2021年5月、インターネットコンピュータープロトコル上で運営されているユーティリティトークンのインターネットコンピューター(ICP,またはDFN)がリリースされました。このプロトコルによって、誰もが大きなテックサービスを使用せずともソフトウェアやコンテンツを作ることのできるようになりました。ICPは1億2400万トークン供給、毎トークン106ドルで取引され、市場価格は130億ドルとなっています。
インターネットコンピューターとは
インターネットコンピュータとは、最新のオリジナルレイヤー1ブロックチェーンプロジェクトとして、2016年から計算インフラとして使用されています。開発者によると、インターネットコンピューターはビットコイン(BTC)、イーサリウム(ETH)に続くブロックチェーンテクノロジーにおける三大イノベーションとされています。一つ目のイノベーションであるビットコインは仮想通貨、二つ目のイノベーションであるイーサリウムはスマートコントラクト、そして三つ目のインターネットコンピューターは初のブロックチェーンコンピューターを導入しています。
インターネットコンピューターは“イーサリウムキラー”と誤って呼ばれることもありますが、実際の目的としては非常にシンプルで、イーサリウムネットワークの回復を促進するために使用されています。例えば、インターネットコンピューター上で二つのイーサリウムアプリをフロントエンドのウェブサイトと統合する際、アプリがより規制や検閲に抵抗するようになります。さらに、インターネットコンピューターと統合すると、イーサリウムの非中央集権型ファイナンス(DeFi)と非代替可能性トークン(NFT)がより非中央集権型になります。
インターネットコンピューターの効果とは?
インターネットコンピュータープロトコルはインターネットコンピューターによって形成されている応用非中央集権型プロトコルです。またこれは世界中の各地のデータセンターで専用のハードウェアを使用し運営されている非中央集権型のブロックチェーンです。これらのデータセンターを通じ、プロトコルが個々の機会を統合する事で、スマートコントラクトと同様のセキュリティを保持しつつネイティブソフトウェアを運営することができるようになっています。このプロトコルはドメインネームシステム(DNS)などのインターネットスタンダードを統合し、ユーザーのコンピューターやスマホ上で直接ウェブブラウザーを提供します。
オープンネットワークに参入するにあたり、インターネットコンピュータデータセンターはネットワークナーバスシステム(NNS)を通じ、データセンターアイデンティティ(DCID)を始めに獲得する必要があります。NNSはインターネットコンピューターのアルゴリズムガバナンスシステムの一部です。データセンターとDCIDは標準仕様のサーバーコンピューターであり、かつネットワーク上で使用可能なノードマシンを作成することができます。より有用性を高めるために、NNSはマシンをインターネットコンピューター内のブロックチェーンである“サブネット”内に形成します。このプロセスはノードが落ちた時やアタッカーの犠牲になった際に行われます。
ICPトークンとは
計算能力の向上のために、データセンターはICPトークンを受信します。ICPトークンは保有者をブロックチェーンネットワークに参入させるユーティリティートークンです。意思決定やネットワーク上での取引上でICPトークンを使用することも可能です。トークンはインターネットコンピューター上の計算能力やストレージの向上のための計算リソースであるサイクルへ変換することができます。
ICPガバナンス
ガバナンスにおいて、NNSはユーザーのトークンの“分解”を可能にします。これは、トークン内のニューロンをロックすることを意味します。このニューロンは保有者に投票ボーナスと“流動性貨幣”の形で自動的に投票する機会を供給します。ニューロンの投票パワーと投票ボーナスは以下の要因でプロポーションとして付与されます。
・ニューロン内に一定数のICPが賭けられた時
・ニューロンが分解し、自身の固定トークンをリリースするアマでの最低所要時間の長さを表す、“分解時間”。ガバナンスにしていればどのユーザーでもニューロンオンラインマネジメントインターフェイスを経由して分解時間を設定できます。
・ニューロンの“年齢”。
例:ニューロンが作られた、もしくは分解が停止してからの一定の時間。
これらのニューロンは再度“分解”トークンをリリースします。
インターネットコンピューターの役割
インターネットコンピューターがあれば、公的インターネット上で直接コードをインストールする事で、ディベロッパーは無限に拡張可能、かつ体制が整ったウェブサイト、ITシステム、そしてインターネットサービスを設立することができます。これはビックテクの中央集権型サーバーやコマーシャルクラウドサービスへの依存を避けることができます。
また、インターネットコンピューターはブロックチェーン上の取引を3―5秒以内に完了させることができるという大きな特徴があります。これは、古いブロックを不必要とする48バイト公的キーチェーンテクノロジーによって可能になったものです。
インターネットコンピューターは公的ブロックチェーンと非中央集権型エコシステムの有用性を高めることを目的としており、そうすることで全てのシステムやサービスがブロックチェーン上で可能になります。この目標を果たすべく、インターネットコンピューターは以下の事項に貢献しています。
・消費者の陥りやすいトラップの除去:ディベロッパーはかつて複雑で、中央集権型、かつ商業サービス、ツール、オペレーションシステム、そして他の構成要素を統合させる必要がありました。しかし、システムの移行と調整により、費用の上昇と難化が進み、ディベロッパーはあるベンダーに固定しました。その結果、インターネットコンピューターを使えば、ディベロッパーは自身のプラットフォームを作る必要がなくなったため、現在固定されているベンダーは存在しません。
・債務不履行によるシステムセキュリティの強化:インターネットコンピューターは、スマートコントラクトのようにアプリケーションを高いセキュリティーと保証のもと運営することのできる、勝手に操作することのできない環境を提供します。また、ハッキング、ダウンタイム、そのほかのセキュリティー上の問題を大幅に削減します。
・ITのコストと遅れを削減:ソフトウェアデータは安全かつ、自動でデータベースではなくソフトウェア内にメモリーページを保存しています。これは複雑性やコスト、そして遅れを削減するのに大いに役立ちます。
・ビックテクノロジーの独占の終了:多くの中小テックカンパニーはマイクロソフト、フェイスブック、そしてアマゾン等が提供するビックテックカンパニーが提供するAPIに依存しています。もしビックテックがルールやAPIへのアクセスを今日日した場合、中小奇病は大きな打撃を受けることになるでしょう。しかし、インターネットコンピューター上では、ディベロッパーは決して無効化かつ退化しないAPIを作成することができるため、ビックテックの援助は不要になります。
インターネットコンピューターは誰が運営しているの?
Dfinityチーム
Dfinityはスイスのチューリッヒを拠点とする非利益科学調査機構であり、インターネットコンピュータープロトコルの下で活動しています。パロアルト、サンフランシスコ、チューリッヒにリサーチセンターがあり、日本、ドイツ、イギリス、そしてアメリカに数カ所本部があります。チーム内には約200人のエンジニア、仮想通貨担当、そして運営が在籍しており、基本的な設立の目的としてはインターネットコンピューターの宣伝と維持が挙げられます。
ドミニク・ウィリアムズはDfinityとインターネットコンピューターの設立者であり、全体の代表とサイエンティストのリーダーを務めています。ウィリアムズは仮想通貨の研究家であり、多岐にわたる仮想通貨の論とテクニックを生み出しています。例えば、
彼は敷居値リレーとスロットコンセンサスの確率という有名な論文や、インターネットコンピューターのスピードとセキュリティを強化するテクノロジーを発明しました。また、有名な起業家でもあり、ビットコインとイーサリウムテクニカルコミュニティの早期メンバーでもあります。
2018年6月、機構は早期コミュニティメンバーに対し、ICP AirDropを通じで3500万ドルを投資しました。また、2018年8月には、アンドレサン・ホロウィッズ氏とポリチェーンキャピタルがさらに1億200万ドルを投資しました。インターネットコンピューターの設立当初、ガバナンスシステムやトークノミクスそしてDfinityの価値はなんと、約100億ドルほどだったとされています。
ICPの価格変化
2021年5月10日、ICPは、ある仮想通貨為替の急激な成功により250ドルから650ドルの間での過度な価格変化が起こった事で低迷していました。その次の日、価格は70パーセント回復しましたが、再度低迷しました。これは一般的な仮想通貨市場上でのプルバックによるものであり、現在は106ドル付近で価格は安定しています。
2021年5月10日から6月2日までのICP価格(情報ソース:TradingView)
ICPは現在市場価格で13位にランクインしています。始めに4億6900万トークンが作られましたが、実際には1億2400万トークンのみしか算出されていません。106ドルの価格に加え、ICPは490億ドルの市場価格に落ち着いています。これはマーケット上での計算供給需要によって算出されていますが、今後の価格に関しては算出予定は今の所内容です。一つ心配点としてはDfinity機構が突然莫大なトークンを算出した場合、需要と供給のバランスが崩れてしまい、価格が大きく暴落することが挙げられます。
インターネットコンピュータープロトコルの今後は?
ICPトークンは26パーセントしか算出されていないため、非中央集権型のガバナンスシステムにおいていくつかの問題点が挙げられています。トークンはガバナンスのためのものなので、ほかの74パーセントはチームや投資家、アドバイザーによって投資されています。これは中央集権型システムを形成しており、ICPホルダーによって全体を管理されています。あるDfinity機構のディベロッパーは74パーセントのICPトークンは投票ニューロン上のものではないため、ガバナンスには参入しないと述べています。
多くの仮想通貨プロジェクトとは異なり、インターネットコンピューターが初めてリリースされた時のコードはオープンリソースではありませんでした。この点はクローズリソースの場合公的に評価することはできないため、多くの物議を醸しています。Difinity機構はソースコードをリリースしたことで、いくつかの規制を受けています。プロジェクト上のオープンソースの公的性によると、オープンソースコードの一部は機構の所有資産上の問題で、ディベロッパーはコピーすることを禁じられています。
5月10日のように、機構は年末に独立データセンターを48から123に、そして1300ノードを4200にまで増やしました。また今後10年以内にDfinity機構は数百万のノードによって運営されている数千のデータセンタが新しいインターネットを開くとされています。
これらのノードは独立したデータセンターないで所有かつインストールされた標準化マシンです。上記にも述べたとおり、NNSがノードのネットワークの一部になりうることを決定しています。システムが全てのレベルにおける意思決定を管理しているため、クリティクスは当初NNSがインターネットコンピューターを凌駕する過大なパワーを保持していることを懸念していました。また、NNSがトークンホルダーと意思決定を行うコミュニティによって独占されていることは顕著となっています。
まとめ
インターネットコンピュータープロジェクトは現在ビックテックによってほぼ独占されているエコシステムやソフトウェアディベロップメントのためのプラットホームを凌駕することを目標としています。範囲内のキャパシティの中でのウェブスピード内での運営能力、セキュリティと操作不可能な環境、そしてイーサリウムやビットコインのようなオープンかつパブリックネットワークに関わらず、ユーティリティトークンや非中央集権型については疑問がまだ残っています。
インターネットコンピューターは公的にではなく、むしろ事業むけに運営されています。幸運なことに、テックカンパニーがインターネットコンピューターネットワーク上で多くのソフトウェアやアプリを開発したことで、インターネットコンピューターの公共性は非中央集権型、セキュリティー、そしてオープンネットワークの点で大いに恩恵を受けているといえるでしょう。