
2026年6月23日、韓国KOSPI指数は約10%下落し、1日の取引で2度のサーキットブレーカーが発動する事態となりました。SKハイニックスとサムスン電子はともに約12%下落し、日本のキオクシアも約15%値を下げました。この影響はアジアだけに留まらず、米国市場でもマイクロン株が7.25%下落し、決算発表直前のタイミングで取引されました。
引き金となったのは業績悪化や需要減ではなく、サムスンとSKハイニックスに連動した16本のレバレッジ型単一株ETFの強制的な解消です。これらの商品は5月末の発売から短期間で約1.4兆ウォン(約91億ドル)規模に急増し、その約92%がリテール資金でした。売却が始まると、レバレッジ効果が逆方向に働き、メモリ関連株全体の下落を加速させました。この記事では、ソウルのETF問題が、どのようにして世界の半導体市場へと波及したのかを解説します。
2026年6月23日のKOSPIで何が起きたのか
出典: Yahoo Finance
韓国の代表的な指数であるKOSPIがサーキットブレーカーを起こすことは稀です。指数が8%以上下落すると一時的に取引が停止され、15%で2回目のサーキットブレーカーが発動します。6月23日は同一セッションで両方の条件を満たし、「ダブル・サーキットブレーカー・デー」と呼ばれる異例の展開でした。
レバレッジETFが原因となったことから、損失はSKハイニックス(約12%下落)とサムスン電子(約12%下落)に集中しました。さらにその影響は韓国を超え、日本のNANDメーカーであるキオクシア(約15%下落)にも波及しました。
特筆すべきは、下落のスピードです。通常の調整局面であれば、ポートフォリオマネージャーがヘッジする余地がありますが、ETFの強制解消時はそうした余裕がありません。ファンドはレバレッジの基準を割ると機械的に売却せざるを得ず、相場の下落をさらに加速させました。SKハイニックスとサムスン電子が指数構成比で大きなウエイトを占めていることが、個別ETFの問題をベンチマーク全体のイベントに発展させました。
単一株レバレッジETFの強制解消メカニズム
単一株レバレッジETFは、通常1銘柄のリターンを2倍にすることを目指します。例えば、SKハイニックスが1日で3%上昇した場合、2倍ETFは約6%のリターンを目指す設計です。この倍率を維持するため、ファンドは毎日デリバティブのポジションを調整(リバランス)する必要があります。下落時には、その調整が売り圧力となります。
6月23日に起きた流れは以下のとおりです:
- 通常のAI株価変動で対象株が安く始まる
- 2倍ETFが規定のエクスポージャーを超え、基準へ戻そうと売却を実施
- 約92%がリテール投資家で構成されていたため、機関投資家のように冷静に対応できる資金が少なかった
- ファンド側の売りが株価をさらに下げ、さらなる基準違反→追加売却というループが発生
- 約1.4兆ウォン(約91億ドル)の資金が2銘柄に集中し、市場の流動性を超える売り圧力となり、指数全体をサーキットブレーカー圏内まで押し下げた
金融監督当局のガバナーは、これらのETF商品を2026年5月末に承認したことを「遺憾」と述べています。
主要な半導体株の動き
売却は国境を越えて広がりました。以下は主な半導体株の下落率と要因です。
| 銘柄 | 地域 | 6月23日の動き | 下落の要因 |
|---|---|---|---|
| SKハイニックス | 韓国 | 約-12% | レバレッジETF対象銘柄 |
| サムスン電子 | 韓国 | 約-12% | レバレッジETF対象銘柄 |
| キオクシア | 日本 | 約-15% | NAND関連の波及、流動性の低さ |
| マイクロン(MU) | 米国 | -7.25%(1,051ドル) | メモリ分野全体への波及・決算前の動き |
| NVIDIA(NVDA) | 米国 | 200.81ドル付近を維持 | AI関連懸念は限定的、メモリに特化した下落 |
この表からも、純粋なメモリ株ほど大きく下げたことが分かります。NVIDIAはAIバリュエーション懸念があったものの、メモリ価格やレバレッジETFの影響と異なり、ほぼ値を保ちました。
マイクロンへの波及と今後の注目点
マイクロンは米国で上場している唯一の大手メモリ専業メーカーであり、SKハイニックスとともに高帯域幅メモリ(HBM)分野で競合しています。SKハイニックス株が構造的な要因で12%下落すると、マイクロンも同時に再評価される形で7.25%下落しました。
マイクロンは今夜(2026年6月24日、米国市場引け後)2026会計年度第3四半期決算を発表します(対象期間:2026年3月〜5月)。7%下落した状態で決算を迎えるため、内容次第で値動きが大きくなる可能性があります。
メモリは循環的なビジネスのため、今後の見通し(ガイダンス)が最も注目されます。もしHBM価格や出荷量見通しが強気であれば、韓国で起きた下落を否定し、反発のきっかけとなる可能性があります。逆に慎重なガイダンスが示された場合、今回の下落に市場の根拠が与えられることになります。
メモリ分野は、スポット価格や在庫の影響を強く受けやすい構造を持ち、レバレッジETFのような金融商品による影響が伝わりやすいのが特徴です。このため、デザインハウス型のNVIDIAなどとは異なり、今回のような現象が起きやすいと言えます。
今後の注目点
- 6月23日の急落が一時的なものか、より大きなトレンドの始まりか。レバレッジETFの解消は一度きりの機械的イベントであり、16本全てのリバランスが完了すれば強制的な売りは収束します。
- 今夜発表されるマイクロン決算のガイダンス。実需の変化があったのか、金融構造上の問題だけだったのかを見極める重要なシグナルです。
- NVIDIAが200.81ドルを維持できるか。NVIDIAが堅調である限り、今回の下落はメモリ分野に特化した現象と考えられます。
よくある質問
2026年6月23日の韓国半導体株急落の原因は?
サムスンとSKハイニックスに連動する16本のリテール比率が高いレバレッジ型ETFが一斉に解消され、約91億ドルの資金が集中売却されました。これにより株価が急落し、ダブル・サーキットブレーカーを引き起こしました。
なぜ韓国発の下落でマイクロン株も下げたのか?
マイクロンは米国唯一の大手メモリ専業メーカーかつSKハイニックスと競合しており、韓国メモリ株が急落するとセクター全体の見通しが再評価されるためです。
マイクロンの決算発表時期は?
2026年6月24日(米国市場引け後)に2026会計年度第3四半期決算を発表予定です。HBM価格や出荷量ガイダンスが注目点です。
単一株レバレッジETFはリスクがあるか?
特に相場下落時にはリスクがあります。倍率維持のための毎日のリバランスが下落時に売り圧力となり、リテール比率の高さが損失拡大につながる場合があります。
まとめ
16本のレバレッジETFの解消が無事終了し、マイクロンがHBM見通しを強気に発表した場合、市場は一時的な金融イベントとして落ち着く可能性があります。逆に慎重なガイダンスやNVIDIAの下落が続いた場合、メモリ分野を中心とした再評価が続く可能性もあります。今後24時間が重要な局面となります。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融または投資助言ではありません。暗号資産取引はリスクを伴います。必ずご自身で十分な調査を行ってから意思決定をしてください。






