
Broadcomは、6月5日の取引終了後に2026会計年度第2四半期の決算を発表します。株価は1,734ドルで、年初来24%の上昇となっています。市場コンセンサスは売上149億ドル(前年同期比18%増)、調整後EPSは1.58ドルです。AIネットワーキングとカスタムASIC収益の動向が注目されており、これらは半導体ソリューション部門の中で最も強い分野であることが、前四半期のカンファレンスコールでHock Tan CEOから示されました。
Broadcomは、NVIDIAに次ぐ時価総額第2位のAIインフラ企業です。VMware買収後の資本構成、大手クラウド事業者とのカスタムシリコン設計の受注、Tomahawk-6スイッチの拡大が、同じ会計四半期で重なっています。今回の決算発表で焦点となる点を解説します。
投資家が注目するポイント
最も重要な項目はAI関連収益の開示です。Tan CEOは前年度から半導体ソリューション部門内でAI関連収益を分離して報告しており、これはNVIDIA以外でハイパースケーラー向けカスタムシリコン需要を測るうえで分かりやすい指標となっています。前四半期(2026年第1四半期)はAI収益が42億ドル、前年同期比77%増でした。第2四半期のコンセンサスは、46~48億ドル程度と見られ、AWS TrainiumやGoogle TPU設計の拡大が進めば50億ドル超も想定されます。
次にVMware統合の進捗です。Broadcomは2023年末に690億ドルでVMwareを買収し、収益性の低い製品を縮小し、戦略製品の価格を引き上げ、大企業向けに営業を集中させるなど、効率化を進めています。その結果、ソフトウェア部門の営業利益率はVMware単体時代より大幅に高くなっています。第2四半期は、この統合効果の“初期の成果”が一巡し、今後は粗利益率の比較が難しくなります。
3つ目は2026年度の設備投資(capex)動向です。Broadcom自体はハイパースケール級の設備投資を行いませんが、顧客企業はそうした投資を行います。Tan CEOの発言は、ハイパースケーラーの発注動向を予測するうえで信頼されてきました。BroadcomのIRページには、前四半期の設計受注パイプライン解説があります。
AVGOがNVDAに次ぐAIインフラ銘柄とされる理由
AVGOとNVDAを単純に比較するのは誤りです。現実には、カスタムASIC・高帯域ネットワーク・光インターコネクトがハイパースケールAIインフラのコストの約30%を占めており、Broadcomはその大部分を担う主要サプライヤーです。NVIDIAはGPU収益を獲得し、Broadcomはそれ以外の多くの収益を獲得しています。
この構造的な地位により、Broadcomの時価総額は2年前の4,000億ドル台から現在の1.5兆ドルまで成長しています。収益力はNVIDIAと同じAI関連の設備投資サイクルに連動していますが、顧客の集中度は異なります。NVIDIAはすべてのハイパースケーラー向けに販売していますが、BroadcomのカスタムASIC収益はAWS Trainium、Google TPU、Meta MTIA、非公開の4社に集中しています。顧客企業の成長時は強みですが、戦略変更がリスクとなる場合もあります。
Zacks Investment Research
VMware買収によるシナジーとリスク
VMware事業は外部から最も見えにくい部分です。VMwareの既存収益は約135億ドルで、主に永続ライセンスの保守契約から構成されていました。Broadcomはこれをサブスクリプション契約に切り替え、例えば100万ドルの保守費が200万~300万ドルの長期契約へと移行します。ただし、競合仮想化プラットフォームへの移行リスクもあります。
統合初期18ヶ月は利益率が大きく上昇し、顧客離脱も限定的でした。しかし今後18ヶ月は難しい判断が求められます。大企業向けサブスクリプション更新が2026年半ばから2027年半ばにかけて発生し、その交渉結果が今後の収益安定性に影響します。第2四半期決算だけでは更新リスクは判断しきれませんが、繰延収益や顧客維持に関する経営陣コメントが注視されます。
決算の結果が半導体業界全体に与える影響
| 決算シナリオ | AVGOの想定反応 | 半導体業界への波及 |
|---|---|---|
| AI収益4.8B超、ガイダンス上方修正 | +5%~+9% | NVDA, AMD, MRVL買い、インデックス+2%~+4% |
| AI収益4.5B~4.8B、ガイダンス据え置き | -2%~+3% | 個別銘柄ごとに反応 |
| AI収益4.5B未満、ガイダンス据え置き | -6%~-11% | NVDA, AMD, MRVL売り、インデックス-3%~-5% |
| VMwareサブスクリプション離脱加速 | -3%~-5%(AI収益に関係なく) | ソフトウェア需要がORCL, MSFTに流れる |
Broadcomの決算はAIインフラ市場の今後の水準を決めるため、結果次第で業界全体の動きが大きく分かれます。NVDAが5月28日に比較的保守的なガイダンスを発表したばかりです。BroadcomがAI収益で強さを示しガイダンスを引き上げた場合、NVDAのガイダンスが控えめだったとの見方が強まる可能性があります。
AIインフラ市場の動向は、暗号資産マイニングやAIエージェントのトレーニング需要にも影響します。詳しくはAIエージェントの基本解説をご覧ください。
Hock Tan CEOによる見通しと市場注目点
Tan CEOは、多四半期にわたるガイダンスを公表せず、アナリストとの数値議論も控える慎重なスタンスで知られています。そのため、今回も市場予想を上回るサプライズがセグメント開示の中に現れる可能性があります。
特に注目されるのは、AI収益の2026年度見通し(前回は200~250億ドルレンジ)の引き上げがあるかどうかです。220~270億ドルへの上方修正が強気シナリオ、現状維持が中立、引き下げは弱気シナリオですが、現時点で弱気シナリオの可能性は低いと見られます。
よくある質問
Broadcomの第2四半期決算発表はいつですか?
Broadcomは2026年6月5日の取引終了後(米東部時間16:15頃)に第2四半期決算を発表します。17:00から経営陣によるカンファレンスコールが行われ、AI収益やガイダンスの詳細が開示されます。
第2四半期の市場予想は?
市場コンセンサスは売上149億ドル(前年同期比18%増)、調整後EPS1.58ドルです。AI関連の売上は46~48億ドルと予想されています。
AVGOとNVDAのAIインフラ分野での違いは?
NVDAはGPU分野を支配し、BroadcomはカスタムASICや高帯域ネットワーク、光インターコネクトなどで大きなシェアを持っています。両社は競合というより相互補完的な関係です。
決算結果が半導体市場全体に与える影響は?
AI収益のガイダンス上方修正があれば業界全体にポジティブな影響、据え置き/下方修正の場合は株価調整や市場全体の下落に繋がる可能性があります。
まとめ
Broadcomは、市場予想を上回るAI収益ガイダンスとセグメント開示に注目が集まっています。ポイントは半導体ソリューション部門のAI収益、VMwareの繰延収益、AI収益ガイダンスの修正有無です。明確な上方修正で株価は5~9%上昇、業界指数も2~4%程度の追随が予想されます。Tan CEOの慎重なスタイルからは、見出しよりもセグメント詳細でのポジティブサプライズが期待されています。
本記事は情報提供のみを目的としており、金融・投資助言を構成するものではありません。株式・暗号資産の取引にはリスクがあります。取引を行う際は必ずご自身でも調査してください。
