BlackRockは2026年第1四半期の決算を4月14日朝に発表し、ウォール街は1株当たり約12ドル、収益66億ドル、運用資産総額14.2兆ドルを見込んでいます。これらの数字は株式には重要ですが、ビットコイン市場に直接的な影響はありません。暗号資産市場が注目する唯一の指標はiShares部門の内訳である、BlackRockの現物ビットコインETF「IBIT」への資金流入・流出データです。
IBITは第1四半期末時点で約540億ドルの運用資産を持ち、米国現物ビットコインETF市場の約半分を占め、四半期純流入は推定84億ドルに達しました。3月だけで4ヶ月続いた純流出が反転し、13億ドル超の新規資金がETF商品に流入、その多くをIBITが吸収しました。本日の決算説明会では、この勢いが維持されたのか、加速したのか、それとも3月末から4月初旬のホルムズ海峡の市場変動で減速したのかが明らかになります。
IBITがビットコイン需要の最重要指標となる理由
2024年1月の現物ETF開始以前、機関投資家のビットコイン需要を追跡するには、GrayscaleのディスカウントデータやCME先物のポジション、オンチェーンの大型ウォレットなどを組み合わせる必要がありましたが、どれも単独では信頼性に欠けました。IBITの登場により、金融業界最大の流通チャネルを通じてビットコインに新規資本が流入している規模を、日次・監査可能・ドル建てで把握できるようになりました。
IBITは2026年3月末時点で約782,000BTCをカストディし、日次取引高は32億ドル超でBinanceにも匹敵し、Coinbaseの2倍以上です。全米現物ビットコインETF資産の約49%を占めています。IBITの540億ドルと、2位のFidelity「FBTC」約180億ドルとの差は、ほとんどのETF発行体全体の運用資産を上回っており、IBITのフローデータはその週の機関投資家需要を示す主指標となっています。
第1四半期のフローデータが示すもの
四半期初めの状況は、ヘッドラインだけでは読み取れない複雑さがありました。
1月・2月は厳しい状況でした。ビットコインETF全体で約45億ドルの純流出が発生し、IBIT単体でも約21億ドル減少しました。BTC価格も72,000ドルから65,000~68,000ドル台へ下落。売り圧力はホルムズ海峡の緊張や原油高、2026年前半の米FRB利下げ期待の後退と重なりました。
しかし3月に流れが反転。全ETF合計で13億ドル超の月間純流入を記録し、IBITの単日流入は3月28日に3億8000万ドル、3月上旬には6営業日連続でETF全体の78%の流入を占めました。この反転により、四半期累計で187億ドルの純流入となり、ローンチ以来で最も好調な四半期となりました。
| 指標 | 1-2月2026 | 3月2026 | Q1合計 |
|---|---|---|---|
| ビットコインETF全体純流入 | -45億ドル | +13億ドル | +187億ドル |
| IBIT純流入 | -21億ドル | ~+15億ドル | ~+84億ドル |
| IBIT日次平均取引高 | 28億ドル | 32億ドル | 30億ドル |
| IBIT最大単日流入 | 2億6900万ドル | 3億8000万ドル | 3億8000万ドル |
本日の決算説明会では、BlackRockが3月の回復をどう評価するかが注目点です。CEOのラリー・フィンク氏がデジタル資産の運用資産増加やIBITの勢いに言及すれば、機関投資家の需要拡大のシグナルとなります。逆にIBITへの言及が限定的であれば、市場もその沈黙を注視するでしょう。
IBITフローがBTC価格に与える影響
仕組み自体はシンプルですが、その規模は多くの人が想像する以上です。IBITへ資金流入があると、認可参加者が新規ETFシェアを裏付けるために現物ビットコインを市場で購入します。1日あたり3億8000万ドルの流入は、市場価格で約5300BTC分、すなわち新規マイニング供給の約26日分に相当します。
この買い圧力は価格に直結します。例えば2026年2月25日には、停戦発表後にIBITに2億6900万ドルの流入があり、ビットコインは同日4.5%上昇しました。IBITフローの方向とBTC翌日リターンの相関は、ローンチ以来約73%の取引日において正の関係が見られ、一般的なテクニカル指標よりも強いシグナルです。
逆に、1月~2月の流出期間中は、認可参加者が換金のためにBTCを売却し、マクロ要因によるリスクオフの売り圧力をさらに強めました。ETF純流出と地政学的要因による複合効果が、BTC価格を72,000ドルから66,000ドル以下まで6週間で押し下げました。
IBITのフローがプラスに転じて継続すれば、オンチェーン蓄積だけでは得られない下値支持が形成されます。逆に再びマイナスに転じれば、市場最大の流通チャネルからの売り圧力は大口投資家の買いでも補いきれません。
決算説明会で注視すべき3点
IBIT個別の運用資産やフローに関する説明
BlackRockはiShares部門データを詳細に報告しており、IBITのパフォーマンスがまとめてではなく個別で開示されれば、ビットコインETFを戦略的成長ドライバーと考えているサインです。コメント内の表現にも注目してください。「機関投資家の導入が加速」と「顧客の関心が安定」では意味が異なります。新商品パイプラインの進捗
BlackRockは第1四半期末にIBITオプションを活用したビットコインインカムETF「BITA」の申請を行いました。BITAのタイムラインや追加の暗号資産商品の展開状況は、同社のデジタル資産分野への取り組み度合いを示します。新商品が増えれば流通チャネルも拡大し、流入機会も広がります。Morgan Stanley「MSBT」による手数料競争
Morgan Stanleyは4月に0.19%の手数料でMSBT現物ビットコインETFをローンチし、IBITの0.25%を下回っています。アナリストから手数料競争について質問があれば、BlackRockが圧倒的シェアをどう守るかその方針が明らかになるでしょう。
今回の決算がBTC市場に与える意義
BlackRockの第1四半期決算は、BTCが72,900ドルからホルムズ海峡の混乱で71,000ドル付近に下落し、原油価格が115ドルを上回るなど市場が不安定な中での発表です。
このような局面では、機関投資家の資金フローシグナルが重要です。リテール層は様子見姿勢を強めており、大口投資家も積極的な買いには動いていません。現状で価格を動かすのは、ETF商品を通じて顧客資金を配分するウェルスアドバイザーです。BlackRockの決算説明会は、その資金が第1四半期に入ったのかどうかを市場が知るタイミングとなります。IBIT流入が強く、フィンク氏のトーンがポジティブなら、アドバイザーも継続的な買いに前向きになるでしょう。逆にデータやコメントの弱さが際立てば、BTCの70,000ドル支持線はより脆弱となります。
よくある質問
Q1. BlackRockの第1四半期2026年決算発表はいつですか?
BlackRockは4月14日、NYSE開場前に第1四半期決算を発表し、カンファレンスコールは米東部時間7:30開始です。IBITフローやiShares部門の説明は冒頭15分程度で行われることが多く、重要情報は多くのトレーダーが朝のコーヒーを飲む前に市場へ流れます。
Q2. IBITはビットコインETF市場のどの程度を占めていますか?
2026年3月末時点でIBITは約540億ドルの運用資産を持ち、米国現物ビットコインETF市場の約49%を占めています。2位のFidelity「FBTC」は約180億ドルで、その差からもIBITのフローデータが機関投資家需要の代表値であることが分かります。
Q3. IBITへの資金流入はビットコイン価格に直接影響しますか?
はい。IBITのETFシェア購入時、認可参加者が現物ビットコインを市場で買い付ける必要があるため、1日3億8000万ドルの流入は約5300BTC分の買い需要となり、新規マイニング供給の3週間分以上が一度に吸収される計算です。IBITフロー方向とBTC翌日のリターンの正相関はローンチ以来約73%の頻度で観測されています。
Q4. BlackRock決算発表前後でビットコインを購入すべきですか?
多くの場合、データを確認してから判断することが賢明です。もしIBITフローが強く、フィンク氏のコメントがポジティブであれば、機関投資家の信頼感が示されBTCは上昇する傾向。逆に数字が期待に届かない場合は、より低い価格で冷静に判断する余地が生まれます。全体像は4月14日午前中には明らかになるでしょう。
まとめ
BlackRockの第1四半期決算は、暗号資産市場にとっては収益やEPSではなく、IBIT純流入とフィンク氏がビットコインの機関投資機会をどれだけ強調するかが重要です。3月に13億ドルの流入反転があったことで、機関投資家の存在感は依然健在ですが、BTCが71,000ドルで原油115ドル超の環境下では更なる支持が必要です。今日の数字が3月の流入が本当の転機だったと示せば、ウェルスマネジメント資金の流入も続くでしょう。もし一時的な例外であれば、2026年で初めて70,000ドルのサポートが本格的に試されることになります。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言ではありません。暗号資産取引には高いリスクが伴います。必ずご自身で調査し、ご判断ください。






