要約
- ストキャスティクスオシレーターは一定期間の高値安値の幅を利用して終値の位置を表示するインジケーターです。
- ストキャスティクスオシレーターはブレイクアウトやトレンドリバーサル、さらにはブリッシュとベアリッシュの相違を検出することができます。
伝統的には安く買って高く売るのが投資の基本とされてきましたが、市場の動きは予測不可能なため、これを全うするのは非常に難しいことです。特に仮想通貨市場ではその傾向が強く、高値と安値を捉えてトレーディングしようとするのを諦めたほうがよほど有益になる可能性さえあります。
投資家は資産価値が加速したとき、モメンタムを利用した戦略を用い、多くの場合そのモメンタムの方向性に応じてショートもしくはロングのポジションを取ります。経験のあるトレーダーはこの手法をうまく活用することができますが、その多くは基本的な値よりも不規則な短期的変化に重きを置いています。
モメンタムインジケーターとは
トレーダーはモメンタムインジケータを駆使してモメンタムの成長率を追跡し、トレンドの強さによって取引を行います。彼らはモメンタムベースの戦略を用いることで、価格が上昇傾向にあるときはロングポジションを取り、価格が下落傾向にあるときはショートポジションを取ります。
モメンタムトレーダーは安く買って高く売る代わりに、高く買ってそれよりも高くうる、もしくは安く売るけどそれよりも安く売るといった手法で流動性の高い市場から利益を得る機会を見極めています。モメンタムトレーダーは過去の市場動向から継続もしくは逆張りのパターンを見つけ出すよりも、終値のブレイク後の傾向に重きを置いています。
モメンタムは電車と同じように、ゆっくり指数関数的に加速し減速します。モメンタムトレーダーにとっては加速がピークを迎えたとき、いわば電車の速度が最高点に達したところが利益の巣窟になります。モメンタムトレーダーはパフォーマンスを求め、あらゆる方向のトレンドの株から利益を得ています。
上昇トレンドの価格やホットストックは時間とともに大きく伸びるものであり、他の投資よりもホットなものもあります。RSI (Relative Strength Index)や MACD (Moving Average Convergence/Divergence)などのモメンタムインジケーターを利用することで、トレーダーたちは資産価値の強さと弱さを決定するテクニカル分析を行うことができます。
トレーディングのモメンタムは資産価格の上がり下がりの速度を表します。トレンドを観察する立場からすると、モメンタムは価格の強さを決定する上で非常に有用です。しかし歴史的にはモメンタムは下落相場より上昇相場での方が適用できますが、これは弱気相場よりも強気相場の方が長く続く傾向にあるからです。
ストキャスティクスオシレーターとは
1950年代、ジョージ・レーンは一定期間の高値安値の幅を活用して終値の位置を表示するインジケーター、ストキャスティクスオシレーターを発明しました。基本的にこのインジケーターは14日周期で計測を行います。数々のインタビューや対話を通じてレーンは、オシレーターが資産の価格や取引量ではなくモメンタムに従うことを支持しました。
レーンによると、資産のモメンタムはその価格より先に変化するといいます。そのためストキャスティクスオシレーターは、ブレイクアウトやトレンドリバーサルを検出し、さらにはブリッシュとベアリッシュの相違を明らかにすることができるのです。モメンタムトレードは簡単な手法ではありませんが、トレーダーは利益をあげるためあらゆる機会を利用し、時にはこの手段が大きな効果を上げることもあります。
ストキャスティクスオシレーターの活用方法
ストキャスティクスはトレーダーのためだけの小洒落た言葉だという勘違いがよくあるが、実際はシステムに内在するランダムな特性のことを指した言葉です。上記の通り、ストキャスティクスインジケーターは一定期間の資産の終値とその高値安値の幅を比較するモメンタムインジケーターです。
トレーダーは期間を調整したり移動平均線を用いることで、市場の変動に対するオシレーターの感度を最小限に抑えることが可能です。ストキャスティクスオシレーターの背景にあるメカニズムには、上昇傾向にある市場では高値で、下落傾向にある市場では安値で取引が行われるという一般的理論が含まれています。
%Kと%Dライン
- %k = (当日終値 – 一定期間の最安値)/(一定期間の最高値 – 一定期間の最安値) x 100
- %D = %Kの3日間単純移動平均
このインジケーターは終値と一定期間の高値、安値を用いて計算された%Kと%Dの2つのラインから構成されています。%Kは当日終値の安値から高値/安値の伸び率を表し、シグナルもしくは%Dは過去3日間の%Kの平均を表しています。
ストキャスティクス・クロスオーバー
%Kと%Dのラインが重なった時、トレードのシグナルが発生します。これらのプロットは80%と20%を超えた買われ過ぎと売られ過ぎのゾーンで、0〜100の間を動いています。
伝統的には80%以上だと買われ過ぎ、20%以下だと売られ過ぎを示しますが、それらの数字は必ずしもリバーサルの到来を象徴するものではありません。実際には、強いトレンドは買われ過ぎや売られ過ぎの状態を長期的に維持し、トレーダーは将来の動きの手がかりを見つけるためにストキャスティクスオシレーターを詳しく観察するべきです。
%Kが%Dを越える時は、現在のモメンタムが3日間平均移動よりも高く、上昇トレンドがやってくる可能性があります。これは、価格がモメンタムに従っていると考えられているのが理由であり、2つのプロットの交点は日々の大きなモメンタムの変化のシグナルを示しています。
オシレーターのシグナルは通常価格変動に先行しているため、オシレーターのコールと現在の価格トレンドの間のダイバージェンスはリバーサルの到来を予兆していると言えます。これは通常、市場サイクルの終わりに向かってモメンタムが消えていくように買い圧力や売り圧力が減少していくのが原因です。
ほとんどのチャートツールにはストキャスティクスオシレーターの機能が組み込まれていますが、トレーダーは複雑な計算をしなくても簡単に使うことが出来ます。例えば期間中の高値が200ドル、安値が100ドルの場合、終値が150ドルだと%Kは50になります。ストキャスティクスオシレーターは時間をかけて現在の価格と高値/安値の幅を比較することで、トレーダーは一貫して価格が健全なエリアをチェックし、モメンタムトレードをできるようになります。
ストキャスティクスインジケーターは買われ過ぎや売られ過ぎのゾーンを検出する以外にも利点があります。1つは、ストキャスティクスオシレーターは価格が高値と安値の間を交互に入れ替わるレンジ相場でより効力を発揮します。この場合、ストキャスティクスオシレーターは非常に信頼のおけるインジケーターになるのです。
RSI vs ストキャスティクス
もう1つのインジケーター、RSIは同じく市場のモメンタムを計測するオシレーターであり、テクニカル分析において幅広く利用されています。これらのインジケーターは基本的に似ていると考えられていますが、実は根底にある仕組みは異なっています。
RSIは買われ過ぎ、売られ過ぎのレベルを把握するために価格変動の速度を利用するのに対し、ストキャスティクスオシレーターは価格がトレンドの方向性に終息していくのを予測します。一般的にトレンド相場ではRSIの方が有効であると考えられているのに対し、ストキャスティクスオシレーターは統合された市場やレンジ相場において優勢です。
リスクの無いトレーディングの手法は存在せず、これはモメンタムトレードに関しても同じです。市場の種類やシグナルの正確さに関わらず、インジケーターは時に全く正しくないこともあります。どのインジケーターも価格のトレンドを保証しているわけではないので、このことを念頭においてストキャスティクスオシレーターのシグナルを読み解く必要があるでしょう。
特に仮想通貨市場においては、突然のリバーサルやその後の修正の動きに注意しなければなりません。ダイバージェンスのシグナルは価格が再生されるまでに時間がかかることがあり、この遅れを取り戻す事もまたモメンタムトレードのプロセスの1つです。これは状況によって変わる可能性ももちろんありますが、経験上このパターンは様々な資産に現れます。
価格変動とストキャスティクス
トレーダーは最終的には価格変動から利益を得ますが、ストキャスティクスは非常に重要な特性であるプライスモメンタムを計測します。20%から80%への完全なストキャスティクスオシレーターはおそらく80%から20%への下落よりも大きな利益をもたらすでしょう。この動きは価格変動と比例しておらず、この矛盾に多くのトレーダーは頭を抱えました。
これはストキャスティクスオシレーターがモメンタムに焦点を当てているのが原因であり、市場のトレンドと組み合わさることでより強固なものになります。価格は市場全体のトレンドとともに動くので、上昇トレンドの株を買うことは売るよりも大きなインパクトがあります。
ストキャスティクスと他のテクニカル分析の組み合わせ
他のインジケーター同様、ストキャスティクスオシレーターは他のツールと組み合わせるのが最も有効であり、市場の状態に対してより確実なアイデアを与えてくれます。RSIは実用性に関しては似ていますが、ストキャスティクスオシレーターと併用されることが非常に多いです。モメンタムインジケーターはレンジ取引にも有効ですが、ジグサグトレンドの資産取引に驚くほど有効であることがわかっています。
このようなケースでは、プルバックは大きな上昇トレンドの一部であると考えられ、バウンスが下落トレンドの市場で形成されます。このような場合、ストキャスティクスオシレーターはサポートとレジスタンスのゾーン付近で起こるターンや大きなトレンドを特定するために利用することができます。
サポート(ストキャスティクスオシレーターでは売られ過ぎと示されている)付近での資産取引は20%を超えるとサポートのシグナルとなり、80%より下だと下落とレジスタンスのシグナルとなります。ただし、設定は個人の好みや時間帯、トレーディングのスタイルなどによりトレーダーごとに異なる場合があります。
ルックバック期間が短いと極端な読みが多くなり、オシレーターが無安定になるのに対し、ルックバック期間が長いと買われ過ぎや売られ過ぎの割合が少なくなり、よりスムーズな読みが可能になります。他にもボリュームインジケーターや平均移動線などのテクニカル分析ツールを利用してストキャスティクスシグナルを確認し、それに対応することができます。
ストキャスティクスオシレーターは確実に利点がありますが、利用する前に価格変動との関係をしっかりと理解しておくことが重要です。このインジケーターは60年以上も前に開発されたものであり、その精密な価格モメンタムのトラッキングによって今日までその妥当性が担保されています。
リスク管理
しかし上記の通り、ストキャスティクスオシレーターは強気相場においてはダマシのシグナルを生み出す傾向があり、この場合他のインジケーターで確認が取れるまで待ったほうが良いというのが通説です。このインジケーターの感度は異なる市場やトレーディングのスタイルに適合することができ、時間帯を変更して移動平均を用いることで多くのダマシのシグナルを無効にすることができます。
トレーダー達はファストストキャスティクスとスローストキャスティクスを駆使して、異なる市場で予測を立てます。ファストストキャスティクスは価格や資産の変化に対してより感度が高く、スローストキャスティクスはより慎重に描かれます。モメンタムトレーディングは決して完全無欠ではありませんが、リスクとリワードのバランスが非常に取れたアプローチ方法を提供してくれるのです。
しかし、高額の月の取引高は手数料が非常に高額になる可能性があり、低コストのブローカーや分散型金融は徐々にその問題を根絶しているとはいえ、まだまだ多くの新人トレーダー達は頭を悩まされています。またモメンタムトレーダーは扱う資産の変動性が高く幅が広いため、できるだけ頻繁に市場を観察する必要があります。
まとめ
他の人よりも少しでも早く情報を入れることで多くの利益を得ることができ、ほんの少しのネガティブな情報でも投資家達を困惑させ、資産価値を下げる可能性もあります。モメンタムトレードから得られる利益のマージンは、トレーダーが資産を溜め込み警戒心の低くなっている強気相場の状態の方がより高くなります。
モメンタムトレードは適切に行えば大きな利益をもたらしますが、過去の情報に基づいて上昇もしくは下落している資産を購入するのにはいくつか欠点があります。リバーサルの前に相場が下落するという予測が立っている場合、モメンタムトレードを行うことによって需要不足で価値のなくなったトークンを抱えることになる可能性もあります。そのためモメンタムトレードには直感、スキル、規律が必要であり、多くのデータを与えてくれるストキャスティクスオシレーターでさえも、全てのことを教えてくれるわけではありません。
モメンタムトレードには迅速な判断と強さ、弱さのサインが出たタイミングで即座にトレーディングができる能力が求められます。ブロックチェーンがゆっくりと勢力を伸ばすと共に、その領域の時価総額もこれまで以上に高くなっています。開発者や起業家、投資家達は価値のあるサービスを生み出し続けているため、今後数年間はさらに多くの投資家が高く買いより高く売る状態が続くでしょう。