金融投資にはさまざまな種類が存在します。その中でも最もよく使われている投資は大まかに「所有」「貸付」「現金及び現金同等物」の3つのタイプに分けられます。本記事ではこれらのタイプを一つ一つ紹介し、実際どのような投資方法があるのかについて詳しく説明しています。
投資の種類
金融投資の3つの種類は:
- 所有: このタイプには何らかの資産の所有者または部分所有者になる金融商品が含まれます。これらの商品の中で最も一般的なものは企業の株式です。株式を購入することで企業の一部所有者となり、その企業に関連したリスクと報酬を共有します。
- 貸付: この投資タイプでは定期または満期時に支払われる固定収入と引き換えに企業、政府、または金融機関に資金を貸付けます。この投資タイプの中で最も有名なものは社債や国債です。
この貸付タイプと所有タイプの主な違いは、前者は投資先の資産または機関と投資リスクやリターンを共有しないことです。代わりに資産の運用状況に関係なく支払われる保証された固定収入を選択する事を意味します。
- 現金及び現金同等物: 3番目の投資タイプには現金と現金同等物として定義される流動性の高い金融商品の数々が含まれます。
場合によって不動産(RE)/財産は4番目の投資タイプとして分類されます。しかし多くの金融専門家は所有タイプに分類しています。また金融派生商品や各種ファンドなどの複合金融商品は、これらの2つまたは3つのタイプを混合している場合もあれば単に1つのタイプを基盤としている場合もあります。
所有タイプに属する金融商品
所有タイプに属する金融資産クラスには以下のものが含まれます:
- 株式
- 不動産
- コモディティ
- 仮想通貨
- 未公開株式
- ベンチャーキャピタル(VC)
- アンティーク & コレクターズアイテム
株式
企業の株式は所有型においても投資全般としても最も一般的な資産クラスでしょう。多くの個人投資家はポートフォリオの大部分を株式に投資しています。株式を購入することでその会社の一部所有者となり、会社の業績に応じて配当金という形で報酬を得ることができます。
不動産
不動産もまた非常に一般的な所有タイプの投資です。株式と比較すると不動産投資は長期的で通常多くの最低資本を必要とし、株式ほど流動的ではありません。不動産投資は長期的な投資リスクを最小限に抑えようとする多くの投資家の長年の選択肢となっています。
コモディティ
コモディティは人気のある所有タイプの資産です。コモディティはリスクとリターンの観点から2つの非常に異なったグループに分類できます。コモディティの一種である金、銀、プラチナなどの貴金属は長い間低リスク投資と見なされてきました。
一方、貴金属以外のコモディティは一般的にハイリスク・ハイリターンの資産クラスと見なされています。
貴金属は低リスク投資。(出典:AMGNational.com)
仮想通貨
仮想資産は比較的新しい急成長中の投資商品です。株式とは異なり、仮想通貨は必ずしも資産を発行した仮想プラットフォームの一部所有権を得ることができない場合があります。しかし、一部の仮想通貨は議決権や収益の分配を保証することでそのプラットフォームの一部所有権を共有しています。
その他の多くの仮想通貨は、単に仮想プラットフォームのサービスを利用するためのユーティリティとして使用されています。
仮想通貨はその名前にも関わらず、通常通貨や現金としてではなく資産として認識されています。
未公開株式
未公開株式とは株式公開されていない既存企業への投資を指します。通常、これらの企業は業績の良いリターンが期待できる企業です。
ベンチャーキャピタル(VC)
ベンチャーキャピタルは新しい企業やスタートアップ企業への投資です。未公開株式投資が実績のあるリターンの良い既存企業を対象とするのに対し、ベンチャーキャピタルはまだ創業期あるいは創業前の段階の企業を対象とします。
アンティーク&コレクターズアイテム
アンティークとは古くて希少なものを芸術品に理解のある人々が収集するものです。コレクターズアイテムはアンティークと似ていますが古さや希少性を必要としません。アンティークやコレクターズアイテムの多くは価値を保存するため、または後に転売し資産売却益を得るための投資として購入されます。
貸付タイプに属する金融商品
主な貸出タイプの商品は以下の通りです:
- 満期90日以上の財務省短期証券
- 財務省中期証券
- 長期国債(財務省長期証券)
- 社債
- 満期90日以上の譲渡性預金(CD)
満期90日以上の財務省短期証券
財務省短期証券は政府が個人や機関から負債を調達するために使用される米国政府による短期証券です。利回り率はないものの政府から割引価格で購入し満期になると満額で償還されるため、実質的にはある程度の利回りがある事になります。
財務省短期証券には4週、8週、13週、26週、52週の満期があります。この中では26週と52週のものが貸付タイプに分類されます。他の短期証券は現金同等物の投資タイプで何故ここではなくそちらに該当するか取り上げています。
財務省中期証券
財務省中期証券は米国の中期国債です。財務省短期証券との違いは満期の長さです。財務省中期証券の満期は2年から10年の間で財務省短期証券とは異なり利回り率が設定されており日次で変動します。
長期国債(財務省長期証券)
財務省長期証券またの名を長期国債は米国政府の債務証券の中で3番目に多く見られる種類です。10年から30年の長期投資に使われ利回り率は財務省中期証券より通常高く設定されています。
社債
社債は企業が負債を調達するために発行するものです。通常国債よりも利回り率が高く、当然ながらリスクも高まります。
満期90日以上の譲渡性預金(CD)
譲渡性預金は特定条件、利回り率、満期期間が定められた銀行の預金口座です。これらの預金は定期または満期時に支払われる固定収入と引き換えに銀行に貸付けた資金とみなされます。満期90日以上の預金は貸付タイプとみなされます。
現金及び現金同等物タイプに属する金融商品
現金及び現金同等物のような流動性の高い資産クラスは3つめの投資タイプに属します。紙の法定通貨、所有する外貨、および当座預金などの即時現金化可能な口座に保有される資金が現金そのものと定義されます。
また多くの投資商品が現金同等物に分類されます。これらの商品は通常流動性が高く90日以内に現金化が可能なものを指します。現金同等物には以下のものがあります:
- 満期90日以下の財務省短期証券
- 銀行引受手形
- 約束手形(コマーシャルペーパー)
- 満期90日以下の譲渡性預金
- MMF(マネー・マーケット・ファンド)
仮想通貨は比較的流動性の高い投資対象であるにもかかわらず、政府または政府公認の法的機関に裏付けられていないため現金及び現金同等物には分類されません。
満期90日以下の財務省短期証券
満期が4週間、8週間、13週間財務省短期証券は満期が短いため流動性が高く、貸付タイプの商品ではなく現金同等物と定義されます。
銀行引受手形(BA)
銀行引受手形は銀行が発行する文書で将来的に特定した日に支払いを保証するものです。これらは通常短期の保証であるため、流動性が高いという定義に準じます。
約束手形(コマーシャルペーパー)
約束手形(コマーシャルペーパー)は企業が短期的なキャッシュフローや資金資金繰りに対応するために発行する負債証券です。通常コマーシャルペーパーは数日、数週間、長くて数ヶ月と非常に短い満期を有します。
満期90日以下のコマーシャル・ペーパーは現金同等物の定義に準じます。
満期90日以下の譲渡性預金
通常銀行の預金口座は貸付タイプの投資とみなされますが、満期90日以下の譲渡性預金は現金同等物とみなされます。
いつでも簡単に換金できる譲渡性預金であれば例え満期が長くても該当します。しかしこのような譲渡性預金には明確でない部分が存在します。満期前に長期預金を換金すると高いペナルティが発生する場合、その資金は「簡単に換金できる」とはみなせないため現金同等物の定義には当てはまらないでしょう。
MMF(マネー・マーケット・ファンド)
マネーマーケットファンドは短期的で流動性の高い投資に特化したミューチュアルファンド(オープンエンド型の投資)の一種です。投資家は通常月に6回までファンドから引き出せるため、これらの資金は現金同等物の定義を満たす高流動性の投資とみなされます。
まとめ
金融投資は所有、貸付、現金及び現金同等物の3つのタイプに分類されます。この3つのうち平均して最も高リスクで潜在的リターンが大きいのは所有タイプの投資であり、次に貸出タイプとなります。現金及び現金同等物投資は最も低リスクですが当然ながら潜在的リターンも低くなります。
金融派生商品や各種ファンド商品など複合的あるいは複雑な金融商品を評価する際には自身の投資がどのような資産クラスに割り当てられるのかに注意する必要があります。これらの商品の多くは2種類または3種類すべての投資タイプを組み合わせて出来ています。