2026年4月下旬時点でビットコインは約77,100ドルで取引されており、サイクル中の安値60,000ドルからは30%上昇していますが、2月以降の調整相場以来、80,000ドルの抵抗線を超えられず推移しています。アナリストのMichael van de Poppe氏など複数の専門家は、もしこの抵抗帯を突破できれば、次の主要ターゲットは85,000~88,000ドルになると指摘しています。これは現状から約15%の上昇幅となります。
このターゲットは現実的な水準であり、200日単純移動平均線(84,593ドル)や、ホルムズ危機前の1月統合レンジ上限と重なっています。しかし、5月にこの水準に到達するには、3つの条件が整う必要があります。現時点では、いずれも確約されていません。
条件1:週足で80,000ドル超えの終値を記録
現在、ビットコインのチャートで最も重要な価格水準が80,000ドルです。これは心理的節目であるだけでなく、21週指数移動平均線や2月下落前に数週間横ばいとなった水準と重なります。2月初旬以来、週足で80,000ドルを超えた終値が出ていませんが、これを達成できれば、126,000ドルからの調整局面が構造的に終了したことを示唆します。
週足チャートでは、4週連続でローソク足が上昇を見せており、これはブレイクアウト前に見られる階段状パターンです。しかし、4月24日に79,477ドルまで上昇したものの、再び80,000ドルで売り圧力に押されました。80,000ドル付近の売りは強く、過去数回にわたりこの水準で反発しています。
なぜ週足終値が重要かというと、一時的な80,000ドル超えではなく、1週間を通して買い圧力が維持された場合にのみ、新たな下値支持帯が形成されるためです。2025年・2026年の主要トレンド転換も、週足終値が主要移動平均線を明確に抜けたタイミングで発生してきました。
もしBTCが週足で80,000ドルを明確に突破できれば、次は84,500~85,000ドル(200日SMA付近)が節目となり、88,000ドルまでの上値余地が広がります。反対に、76,000ドルを下回る場合には、72,000ドル付近のサポートゾーンが次の機関投資家の買い関心帯となります。
条件2:ETF流入の再開と維持
スポット型ビットコインETFは4月に入り大きく流れが変化しました。4月初旬には2月以来最大のETF流入が記録され、4月13日以降は9日間で約21億ドルの純流入が続きました。ブラックロックのIBITでは単月で21億ドル、モルガン・スタンレーのMSBT(4月8日上場)は初週に7,100万ドルの流入となりました。
しかし4月27日には、ビットコインETFで2億6,300万ドルの純流出が記録され、以降も流出が続いています。フィデリティのFBTCは1日に1,959BTCの流失、ブラックロックも4月29日に1億1,200万ドルの流出となり、調整局面が続きました。
ETFフローは機関投資家需要の重要な指標です。ETF経由での買いが強ければ売りを吸収しながら価格上昇を後押ししますが、流出が続くと価格上昇には大きな壁となります。
5月初旬に注視すべきは、3日連続で1日1億ドル以上の純流入が戻るかどうかです。流入が戻れば機関投資家による買いが再開されたと考えられ、ブレイクアウトの信頼性が高まります。逆に流出が続く場合は、FRB議長交代を前にリスク回避が進んでいる可能性があり、88,000ドル到達は先送りとなるでしょう。
条件3:FRB議長交代が円滑に進むこと
この要素は他の全てを覆す可能性があります。ケビン・ウォーシュ氏は4月29日に上院銀行委員会を僅差で通過し、早ければ5月11日にも上院本会議で採決、5月15日にパウエル現議長の任期が満了します。パウエル氏はウォーシュ氏就任後も理事として「目立たずに」残留する意向です。
市場はウォーシュ氏が議長就任後にどのような金融政策姿勢を初めて示すかに注目しています。
上昇シナリオ:ウォーシュ氏がパウエル氏よりもやや緩和的な姿勢を示唆した場合、利下げ観測が前倒しとなり、ドル安・リスク資産高、BTCの上昇要因となります。トランプ元大統領がFRBへの利下げ圧力を強めている点もあり、予想外のハト派発言が出れば市場へのインパクトは大きいでしょう。
下落シナリオ:ウォーシュ氏がこれまで通り抑制的な金融政策スタンスを維持し、インフレ抑制を最優先に据える場合、市場に新たな上昇材料はなく、BTCは80,000ドル付近で膠着が続く可能性があります。
どちらのシナリオになるかは不透明ですが、この議長交代は5月11日~15日を中心に大きなイベントウィンドウとなりそうです。
ストラテジー社の買いペースが示すもの
個人投資家がチャートを議論する一方、ストラテジー社(旧MicroStrategy)は独自のペースでビットコインを購入しています。4月20日には34,164BTCを25.4億ドルで買い増し、平均取得価格は74,395ドル。翌週にも3,273BTCを2.55億ドルで購入し、保有枚数は合計818,334BTC(全BTCの約4.2%)となりました。
この買いペースはETFの1日流入を上回る規模であり、価格上昇を保証するものではありませんが、大手上場企業が現在の水準を魅力的とみなし、積極的に買い増ししていると判断できます。スポットETFと企業財務による買いが同方向に進む時、需給関係の偏りは大きな値動きの下地となります。
取引所のビットコイン準備高も230万BTCと2018年以来の低水準に減少しています。供給減と需要増が同時に進めば、何らかのきっかけで大きな値動きが起きやすくなる構造といえるでしょう。
ホルムズ海峡と地政学リスク
3つの条件以外に、ホルムズ海峡周辺の地政学リスクも要注意です。2月末からのイラン情勢悪化により原油は1バレル100ドル超で推移し、米海軍の封鎖発表で供給懸念が強まりました(世界の原油流通の20%を占める要衝)。
原油高はFRBのインフレ見通しに直結します。パウエル氏も3月の会合で、原油高が2026年のインフレ率2.7%見通しに反映されていると述べました。5月も原油が高止まりすれば、誰が議長でも利下げには慎重姿勢が強まりやすくなります。逆にホルムズ情勢が緩和すれば、原油安・インフレ鈍化・FRBの緩和示唆につながり、BTCの上昇材料となり得ます。
よくある質問
なぜ80,000ドルが重要なのか?
21週EMAやホルムズ危機前の統合帯と重なっており、週足での突破が調整終了シグナルとなります。これを抜けない限り、ラリーは全て下落トレンド内の戻りと見なされ、88,000ドルは現実的なターゲットとなりません。
3つの条件が全て満たされた場合は?
まず84,500~85,000ドル(200日SMA)が視野に入り、その後88,000ドルが上限帯として意識されます。機関フローと議長交代による好材料が重なれば、5月中の到達も十分考えられますが、途中での抵抗や調整も想定されます。
これらの条件が満たされなかった場合の下値リスクは?
BTCが週足で80,000ドルを突破できず、ETF流出と議長のタカ派継続が重なった場合、72,000ドルサポート帯が意識され、ここも割れると4月安値(70,600ドル)、最悪の場合は2026年安値(60,000ドル)まで下落余地が広がります。ベースケースとはいえませんが、3条件が全て逆方向に進んだ場合の現実的なリスクです。
FRB議長交代がビットコインに与える影響は?
FOMCは金利政策を決定し、市場への流動性に影響します。ハト派人事であれば利下げ観測の前倒しやドル安を招き、ビットコインにとっては相対的魅力が増すことになります。タカ派継続の場合は現状維持であり、上昇材料にはなりませんが下押し圧力にもなりにくいと考えられます。
まとめ
5月にビットコインが88,000ドルに到達するには、3つの条件が順番に満たされる必要があります。まず80,000ドルの週足終値突破、次に1日1億ドル以上のETF流入再開、最後に議長交代イベントを市場が無難に通過することです。
需給構造は好転していますが、80,000ドルでの反落やETF流出、議長交代イベントリスクなど、不透明要素も残ります。5月4日の週足終値とETFフローが最初の重要シグナルとなるでしょう。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融や投資のアドバイスではありません。暗号資産取引にはリスクが伴います。取引判断はご自身で十分ご検討ください。




