
ビットコインは6月7日の終値でRSI(相対力指数)が15.5となり、2020年3月のCOVID-19ショック以来の低水準を記録しました。価格は$62,915で推移しています。現物型ビットコインETFからは、今週合計16.7億ドルの純流出が発生し、2024年で2番目に大きな週次流出となりました。このうち14.3億ドルはBTC専用ETFからの流出で、バスケット型商品よりも大きな割合を占めています。Fear and Greed Indexは20台前半、主要5取引所のうち3つでパーペチュアル(無期限)ファンディングレートがマイナスに転じており、過去の複数カ月続いた上昇前の典型的なパターンと類似しています。
ここでは、RSI 15.5が過去2回出現した際の値動き、現状のBTCサポート水準、企業財務による需要がETF供給をどのように吸収しているのかを解説します。
RSI15.5の意味
14日間RSIは、直近の価格変動の強さと速度を0〜100で示すオシレーターです。30未満で売られ過ぎ、20未満は歴史的にも極めて稀で、売りが一巡しやすい状態を示します。15.5という数値は、2013年以降の全日足終値の下位0.5%にあたります。RSIの計算方法や過去のシグナル事例はInvestopediaのRSIガイドで詳細に解説されています。
直近でRSIがこれほど低水準を記録したのは2020年3月13日で、BTCは$4,800近辺で取引されていました。その12カ月後、BTCは$58,000を超えており、著しい回復を示しました。それ以前は2022年9月7日、LUNAショックと3AC清算後にRSIが19.1となり、BTCは$18,800を記録しました。そこから12カ月後には$26,500付近まで回復しています。どちらも複数期間でプラスリターンを記録していますが、その規模はマクロ環境によって異なります。
極端な売られ過ぎ状態の後に反転が起きやすい理由は、継続的な下落がRSIを下限まで押し下げるためです。売りが一巡すると、横ばいもしくはわずかな上昇でもRSIが急速に戻る傾向があります。ただし、これは過去の統計的傾向であり、将来の結果を保証するものではありません。
ETF流出圧力の背景
1.67億ドルという週次流出額は、CoinSharesのデイリーフロー・レポートに基づく全ETF合算値です。内訳では、約14.3億ドルが現物BTC ETFからであり、IBITおよびFBTCはその資産規模に応じ最大の償還を受けました。イーサリアムやバスケット型商品の流出はごく一部です。
Farside Investorsのデータを見ると、流出は週内の3日に集中しており、個人のパニック売りというよりも、機関投資家によるリバランスを示唆します。年金基金や政府系ファンドが一定比率で調整する場合、少数の大口取引で実行されることが一般的です。
出典: farside
補足として、並行して企業財務によるBTC買いも見られます。例えばStrategy社がこの期間に1,045BTCを追加取得し、MetaplanetやSemler Scientific、KULR Technologyなど複数の企業も継続的にBTCを積み増しています。Bitcoin Treasuries Trackerによれば、公開情報上の企業持ち分合計は98万BTCを超え、ETF供給の一定部分を構造的に吸収しています。
現在注目される3つのサポート水準
BTCは、トレーダーが数週間注視してきた2つの主要ラインの間に位置しています。第一サポートは$60,000で、200日移動平均線と4月の商い集中ゾーンが重なります。この水準を維持できれば長期トレンドは継続し、RSIも上方向からリセットされる余地があります。
第2サポートは$58,000で、2024年2月の安値と、昨年11月安値から今年5月高値までの0.618フィボナッチ・リトレースメントが重なります。春の調整局面で大量の取引がこのゾーンで成立しており、ETF供給圧力が続いた場合も吸収帯になりやすいです。
第3サポートは$55,000で、この水準を週足終値で下回ると、サイクルボトム以降の上昇トレンドを否定する形となり、さらなる調整局面への移行シグナルとなります。逆に$66,500以上で週足終値を迎えると、RSIがリセットされ、過去の反発パターンに近づきます。
マイナスファンディングが示すポジションの傾向
主要5取引所のうち3つでパーペチュアルファンディングレートがマイナスに転じており、過去48時間の8時間ファンディングは-0.008〜-0.014%で推移しています。マイナスファンディングは、ショートがロングに資金を支払うことを意味し、レバレッジショート勢がオーダーブックを支配している状況です。
この状態が重要なのは2つの理由からです。1つは、過度なロングポジションがないため、価格が上昇してもロング清算による追加上昇圧力は限定的で、逆にショート勢の買い戻しによる「ショートカバー」が起こりやすいこと。もう1つは、マイナスファンディング下で売られ過ぎシグナルが出現すると、逆張りトレーダーにとって有力な参考指標となるためです。
また、Coinglass open interest trackerによれば、主要BTCパーペチュアル市場の建玉(オープンインタレスト)は約320億ドルまで回復しており、ショートの買い戻しが始まれば一時的な巻き戻しが発生しうる水準です。ただし、極端な建玉集中には達していないため、過度な天井シグナルには該当しません。この点は2022年9月の状況に近く、2025年後半のピーク局面とは異なります。
出典: Coinglass
よくある質問
RSI15.5が出現した後、必ず大きな反発があったのでしょうか?
2013年以降で2度いずれも12カ月後はプラス圏でした。ただし2014〜2015年の初期シクリカル安値ではリターンは20〜40%程度と控えめで、2020年のような大幅回復とはなりませんでした。シグナルは統計的には参考になりますが、結果を保証するものではなく、マクロ環境次第で変動します。
ETF流出が続く期間は通常どれくらいですか?
過去最大級のETF流出(2024年4月・8月)はいずれも2〜3週間でフローが安定し、その後再び流入超に転じています。いずれも機関投資家によるリバランス後、供給が一巡し、次の流入開始時点で価格がやや上昇するパターンでした。
売られ過ぎ反発シナリオが否定される条件は?
$55,000を週足終値で割り込み、かつETF流出が2週間以上継続した場合、売られ過ぎ反発から本格調整への転換サインとなります。このパターンは、マクロショック(金融政策イベント、ソブリン債務問題、大規模取引所破綻等)がなければ過去例がありません。現時点では大きなマクロショックの兆候は見られていません。
企業財務の需要はETF流出を実質的に吸収できていますか?
構造的には数週間のスパンでETF流出の一部を吸収していますが、日々の価格変動とは必ずしも連動しません。ETF償還はスポット流動性に直接影響しますが、企業財務の買付はOTCデスクを通じて行われることが多く、需給インパクトがずれます。2024年3月以降、30日単位で見ればおおよそ半分程度のETF流出分が企業需要で相殺されてきました。
まとめ
RSI15.5、週次ETF流出16.7億ドル、マイナスファンディング、Fear and Greed Indexが20台前半という組み合わせは、2020年以降の主要なBTC上昇局面で観測されてきたセットアップと一致します。過去事例からは、$58,000を維持しETFフローが安定化すれば、2〜3週間内に反発基調が形成される可能性が示唆されます。
シグナルは明確です。$66,500以上で週足終値を迎えればRSIリセット、$55,000割れなら構造的な調整局面への移行となります。この2点間では、忍耐強い購入者に分があり、PhemexビットコインETFフロー解説も参考になるでしょう(日本語ページはありません)。
本記事は情報提供を目的としたものであり、金融助言や投資アドバイスではありません。仮想通貨取引には高いリスクが伴います。ご自身で十分な調査を行い、ご判断ください。





