米国現物型ビットコインETFは、4月23日までの8営業日連続で合計21億ドルの純流入を記録し、運用資産総額(AUM)は1,020億ドル、上場以後の純流入累計は580億ドルとなりました。BlackRockのIBITはこの資金の約75%を吸収し、14億ドルの流入で保有残高は約81万BTCに拡大しています。同期間、ビットコイン価格は68,000ドルから77,000ドルへ12%上昇し、価格とフローの相関はほぼ1:1でした。
直近でこれほど長いETF連続流入があったのは2025年10月の9日連続で、その時は約60億ドル流入し、BTCは過去最高値の12万6,000ドルに到達しました。ただし、CoinDeskは見落とされがちな点を指摘しています。短期保有者が静かに機関投資家の買いに売りをぶつけ始めており、8万ドル水準が今回の上昇トレンドの持続力を試す重要な局面になっています。
8日間連続流入の内訳
数字はシンプルですが、分布の詳細が重要です。
11種類の現物型BTC ETF全体で21億ドルの純流入があり、そのうちBlackRockのIBITが14億ドルを獲得。4月23日単日では2億2,300万ドルの純流入、その75%に当たる1億6,700万ドルをIBITが占めました。この集中は、複数ETFで幅広い個人投資家の熱狂が広がっているわけではなく、大口資本が最も流動性の高いETFへ流れていることを示しています。
FidelityのFBTC、BitwiseのBITB、Ark/21SharesのARKBが残り25%を分け合い、他の小規模ETFはゼロまたは若干のマイナスを記録しています。ローンチ以降、この傾向は一貫しています。つまり、機関資金はまずBlackRockのETFに流れ、その後で他のETFに流入するという構図です。
IBITの残高は現在約81万BTCと過去最高水準。同時期、Strategy(旧MicroStrategy)も3万4,164BTC(約25.4億ドル相当)を追加購入し、合計保有は81万5,061BTCとなりました。世界最大級のビットコイン保有機関2社が、80万BTC超で静かな蓄積競争を繰り広げています。
なぜ2025年10月の事例が重要か
過去、これに匹敵するETF流入は2025年10月の9日連続(約60億ドル規模)で、同時に単日最大のIBIT流入(9億7,000万ドル)も記録しました。当時、ビットコインは約9万8,000ドルからスタートし、最終的に12万6,080ドルの最高値を記録しました。
今回の流入規模は絶対額では小さいですが(21億ドル vs 60億ドル)、市場環境は異なっており、より強い動きの可能性も考えられます。
| ファクター | 2025年10月連続記録 | 2026年4月連続記録 |
|---|---|---|
| 期間 | 9日間 | 8日間(執筆時点で継続中) |
| 純流入額 | 約60億ドル | 21億ドル |
| BTC開始価格 | 約98,000ドル | 約68,000ドル |
| 期間中のBTC値動き | +28%(12万6千ドル最高値) | +12%(77,000ドルまで) |
| 直前トレンド | 3か月上昇 | 5か月調整局面後 |
| 開始時センチメント | 強気(Fear&Greed:72) | 弱気(Fear&Greed:約35) |
| ETF運用資産総額 | 約780億ドル | 1,020億ドル |
2025年10月の流入は、すでに強気な相場で参加者が価格上昇を追いかけている状況で発生。一方、2026年4月は調整局面からの反転で、依然として市場心理は慎重。過去の傾向では、恐怖心理から始まる流入期は蓄積局面を示すことが多いです。
供給吸収の観点
この連続記録が単なる資金規模に留まらず、構造的に重要な理由があります。
8日間でETFは約1万9,000BTCを吸収し、その間マイナーによる新規発行は約2,100BTC。つまりETFによる需要が新規供給の9倍に達しています。さらに同週にはStrategy社の別途2.54億ドル購入(3万4,164BTC分)も加わりました。
この需給バランスの偏りは明白です。ETFが新規マイニング分の9倍を買い続ければ、同規模の売りがなければ価格は上昇しやすくなります。現状、市場が注目しているのは、こうした需要を吸収できる売り手が存在するかどうかです。
機関投資家の買いを受けて売却しているのは誰か
CoinDeskの4月24日付報告によると、ETFへの強い流入の裏で、短期保有者が静かに売却を進めています。これは過去サイクルの回復局面でも見られた現象です。機関投資家の流入によって価格が上昇し、調整局面で買ったトレーダーが損益分岐点や小幅利益で売却しています。
Glassnodeのデータによれば、短期保有者の平均取得コストは80,100ドル。これは過去155日以内にBTCを購入した投資家の平均購入価格にあたります。この水準を超えると、直近の購入者の54%が含み益となり、これまでの値動きでも同様の局面で短期保有者の売却が増加し、局地的な天井となる傾向が見られました。
短期保有者の実現利益はすでに1時間あたり440万ドルに急増し、年初来の局地的トップ時の目安(150万ドル)を大きく上回っています。ETFの買い需要は現実ですが、それを利用して売却する動きも顕著です。
8万ドルが今後を左右する重要な水準である理由
8万ドル付近は強気・弱気両方のシナリオがぶつかる分岐点であり、どちらが先に資金余力を使い果たすかが鍵です。
強気シナリオ:ETF流入が継続し、短期売り圧力が一巡すれば、BTCが80,100ドルを突破し、この価格帯がレジスタンスからサポートに転換する可能性があります。78,000ドル超のショートポジションが踏み上げられると一段高も想定され、過去の2025年10月と同様、10万ドル台再試の展開も見込まれます。
弱気シナリオ:価格が8万ドルに接近するにつれ短期売りが加速し、ETF流入も鈍化あるいは反転。2026年に何度も跳ね返されたこの水準で再び上値を抑えられると、今回の連続流入は単なる売り抜けの機会だった可能性が高まります。
この価格帯が他のレジスタンスと異なるのは、ここに多くの短期保有者が集中しているためです。80,100ドルは直近購入者の半数以上が損益分岐となるため、売却圧力の壁となります。
なお第3のシナリオとして、BTCが75,000〜80,000ドルで数週間推移しETF流入が続けば、短期保有者の平均取得コストが時間経過とともに下がり、抵抗帯が徐々に低下することも考えられます。
1月の失敗した上昇との違い
BTCは1月中旬に77,500ドルまで上昇後、3週間で65,000ドルへ反落しました(当時もETF流入はありましたが、今回との違いは明確です)。
1月の上昇は、4日間で約8億ドルの流入があった短期間のバウンスに過ぎませんでした。前年11〜12月に記録的な45.7億ドルの流出があり、市場は依然として売り優勢な局面でした。
一方4月の連続記録は期間も3倍、流入額も2倍以上。3か月連続で流入改善が続き、4月は2025年10月以来初めて全期間でプラスに転じました。今の基盤は構造的に違っており、8万ドルのテストという点のみが共通しています。
よくある質問
ビットコインETFで最長の連続流入期間は?
過去最長は2025年10月の9営業日連続(約60億ドル流入、BTC最高値更新直前)。今回の8日連続はスポットETF開始(2024年1月)以降で2番目の長さです。もし4月24日も流入が続けば記録タイとなります。
なぜBlackRockのIBITに流入が集中するのか?
IBITは現物型ビットコインETFで最大かつ流動性が高く、スプレッドも最小。大口資金の分散リスクやスリッページを最小化でき、手数料も主要ETFの中で最安(0.25%、初期免除期間後)。年金基金や資産運用プラットフォームがビットコインを組み入れる際、株式ETFのSPYのような存在です。
ETFの流入記録が途切れた場合は?
1日だけの流出はトレンドを否定しません。2025年10月も小幅な流出の翌日に再び流入が再開し、BTCは上昇を継続しました。3日以上連続流出が警戒サインです。
ビットコインの次のレジスタンスは8万ドル?
8万〜8万100ドルは短期保有者の平均取得価格で、過去155日以内の購入分の基準値です。2026年のこれまでの上値トライではこの水準で売りが強まり、最も信頼性の高いレジスタンスです。突破できるかどうかがETF主導の上昇継続を占います。
まとめ
8日間・21億ドルのETF流入記録は、5か月の調整後に機関投資家需要が戻ったことを示します。新規マイニング供給の9倍の吸収という需給インパクトが見られ、過去2025年10月のケースが今後の参考材料となります。ただし、市場はETFフローだけで動いているわけではありません。
短期保有者の売り圧力が強まっており、8万100ドルの取得コスト水準は直近購入者の半数以上が損益分岐。ETF流入が続き短期売りが出尽くせば、再び10万ドル超への上値トライも現実味を帯びます。逆にこの水準で反落・流入鈍化が見られれば、今回の記録は蓄積ではなく分配イベントだった可能性もあります。今後2週間で8万ドルの攻防結果が明らかになります。
本記事は情報提供のみを目的としており、投資助言や金融アドバイスではありません。暗号資産取引には高いリスクが伴います。取引判断の前に必ずご自身で十分な調査・検討を行ってください。






