2024年から2025年初頭にかけて「AIで遅れている」と批判されていたApple(AAPLUSDT)ですが、過去最大の四半期業績を発表しました。売上高は1,438億ドルで前年同期比16%増、iPhone売上は23%増の853億ドルと過去最高を大幅に更新。大中華圏は38%増、EPSは2.84ドルで新記録、営業キャッシュフローは539億ドルとなりました。
Appleを巡る市場の見方は大きく変化しています。1年前はiPhoneの買い替え停滞やAI戦略の遅れ、ChatGPTへの対抗策不在が懸念されていましたが、現在はiPhone 17シリーズの販売が供給不足となるほど好調で、Googleとの複数年にわたるAI提携を締結し、2.5億台を超えるアクティブデバイス基盤を築いています。
株価は約260ドルで最高値比5%ほど低い水準。3月四半期は13-16%の売上成長が見込まれ、2026年春には新しいSiriの刷新も予定されています。Appleにとって今年最大の挑戦は、AI機能が持続的なアップグレードサイクルを生むかどうかです。
次回決算(2026年第2四半期)は4月下旬〜5月上旬の発表見込みです。
60秒で分かるAppleビジネス
Appleは時価総額3.8兆ドル超を誇る世界最大の企業です。プレミアムなハードウェア、成長著しいサービスエコシステム、そして新たにAIプラットフォーム層をビジネスモデルの柱としています。記録的な四半期に各事業がどう寄与したかが、株価の背景を理解する鍵です。
iPhone(第1四半期売上の約59%):売上は853億ドルで前年同期比23%増、過去最高。全地域で記録更新。iPhone 17 Pro/Pro Maxや最薄型のiPhone Airが牽引しました。Androidからの乗り換えも2桁成長。先端チップ供給が需要に追い付かず、供給制約が発生しました。
サービス(約21%):売上は263億ドル(決算説明会では300億ドルと分類により異なる)、前年同期比14%増で過去最高。Apple TV+視聴は12月に36%増加。広告、クラウド、音楽、決済サービスも個別記録を更新。約75%の高粗利率で、Appleの継続的な収益モデルの柱。Googleの検索デフォルト契約(推定年20億ドル)は主要な収益源です。
Mac(約6%):売上は84億ドルで前年同期比7%減。これは前年のM4 MacBook Pro発売による高い比較水準が影響。新興市場は好調でした。
iPad(約6%):売上は86億ドルで6%増。購入者の半数超が新規ユーザー。
ウェアラブル・ホーム・アクセサリー(約8%):売上は115億ドルで2%減。AirPods Pro 3の供給不足が影響。供給制約なければ成長していたとされています。
2025年度(2025年9月終了):通年売上は約4,160億ドル、6.4%増。純利益は1,120億ドル。
株価を動かす要因
Appleの2026年は、iPhone 17によるスーパーサイクル、AI戦略の本格化、そしてマクロや関税による利益不確実性が主な焦点です。
iPhone 17のスーパーサイクル。23%成長、全地域で記録更新、供給制約という結果は、5G iPhone 12サイクル以来の強さ。大量の旧型ユーザー(iPhone 12/13)が買い替え時期を迎え、iPhone Airの新規層開拓、そしてApple Intelligence機能が最新機種への需要を促進しています。CEOのTim Cook氏は「驚異的な需要」と表現しました。
Google Gemini提携。2026年1月、AppleとGoogleは複数年のAI契約を発表。GoogleのGeminiモデルおよびクラウド技術がAppleの次世代AI基盤や新しいSiriに使われます。Appleはこの技術に年間約10億ドルを支払うと報じられています。2026年春にiOSアップデートで公開予定の新Siriは、パラメーターが1500億から1.2兆に大幅増加。既存のChatGPT/OpenAI連携も維持予定。Appleはプライバシー重視を打ち出しつつ、AI分野で競争力を確保しようとしています。
中国市場の回復。中国売上は前年比38%増の255億ドルで過去最高水準に近づきました。iPhoneは都市部で3大人気機種となり、新規アップグレードや来店者数も2桁成長。2025年度は弱点だった中国市場での劇的な回復です。背景には、Huaweiがシェアを伸ばしていた中でのiPhone 17の訴求力拡大があります。
アクティブデバイス数の節目。Appleの世界アクティブデバイス数は25億台を突破(1年前は23.5億台)。これは今後のサービス加入者基盤の拡大を意味します。1台あたり年間100ドル超のサービス収益を想定すれば、アドレッサブルな市場規模が拡大し続けています。
関税・利益率の逆風。2026年第1四半期に約14億ドルの関税を負担、期間全体で20億ドル。中国、インド、日本、韓国、台湾、ベトナム、EUからの輸入関税も継続。メモリ(NAND・DRAM)価格上昇も利益率を圧迫。第2四半期の粗利率ガイダンスは48-49%で、コスト上昇を認めています。Section 232半導体調査の結果、Apple製品への新たな関税は現時点でありませんが、リスクは続きます。
サービスへの規制圧力。Googleによる検索デフォルト契約(年20億ドル)は独禁法訴訟の焦点でした。2025年12月の判決で契約は許容されるものの、1年以内に解除・非独占が条件に。新たなAI提携も競争関係への指摘があります。Googleからの支払いに変化があれば、サービス部門の利益率へ影響します。
強気派 vs. 弱気派の見方
| 強気派の主張 | 弱気派の主張 | |
|---|---|---|
| iPhone | 過去最高の四半期。23%成長。供給制約により需要の強さが示され、大量の買い替え需要が控える。 | 一つの四半期だけでは傾向といえない。iPhoneサイクルはピーク後に減速しやすく、供給制約は真の需要を見えにくくする。 |
| AI | Gemini提携で短期間で最先端AIを獲得。25億台のデバイス基盤とプライバシー重視の方針が強み。 | AI中枢をGoogleに依存。Siri刷新は一度延期済み。今後の成果が求められる局面。 |
| サービス | 四半期売上300億ドル、14%成長、75%以上の粗利率。25億台からの継続収益。金融、広告、配信へ拡大。 | Google検索契約(年間200億ドル)が独禁法リスクに直面。App Store手数料も世界規制下で圧力。集中リスクが高い。 |
| 中国 | Q1で38%売上増、新規アップグレード多数、近年で最も強い四半期。 | Huaweiが競争力あるAI搭載端末で台頭。地政学的リスク。中国ではGoogle利用不可のためAI戦略が異なる。 |
| バリュエーション | エコシステムによる囲い込み、540億ドルの四半期キャッシュフロー、大規模な自社株買いとAIオプション価値がプレミアムの根拠。 | 予想PER約30倍で完璧な成長期待が織り込まれている。iPhoneやサービスの減速には大きな下振れリスク。 |
| 利益率 | Q1粗利率48.2%、前年同期比130bp増。プレミアムiPhone 17モデルの構成比増が寄与。 | メモリ価格上昇、関税負担(四半期約14億ドル)、先端チップ供給制約が2026年度通年で利益率を圧迫する可能性。 |
主要な業績データ
- 2026年度第1四半期売上(2025年12月):1,438億ドル、前年比16%増、過去最高
- EPS:2.84ドル、前年比19%増、過去最高
- iPhone売上:853億ドル(+23%)、全ての地域で過去最高
- サービス売上:263〜300億ドル(+14%)、各分野で記録更新
- 中国売上:255億ドル(+38%)、地域記録に迫る
- 粗利率:48.2%(前年46.9%)、製品マージンは前四半期比450bp増
- 営業キャッシュフロー:539億ドル、過去最高
- 株主還元:第1四半期で320億ドル(自社株買い250億ドル・配当39億ドル)
- アクティブデバイス基盤:25億台、全カテゴリ・地域で過去最高
- バランスシート:現・有価証券合計1,450億ドル、純現金ポジション540億ドル(負債910億ドル)
- 2026年度第2四半期ガイダンス:売上成長13-16%、粗利率48-49%、サービス成長はQ1並み、OpEx 184-187億ドル
- **アナリスト予想**:買い/やや買い。平均目標株価288〜305ドル。Wedbush(Dan Ives)は350ドル(最強気)、Loop Capitalは215ドル(最弱気)。レンジ215〜350ドル。
トレーダー向け主なリスク要因
関税動向が不確定要素。Q1で14億ドルの関税負担があり、関税状況は流動的です。製造の多くを占める中国・インド・ベトナム等からの輸入関税拡大リスクもあります。Section 232半導体調査もあり、不確実性が続きます。エレクトロニクスや半導体が対象となればコスト構造への影響が大きいでしょう。
メモリ価格の上昇。経営陣はメモリ価格上昇を利益率の逆風と明言。長期契約による緩和策はあるものの、2026年度を通じて影響が拡大する見通し。四半期売上1400億ドル規模の企業にとって、わずかなマージン低下も利益額に大きく響きます。
iPhoneサイクルの持続性。Q1の23%成長は際立っていますが、過去サイクルではその後減速する傾向も。3月以降の四半期で失速すれば「スーパーサイクル」から「先食い」への見方転換もあり得ます。供給制約で真の需要把握が難しい点も課題。会社のQ2ガイダンス(成長13-16%)も伸びの鈍化を示唆しています。
AI実行リスク。Appleは当面Google GeminiをAI基盤に据えますが、Siri刷新は既に延期の経緯も。春の新Siriが期待を下回れば、GalaxyやPixelなど他社との差別化も難しくなります。中国市場ではGoogleが利用不可なため、百度等との代替パートナーシップも模索中です。
サービス規制リスク。Googleとのデフォルト検索契約(年20億ドル相当)はサービス売上最大の要素ですが、独禁法判決で1年以内の契約終了・非独占化が義務付けられ、交渉力が低下。EU(DMA)、日本などでApp Storeの決済手段も多様化圧力が強まっており、手数料収入への影響も考えられます。
バリュエーションプレミアム。予想PER 30-31倍は他のメガキャップ株と比較して高水準。エコシステムやキャッシュ創出力、安定性への評価ですが、業績未達やガイダンス下方修正、ストーリー転換時の売り圧力も大きいです。2025年にはAI懸念だけで株価が15%以上下落した例も。
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AAPLは決算や新製品発表、関税やAI関連の発表などで米国市場外でも大きく動くことがあります。Phemex TradFiなら、アフターマーケットの決算発表や週末の関税、早朝のAI発表など、柔軟にポジションを調整できます。
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まとめ
Appleは記録的な四半期決算で、世界最大の企業の底力を改めて示しました。売上・iPhone・サービス・キャッシュフローとも過去最高、中国市場の回復も想定外の規模です。Google Geminiとの提携で初めて信頼できるAIプラットフォーム戦略も確立し、25億台のデバイス基盤はAI収益化でも他社を圧倒できます。一方で、関税、メモリコスト、iPhoneサイクルの持続性、30倍超のバリュエーションなどリスクも明確です。Q2の成長ガイダンスや春のSiri刷新が次の重要な転機となるでしょう。
本記事は教育目的であり、金融・投資アドバイスではありません。TradFi先物は高リスクなデリバティブ商品です。レバレッジは収益と損失の両方を拡大させます。取引前にご自身のリスク許容度をご確認ください。
