因によるものです。米国とイランの対立やホルムズ海峡のリスクによる原油価格(Brent原油110ドル超)がインフレ懸念を高め、FRBの金利据え置き(3.5~3.75%)を長引かせました。指数の反発タイミングで地政学ニュースが新たに流れるたび、原油価格が上昇し、恐怖心理が再燃した格好です。
オンチェーンデータでは逆の動きも観測されていました。ビットコインの取引所保有残高は数年ぶりの低水準、ステーブルコインの供給は2,200億ドル超となり、クジラによる積極的な買いも見られました。しかしマクロ経済環境の天井が市場の回復力を抑え続けていました。
停戦がもたらした変化
パキスタンの仲介、トルコとエジプトの補助により合意された2週間の停戦は、2つの具体的な変化をもたらしました。第一に、イランがホルムズ海峡を停戦期間中に再開することで、世界の原油流通量の約20%が正常化されます。第二に、正式な和平協議が4月10日にイスラマバードで開催される予定となり、恒久的な解決へのスケジュールが設定されました。
原油市場は即座に反応し、WTIは112.95ドルから95.85ドルに下落、地政学的リスクプレミアムは約14ドルから4〜6ドルに縮小しました。これはインフレ期待に直接作用し、インフレ期待はFRBの利下げタイミングに大きな影響を与えます。
この連鎖は暗号資産市場にも波及します。原油安はインフレ期待の低下をもたらし、FRBの利下げ期待に繋がり、リスク資産価格の上昇圧力となります。これによって2ヶ月間BTCが62,000~73,000ドルで推移していた要因が緩和されました。4月8日、BTCは一時71,926ドルまで上昇し、このメカニズムが市場に織り込まれた形です。
恐怖・欲望指数が一桁台を脱するには
指数を8から10以上に戻すには、5つの加重指標が同時に改善する必要があります。ボラティリティ(25%)の低下、マーケットモメンタムと取引量(25%)の持続的な増加、ソーシャルセンチメント(15%)の改善、BTCドミナンス(10%)の安定、そして「ビットコイン暴落」に関するGoogleトレンド(25%)の減少が求められます。
月曜日の4.27億ドルの清算や火曜日の7.2万ドル台回復はモメンタム・出来高にはプラスに働きますが、短期的なボラティリティを高める側面もあります。1週間程度の力強い推移だけでは60日間の傾向を覆すことは難しく、安定した価格推移とボラティリティ低下が7~10日続く必要があります。
注目ポイントは、停戦1週目が終わる4月15~17日にBTCが7万ドルをサポートラインとして維持できるかどうかです。もし安定して推移すれば、4月中旬には指数が15を超える可能性があります。一方、停戦が崩れ原油が再上昇した場合は、指数は6~8に戻り、極端な恐怖がさらに続くこととなります。
過去の長期恐怖期間が終息した要因
過去に指数が10未満を長期間維持した例は2回のみですが、そのパターンは共通しています。
| 期間 | 恐怖の要因 | 終息した要因 | 10未満日数 | 90日後BTCリターン |
|---|---|---|---|---|
| 2022年6~8月 | Terra/Luna + 3AC連鎖 | 不良債権整理と強制売却終了、イーサリアムMergeの話題が浮上 | 約30日 | +32% |
| 2022年11月 | FTX破綻 | 破綻処理が連鎖を封じ、他大手取引所の追加破綻なくBTC16,500ドル維持 | 約15日 | +55% |
| 2026年1~4月 | 関税問題+イラン紛争+原油110ドル超 | TBD(停戦が最初の候補) | 60日超 | TBD |
いずれも、特定の要因が封じ込められ、新たな要因が現れなかったことで恐怖は終息しています。2026年は関税問題とイラン紛争が重なる複雑な局面ですが、停戦はイラン要因のみに対処しており、関税リスクは依然残っています。両方のリスクが解消されて初めて「通常の恐怖」から「中立」へ移行できます。
90日間の今後の展開
過去の極端な恐怖期間では、その後90日~1年で比較的大きなリターンが観測されてきました。Terra/Luna後は90日間で32%、FTX後は55%の上昇を記録しています。ただし今回はBTCがすでに72,000ドル台です。32%の上昇で95,000ドル、55%で111,600ドルとなり、これには機関投資家の継続的な買いとリスクオン環境が数ヶ月続く必要があります。
一方、過去データでは極端な恐怖局面の初期に一括投資した場合、その後37%下落を経てから回復が始まるケースもありました。複数回に分けて積立投資する戦略が、局面の平均価格を捉えやすいという結果が示されています。
この停戦が恐怖を終わらせない可能性
2週間の停戦は恒久的な和平ではありません。イランは当初一時停戦を不十分とし、恒久的な解決を要求していました。また、米国の交渉姿勢にも不透明感が残っています。4月10日のイスラマバード協議で具体策が出なければ、4月21日頃には停戦が終了し、ホルムズ海峡のリスクが再燃します。原油価格の再上昇やインフレ懸念の復活、BTCの65,000~66,000ドル付近への下落も考えられ、その場合指数は一桁台に留まる可能性が高いです。
さらにイラン問題が解決しても関税リスクは依然継続します。停戦は恐怖要因の一部を解消するに過ぎません。指数が25を超え中立圏に入るには、両方の改善が必要です。
よくある質問
Crypto Fear and Greed Indexの極端な恐怖は何日続いているか?
2026年4月8日時点で60日以上で、Terra/Luna崩壊時の約30日を大きく上回ります。2月初旬、米イラン情勢の悪化と原油の高騰がきっかけです。
停戦だけで恐怖指数は改善するか?
ある程度の改善は期待できますが、関税不透明感が残るため、単独では十分とは言えません。7~10日間の安定した価格推移とボラティリティ低下、持続的な買いが不可欠です。
極端な恐怖局面での最適な戦略は?
積立投資(ドルコスト平均法)が過去の極端な恐怖サイクルで一括購入を上回る成績を残しています。エントリータイミングよりもポジションサイズ管理が重要です。
停戦が崩れた場合BTCはどうなるか?
協議が決裂し軍事緊張が再燃した場合、原油価格やインフレ懸念が再発し、BTCは65,000~66,000ドル付近のサポートを試す展開となる可能性があります。
まとめ
イラン停戦は、60日間続いた極端な恐怖の根本要因に初めて直接対処したマクロイベントです。原油の大幅な下落はインフレ期待を抑制し、FRBの利下げシグナルへの道を開き、BTCの上値を抑えていた最大の障壁を和らげます。今後の注目は停戦期間中(4月15日まで)に7万ドルを維持できるかどうか、突破すれば15以上への改善も視野に入ります。ただし、停戦は恒久的な和平ではなく、イスラマバード協議(4月10日)での進展がカギとなります。最悪期脱却の可能性に備えつつ、不確実性にも適切に備えることが重要です。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。暗号資産取引には高いリスクが伴います。ご自身で十分に調査のうえご判断ください。






