ビットコインの恐怖・強欲指数は仮想通貨市場に潜む感情を理解するのに役立ちます。市場への投資には大きなリスクが伴いますが、これらの指標が明確であることでリスクの一部を軽減することができます。それらの指標は今後市場で起こりうる変化の手がかりを与えてくれるのです。一部の人にとってはただの推測にしか見えないかもしれませんが、プロの仮想通貨トレーダーはこれらのデータを大いに活用し、多大な利益を得ることができました。
仮想通貨市場への投機は高いリスクを伴うだけでなく、精神的にも追い込まれます。それゆえ、その過程で感情的になってしまうことも珍しくありません。このような背景から、プロのトレーダーは仮想通貨の恐怖・強欲指数を設定しました。このような指標は市場内の一般的な感情を明らかにし、トレーダーがリスクをとるべきタイミング、安全に動くタイミングを判断するのに役立ちます。
極端な恐怖または極端な強欲はどちらも利益を生むチャンスに繋がります。例えば投資者が極端に強欲な時は市場が下落、もしくは中立的なレベルへの修正に向かっている場合が多いです。オマハの賢人と称されたウォーレン・バフェットはかつて「人が貪欲になっている時は警戒し、人が警戒している時には自らが貪欲になれ」と述べました。
インジゲータートレーディング
恐怖・強欲指数について掘り下げる前に、まず簡単にインジケータートレーディングとは何かおさらいしてみましょう。このトレーディング方法では、様々な指標を用いて、市場の傾向や意思決定の材料となるような兆候を見つけるための分析をします。指標は精巧に作られた計算式や視覚的なデータを通して資産のプライスアクションを明らかにすることができます。トレーダーはそれらの判断材料を基に予測を行い、それに応じてポジションを作成するのです。
現在では数多くの指標が存在し、常に新しい指標が生まれています。指標の組み合わせ次第で独自の戦略を開発することができますが、今回は恐怖・強欲指数の利用に焦点を当てたいと思います。
その他仮想通貨指数について知りたい方は我々の調査をご覧くださいTechnical Analyses on Bitcoin and the Crypto Markets
恐怖・強欲指数の歴史
仮想通貨の恐怖・強欲指数は伝統的な株式市場の性質に由来しています。強欲、恐怖、群集心理は全ての金融市場に存在している3つの心理的要素です。どれか1つの感情が極端に現れた場合、通常市場の上昇もしくは下落の前兆を意味します。アナリストは常に市場の方向性を予測するために恐怖や強欲のレベルを観察してきました。またこれらの指標は投資者の合理性を探るためにも、かなりの頻度で調査されています。
伝統的な恐怖・強欲指数
株式取引に関して言うと、CNNの恐怖・強欲指数はトレーダーによって広く利用され、認知されています。この指標ではトレーダーが最も警戒しているときは0、最も強欲なときは100と、0から100までのスコアで結果を表します。市場の参加者が強欲な時株価は上昇する傾向にあり、逆に参加者が警戒をすると、大規模な売却が株価の下落に繋がります。
どのようにして既存の市場内の恐怖と強欲を計測するのか?
一般的に、恐怖・強欲指数は主に6つの指標から構成されています。
市場モメンタム
市場モメンタム指標は下落しているものと高く評価されている銘柄の比率を批判的に分析します。また、大暴落する株式の規模と急騰する株式の規模の比率も分析します。例えば、過去100日でS&P500がどの程度上昇したか、もしくは下落したかを調べることで、市場の勢い(モメンタム)を測ることができます。
株価強度
株価強度指数は52週の期間内で、価格が低下した株式に対して上昇した株式の割合を計測します。
株式市場オプション
株式市場オプションの指標はプットとコールの比率を分析します。プットオプションがコールオプションを下回った場合は強欲を意味し、逆にプットオプションがコールオプションを上回った場合は市場の恐怖を表します。
市場ボラタリティ (VIX)指数
この指標は、今後30日間のVIXに対する市場の期待値リアルタイムで表す指標です。VIXが高い時は恐怖を意味し、逆に株価が上昇してVIXが低下した時は強欲を意味します。
ジャンクボンドの需要
これはトレーダーがリスクの高い資産(ジャンクボンド)に投資する割合を計測します。トレーダーがこの投資戦略を取り入れた場合、市場に強欲の兆候があることを意味します。
安全資産の需要
安全資産の需要は、強い恐怖を示す指標です。不確実性の高い状況では、投資家はできるだけリスクの低い資産に資金を預けようとします。安全資産の需要は投資家がより安全でリスクの少ない投資戦略を採用する割合を計測します。
これらの指標はそれぞれ0から100のスコアで計測され、恐怖・強欲指数は6つの指標のスコアの平均で表されます。
ビットコインの恐怖・強欲指数
仮想通貨の恐怖・強欲指数に関して言うと、ビットコインの独占状態にあります。これは、アルトコイン市場がビットコインの動きと相関性が高いのが理由です。ビットコインの価格が高騰すると、アルトコインの価格もそれに追随するように上昇します。逆にビットコインの価格が下がると他のほとんどのアルトコインの価格も下がります。
ビットコインの恐怖・強欲指数は以下のような構成要素となっています。
ボラタリティ– 25%
異常なボラタリティの上昇は仮想通貨市場の極度の恐怖を示します。
取引量– 25%
一貫して高い取引量は強欲な市場に比例します。
ソーシャルメディア– 15%
Twitterの感度は投稿やメンション、また仮想通貨関連のハッシュタグのアクティビティによって計測することができます。Twitterの感度が異常に高い場合は強欲な市場を意味します。
サーベイ– 15%
現在の市場に関しての投票調査が、様々なプラットフォーム上で行われています。
ビットコイン占有率: 10%
他の仮想通貨に比べてどれだけ多くの資金がビットコインに流れているかを計測することで、投資家がビットコインに対して強欲なのか、もしくは警戒しているのかを明らかにすることができます。
グーグル トレンド– 10%
ビットコインに関する検索項目のGoogleトレンドデータは投資家たちがビットコインに対してどのように感じているかを強く反映しています。例えば「最高のビットコイン投資」の検索数が急増していれば、それは明らかに強欲を示しているでしょう。
ビットコインの恐怖・強欲指数に対する批判
ビットコインの恐怖・強欲指数は常に100%正しいとは限らず、予測を立てるのに役立たない場合もあります。言い換えると、ビットコインの恐怖・強欲指数は現在の市場の状態を表しているだけで、将来の投資の意思決定には他の指標が必要になります。さらに、極端な強欲や恐怖が市場の変化の前兆を示しているとはいえ、市場がそれらの状態をどれくらい維持するかを予測するのは不可能です。よって、自身でこの指標を用いた戦略が有益であるかを確かめるための調査、実践、バックテストを常に行う必要があるでしょう。