UnitedHealth Group(UNHUSDT)は世界最大の民間医療保険会社であり、年間売上高4476億ドル、被保険者数約4980万人を誇ります。ダウ工業株30種の中心銘柄であり、バフェット氏も保有してきた米国医療分野でも極めて重要な存在ですが、過去1年で株価は半値となっています。
2026年1月27日に発表された2025年度通期決算では、売上高が前年同期比12%増の4476億ドルとなった一方、事業利益は190億ドルに減少。サイバー攻撃対応費用や事業売却・再編、人員削減に伴う28億ドルの特別損失を含みます。調整後EPS(1株利益)は通年16.35ドル、第4四半期は2.11ドルで、アナリスト予想(2.12ドル)をかろうじて達成しました。
しかし最大の驚きは2026年度見通しで、売上高は4390億ドル超と初の前年割れ予想(前年比-2%)。これを受けて株価は1日で約20%下落。加えて、司法省(DOJ)の調査、CEO退任、メディケア資金圧力も重なり、現在の株価は約280ドルと最高値から55%下落しています。
アナリスト24社のコンセンサスは依然「買い」ですが(平均目標株価373ドル、上昇余地約33%)、もはや守りのブルーチップではなく、事業再構築の局面となっています。
60秒でわかるビジネスの全体像
UnitedHealth Groupは1977年設立、本社はミネソタ州ミネトンカ。2025年5月にアンドリュー・ウィッティCEO辞任を受け、統合ケアモデルの設計者であるスティーブン・ヘムズリー氏がCEOに復帰しました。事業は2つの主要分野で展開されています:
UnitedHealthcare(売上の約77%): 米最大の医療保険事業で、雇用主向け・個人向け・メディケアアドバンテージ・メディケイド計4980万人をカバー。2025年売上は3449億ドル(前年比16%増)ですが、メディケア資金減額と医療費増加により営業利益率は5.2%→2.7%に大幅低下。最大の収益源は年1390億ドル規模のメディケアアドバンテージです。
Optum(売上の約60%、事業重複あり): テクノロジー・薬局・医療提供部門で、同社の独自性を形成。Optumは3つのサブセグメントに分かれ、Optum Health(1億2300万人以上に医療提供)、Optum Rx(薬局給付管理)、Optum Insight(データ分析・ITサービス)を展開。2025年売上は2706億ドル(前年比7%増)。
この統合型モデルこそが、10年以上に渡る成長の源泉です。保険部門が支払う医療給付が自社グループ(Optum)に流れる垂直統合モデルで、ヘルスケア全体の価値を自社内で捉えます。一方で、これが規制当局の厳しい監視対象にもなっています。
株価を動かす要因
司法省(DOJ)調査が最大の懸念要素 UnitedHealthは2025年7月、メディケアアドバンテージ請求に関する刑事および民事の司法省調査に協力中であることを公表しました。調査は、患者診断内容の水増しなどによりメディケアからの受取額を増やしていた疑いが焦点。特に訪問看護師による診断追加が問題視されています。最大収益部門であるメディケアアドバンテージが対象です。
2027年のメディケアアドバンテージ保険料は実質据え置き案 2026年1月26日、米メディケア・メディケイドサービスセンターは2027年度のメディケアアドバンテージ保険料を実質0.09%増と発表し、医療費インフレを考慮すると事実上の減額。発表が決算前日だったため、株価下落を加速させました。加えてV28コーディング移行は2026年に60億ドルの逆風となります。
医療費率(MCR)の上昇 調整後医療費率(保険料のうち実際に医療給付に使われる割合)は2025年に88.9%(前年85.5%)へ上昇。これは利用増加、メディケア資金減少、インフレーション抑制法の影響を反映。2026年は88.8%と横ばい見込みで、利益率の回復は緩やかと見られます。
会員数は意図的に減少 同社は2026年に300万人超の会員減を見込んでおり、収益性の低い市場や契約からの撤退によるものです。CFOウェイン・デヴィットは「全社的な適正化」と説明。英国・南米事業の売却も合わせ、10年ぶりの売上減少となります。
経営陣の混乱 2024年12月のUnitedHealthcare CEOブライアン・トンプソン氏の殺害事件は世論を刺激し、2025年5月にはCEOウィッティ氏も辞任。ヘムズリー氏の復帰は安定化を意図したものですが、拡大よりも運営健全化重視へと方針転換しています。
バークシャー・ハサウェイが買い増し バフェット率いる同社は2025年第2四半期にUNH株約500万株を新規取得しました。ヘムズリーCEO自身も86700株(2500万ドル相当)を購入しています。
強気・弱気の視点
| 強気派の見方 | 弱気派の見方 | |
|---|---|---|
| バリュエーション | 予想PER約13倍と10年ぶりの割安水準。バフェットも大量取得、CEOも自社株買い。コンセンサス上昇余地33%。 | 割安には理由がある。DOJ調査で罰金・規制や事業再編リスク。バリュートラップ懸念も。 |
| 売上減少 | 不採算市場撤退による意図的な適正化。一時的減少であり2027年には2桁成長目標。 | 10年ぶりの減収は構造的圧力の兆し。会員300万人超の減少は回復困難。 |
| 医療費率 | 2026年88.8%へ微改善。不採算契約撤退でマージン正常化期待。 | 1年で340bps拡大。高齢化で利用増は構造問題。 |
| DOJ調査 | 過去のCMS監査でも遵守姿勢を強調。分割より和解の可能性が高いとの見方も。 | 刑事・民事調査が継続中。Optum分離なら統合モデル崩壊。和解でも巨額罰金や業務変更あり。 |
| Optumの競争優位 | 1億2300万人超が利用。統合モデルは他社難模倣。 | この垂直統合こそ規制当局の関心対象。PBM透明化規制で収益圧迫リスク。 |
| 人口動態 | 毎日1万人が65歳に。メディケア加入増が中長期的な成長要因。 | メディケア資金増が医療費に追いつかず、政府は民間保険の過払いを問題視。 |
| ヘムズリー復帰 | 成長を実現した設計者が再登板。インサイダー買いも活発。基本重視の方針転換。 | 危機管理の色が濃く、事件や調査で企業イメージ毀損。 |
注目の数値
2025年度売上高:4476億ドル(前年比+12%) UnitedHealthcare:3449億ドル(+16%)、Optum:2706億ドル(+7%)※一部重複あり
2025年第4四半期売上:1132億ドル 市場予想(1149.6億ドル)を下回る。EPS 2.11ドル(予想2.12ドル)
2025年度事業利益:190億ドル(特別損失込み)。調整後事業利益は217億ドル。営業キャッシュフロー197億ドル(純利益の1.5倍)
2026年度見通し:売上高4390億ドル超(約2%減)、事業利益240億ドル超、調整後EPS 17.75ドル超。アナリスト予想より約150億ドル下振れ。
医療費率:2025年度88.9%(前年85.5%) 2026年は88.8%見通し。保険会社にとって最重要の収益性指標。
会員数:2025年4980万人 2026年は300万人超の減少見込み。
株価:2026年2月末時点で約280ドル 最高値から55%下落。時価総額約2600億ドル、配当利回り約2.8%。次回決算は2026年4月22日頃予定。
トレーダー向けの主なリスク要因
DOJ調査は長期化の可能性 刑事・民事両調査は継続中で、解決時期は不透明。和解から厳しい制限措置・事業分割まで幅広い結末が想定され、特にメディケアアドバンテージ請求業務が標的。
メディケアアドバンテージ保険料圧力は構造的 政府は民間保険への過払い是正の姿勢を強化。今後も利益率低下リスク。V28コーディング移行で2026年は60億ドル逆風。
医療費増加トレンドは業界全体で加速 MCR(医療費率)の上昇は一時的ではなく、高齢化や新薬登場で利用増が継続。他の保険会社も同様の傾向。
政治リスクの高まり Optum RxなどのPBM(薬局給付管理)は超党派で規制対象。リベート構造の透明化規制や、保険会社への世論反発も不透明要素。
10年ぶりの売上減少 経営側は一時的と説明も、会員減やメディケア圧力が続けば長期的な縮小転換リスク。
1日20%超の大幅変動リスク 1月27日の決算発表時に1日で20%下落。大型ディフェンシブ銘柄としては異例のボラティリティ。
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UnitedHealth GroupはPhemexのTradFi先物として取扱中。おなじみのUSDT証拠金インターフェースで24時間取引可能です(仮想通貨先物と同様)。
UNHはテックや仮想通貨銘柄とは異色ですが、決算・DOJ調査・メディケア発表などで10-20%動くこともあり、こうした材料が通常取引時間外に出る場合でもPhemex TradFiなら即時の反応取引ができます。
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まとめ
UnitedHealth Groupは過去最大級の試練を迎えています。DOJ調査、メディケア保険料圧力、医療費増加、経営不安、10年ぶりの減収などで株価は最高値から55%下落。PER13倍、バフェットや経営陣の買い増しなど長期投資家には割安感もありますが、統合モデル維持の前提が重要。トレーダーにとっては決算・DOJ・メディケア発表などでテック銘柄並みの短期イベントボラティリティも特徴。2026年が「再出発の年」か「構造的縮小の始まり」かが注目されます。
本記事は情報提供のみを目的とし、投資助言等ではありません。TradFi先物は高リスクなデリバティブ商品です。レバレッジは利益・損失の両方を拡大させるため、ご自身のリスク許容度を十分ご確認の上でご利用ください。



