レンジトレーディングは、暗号資産トレーダーにとって非常に有効な戦略の一つです。市場が過去最高値や最安値を更新していない静かな時期にも、安定した利益を狙うことができます。基本的な考え方は、特定の価格帯の中で安く買って高く売ることを繰り返すシンプルな方法です。この戦略は、明確なサポート(下限)とレジスタンス(上限)を見極め、それらの価格帯で売買し、適切にリスクを管理することで成り立ちます。
レンジトレーディングとは?
レンジトレーディングとは、価格がある一定の範囲(レンジ)の中を上下に動く間に売買を行う戦略です。イメージとしては、価格がピンポン球のように「床(サポート)」と「天井(レジスタンス)」の間を跳ね返っている状態です。この動きを利用して利ざやを得るのがレンジトレーディングです。
たとえば、ビットコインの価格が数週間にわたり 30,000〜40,000 ドルの間で推移している場合、トレーダーは30,000ドル付近で買い、40,000ドル付近で売ることを繰り返します。トレンドトレーダーのように大きな上昇や下落を狙うのではなく、そのレンジの中の小さな動きを着実に取っていくのが特徴です。
この戦略の根底にあるのが「平均回帰(Mean Reversion)」という考え方です。価格は極端な水準から平均的な水準に戻りやすいという性質を活用します。過去から現在にかけて、株式やFX市場でも使用されてきた、非常に信頼性の高いアプローチです。
実際の使い方:レンジトレードのやり方
以下は、レンジトレーディング戦略を実際に使うためのステップバイステップのガイドです:
1. レンジを特定する
トレンドのない横ばいのチャートを探します。2回以上の高値反発(レジスタンス)と安値反発(サポート)が確認できると、信頼性のあるレンジと判断できます。
2. サポートでエントリーを計画
サポートライン付近で買い注文を出します。厳密なラインより少し上に設定する(例:サポートが1,400ドルなら、1,410ドルで買う)と、未約定のリスクを減らせます。RSIなどのオシレーターが「売られすぎ」を示していれば、買いのサインになります。
3. レジスタンスで利確
価格がレジスタンスに近づいたら、売り注文(利確)をやや下に設定します(例:1,600ドルのレジスタンスなら、1,590ドルで売り)。その方が他の売り注文より先に約定しやすくなります。
4. ストップロスを必ず設定
どんなレンジもいつかは壊れます。突然のブレイクアウトに備えて、ストップロスはレンジ外に設置しましょう。
5. 中央価格帯は避ける
レンジの中間価格帯(ミッドレンジ)は不確実性が高く、リスクリワード比が悪いため避けるべきです。
6. テクニカル指標を活用する
RSI、ボリンジャーバンドなどを使って、サポートやレジスタンスの有効性を判断します。Phemexなどでアラートを設定しておくのも効果的です。
7. トレード実行と自動化
あらかじめリミット注文を出しておくことで、狙った価格で自動的に取引が行えます。長期間続くレンジでは、グリッドトレーディングボットの導入も一つの方法です。
8. 同じ戦略を繰り返す
レンジが続く限り、同じ手法を何度も繰り返せます。ただし、相場の変化(レンジの消失や変形)には常に注意を払いましょう。
レンジ戦略を使うべきタイミングとは?
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横ばい・統合フェーズの相場
明確な上昇・下降トレンドがないときが理想的です。 -
ボラティリティが中程度
変動が小さすぎると利益が取れず、大きすぎるとレンジが崩壊しやすいです。 -
明確なサポート・レジスタンスラインがある
複雑なチャートではこの戦略は機能しづらいです。 -
時間足は自由に選べる
5分足〜日足まで、自分のトレードスタイルに応じて選択できます。 -
BTCやETHなど流動性の高い銘柄が最適
マイナーなトークンは突発的に大きく動くため、非推奨です。 -
重要なファンダメンタルイベントが控えていないこと
アップグレード、SEC関連、重大ニュースの直前は要注意です。
リスクと注意点
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フェイクブレイクアウトの危険
偽のブレイクでストップロスが狩られるケースがある。 -
本物のブレイクアウト時の損失
一度の大きな損失が、複数回の小さな利益を吹き飛ばす可能性があります。 -
機会損失
別の銘柄が30%急騰していても、レンジ内で5%利益を狙っていたら逃すかも。 -
メンタル負担
トレード回数が多く、かつ淡々とした動きが続くので、退屈や焦りからのミスに注意。
成功のためのヒント
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ストップロス&テイクプロフィットを常に設定する
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ポジションサイズは常に適切に管理する
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レバレッジは慎重に活用する
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RSIやボリンジャーバンドで根拠を強める
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自動化ツール(グリッドボットなど)を試す
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使いやすく信頼できる取引プラットフォームを選ぶ
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レンジが不明瞭なら、取引を控える勇気も必要
レンジトレードの起源とは?
レンジトレードは暗号資産から始まった手法ではありません。20世紀初頭のリチャード・ワイコフなどのテクニカル分析の先駆者たちがすでに扱っていた手法です。日本の江戸時代の米取引など、歴史的にもレンジ的な売買は行われていました。
まとめ
レンジトレーディングは、トレンドがない相場でこそ力を発揮します。明確なルールと冷静な判断力があれば、安定した利益を狙うことが可能です。まずはPhemexのテストネットなどで練習し、確信を持ってから実運用に入りましょう。相場が「退屈」なときこそ、稼げるチャンスが眠っているかもしれません。