
ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の株価は48.54ドル付近で取引され、**8.66%**の上昇を記録しました。この動きの背景には、独立系クラウドプロバイダーのVultrが次世代のクラウド規模AIデータセンター構築にあたり、HPEとNVIDIAを選定したことがあります。VultrはHPEが提供するNVIDIA GB300 NVL72システムとNVIDIA Spectrum-X Ethernetネットワーキングを採用しました。これにより、HPEは従来のエンタープライズ刷新周期の周縁でなく、ネオクラウド構築の中心プレイヤーとして認識され始めています。
HPE概要(2026年7月13日時点)
- 株価: 約48.54ドル
- 24時間変動率: +8.66%
- 主な要因: Vultrがクラウド規模AIデータセンター基盤としてHPEおよびNVIDIAを選定
- 直近のクラウドおよびAI関連売上高: 77億ドル(前年同期比+22.9%)
- 注目水準: 過去に株価上昇を抑えていた45ドル付近
今回の動きは一過性のニュースによる跳ね上がりではなく、市場による評価見直しとして捉えられています。Vultrが選定した内容、その意義、今後の株価動向のカギとなるポイントを解説します。
VultrがHPEおよびNVIDIAに依頼した内容
Vultrが購入したのは単なるサーバーではなく、ラックスケールのAIファクトリーです。これはHPEの売上計上方法や今後の関係性に影響します。
導入の中心はNVIDIA GB300 NVL72で、1台の液冷ラックに72基のBlackwell Ultra GPUと36基のGrace CPUが統合されています。HPEはこのラックをNVIDIA AI Computing by HPEの一部として提供し、NVIDIA Spectrum-X Ethernetで接続します。さらに液冷設計、電力・熱設計、導入サービスやライフサイクルサポートも提供されます。
HPEによるプレスリリースでは、今回の案件をエンタープライズ向けプライベートクラウド、AIモデルのトレーニング、大規模推論向けインフラと位置付けています。Vultrは今すぐGPUリソースを必要とする企業に提供しているため、実際の需要に基づく投資であることが、案件の意義を裏付けています。
液冷技術は重要な差別化要素です。GPUラックが約130キロワットを超えると、空冷は現実的でなくなり、スケールで液冷システムを設計・導入・サポートできるベンダーは限られます。HPEはスーパーコンピュータ事業で培った液冷ノウハウを持ち、今回のVultr案件で商業クラウド案件として本格的に展開しています。
Vultr案件が規模以上に重要視される理由
一件のネオクラウド案件の金額自体は本質ではなく、HPEが新たなカテゴリで評価され始めた点がポイントです。
ここ2年、AIインフラ分野はごく一部の企業中心に評価されてきました。NVIDIAが計算基盤を提供し、数社のネットワークやメモリ関連企業が連動し、従来のエンタープライズハードウェアは変革の「蚊帳の外」と見なされがちでした。ただし、今回VultrがHPEを選び、ラックスケールの統合リスクをHPEに委ねたことは、その前提を覆すものです。統合リスクを引き受ける業者を選ぶことで、利益率も従来のサーバー販売とは異なります。
次に重要なのは案件パイプラインです。ネオクラウド運営各社は互いに展開事例やリファレンスアーキテクチャを共有し、1件の実績が次の商談の材料になります。これはAI分野でネットワーク半導体ベンダーが評価を高めた時と同じ構図です。セクター全体で同様の動きが見られます。
JuniperおよびGreenLakeが支える背景
今回の株価上昇はVultr案件単体ではありません。直近の四半期決算ですでにAIおよびネットワーク事業の拡大が示されており、市場はその数字を織り込みつつあります。
HPEの2026会計年度第2四半期(2026年4月30日終了)が基準となります。同四半期のクラウドおよびAI関連売上高は77億ドル(前年同期比+22.9%)、ネットワーク関連売上高は27億ドル(+148.2%)、これはJuniper Networks買収による統合効果が大きいです。詳細はHPE公式の四半期決算リリースおよびIRページに掲載されています。
| ドライバー | 最新値 | 注目理由 |
|---|---|---|
| クラウド/AI売上高 | 77億ドル(+22.9%) | 受注が売上として認識されている(バックログではない) |
| ネットワーク売上高 | 27億ドル(+148.2%) | Juniper統合によりAI向け需要が拡大 |
| GreenLakeプラットフォーム | 継続的な消費モデル | ハードウェア受注が積み上げ型収益に変わる |
| HPE Morpheusソフト | Agentic AIOps・プライベートクラウド | Vultr型案件が単発で終わらないためのソフト層 |
Juniper買収は多くの投資家が過小評価していました。AIクラスターでネットワークがボトルネックとなる中、ネットワーク構築が計算基盤と同時に決まる現在、Juniperの意義が大きくなっています。
GreenLakeおよびHPE Morpheusは今後の成長の基盤です。GreenLakeはインフラを消費ベースで課金、MorpheusはAI運用の自動化とプライベートクラウドのオーケストレーションを担います。消費型収益はソフトウェア的な評価を受けやすく、HPEが従来から主張してきた成長エンジンとなる可能性があります。
Vultr案件後のHPE株価への影響
設計案件による**+8.66%の上昇は、市場の期待水準が低かったことを示します。これは今後のさらなる成長期待を内包しますが、次の3点がポイントとなります。1つ目は追加受注。Vultr案件をきっかけに追加で具体的な案件が出れば、トレンドが形成されます。2つ目はAIシステムの粗利益率。NVIDIAが利益の多くを獲得し、HPEの利益率が低い場合は再評価されにくくなりますが、付随するサービスやネットワークで全体の利益率が向上すれば市場評価も高まります。3つ目は45ドル**の価格帯。ここを維持できればサポートとなり、押し戻されれば一過性の動きと見なされる可能性があります。
取引関連情報として、HPEはPhemexでトークン化株式ペアとして提供されていません。AIインフラに直接投資したい場合、Vultr導入の中心的存在であるNVDA(NVIDIA株)が現在208.49ドル付近で取引されており、適用例として挙げられています。
よくある質問
2026年にHPE株は買い時か?
強気の根拠はAI受注の売上化、Juniperによるネットワーク貢献、AIシステムの利益率の3点です。Vultr案件は前2点を裏付けますが、利益率については現時点で判断できません。したがって、HPEはAIインフラ企業としての地位を高めつつも、高利益率の成長株とはまだ断定できません。インフラ循環株として位置付けるのが現実的です。
VultrはHPEから何を購入したのか?
VultrはHPEからNVIDIA GB300 NVL72ラックスケールシステム、NVIDIA Spectrum-X Ethernetネットワーク、液冷設計や導入サービス・サポートを含むインフラ一式を選定しました。一般的なサーバー注文とは異なり、エンタープライズ向けプライベートクラウドやモデル学習、大規模推論向けが対象です。
PhemexでHPE株を取引できるか?
現時点でPhemexでHPEのトークン化株式ペアは提供されていません。同じAIインフラ銘柄へのエクスポージャーは、NVDA(NVIDIA株)で代替されています。
HPEのネットワーク売上が148%成長した理由は?
これはJuniper Networks買収の会計統合効果が大きく、従来のAruba事業だけでなくフルネットワークポートフォリオが計上されるようになったためです。AIクラスターは従来よりも計算単位あたりのネットワーク需要が大きく、買収効果を除いても実需が拡大しています。
まとめ
45ドルを維持し、Vultr案件をきっかけに2件目のネオクラウド案件を受注できれば、HPEは従来のハードウェア企業からAIインフラ企業として再評価される可能性があります。一方、利益率が悪化すれば株価は48.54ドル前水準に戻る可能性もあります。すでにクラウド・AI部門の77億ドル売上やネットワーク売上の148.2%成長が需要の存在を示しており、今後はHPEがインフラ提供でどれだけ利益を上げられるかが注目されます。次回決算がその答えとなるでしょう。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融や投資の助言ではありません。暗号資産取引にはリスクが伴います。取引を行う際はご自身で十分に調査してください。




