はじめに
- デッド・キャット・バウンスとは弱気の市場の間に一時的に市場の感情がポジティブになることであり、通常、市場の大暴落後に発生します。
- デッド・キャット・バウンスの長さに規則性はなく、正確に予測することはできません。数日で終わることもあれば、数ヶ月に及ぶ場合もあります。
ボラティリティはヘッジファンドマネージャーや個人投資家に恐怖を与える単語です。損失の潜在的リスクは大きな利益を獲得できるという事実を覆い隠すことが多いですが、ボラティリティは必ずしも悪いものではありません。自身の感情と距離を置かずに市場を分析している新人の投資家はボラティリティの影響をかなり受けます。また、デッド・キャット・バウンスはすでに下落傾向にある市場全体を上昇させるチャートパターンです。
「希望」は非常に強い感情です。下落している資産価値は気分のいいものではありませんが、緑への回復は望みある投資家を危険なポジションへと押し込む可能性があります。どのような金融市場でもボラティリティが高くなる可能性があり、不意に起こる急な価格変動は全く珍しいことではありません。資産の売買は価格変動を引き起こし、投機的なトレーダーはそれを利用して利益を得ようとします。
仮想通貨市場は非常にボラティリティが高く、時価総額はわずか1.4兆ドルと、金の世界時価総額8兆ドルや米国株式市場の28兆ドルという数字に比べれば非常に小さなものであり、まだまだ新興の市場です。仮想通貨は現在ほとんどの国で規制を受けておらず、その価格は主に需要と供給の法則によって変動しています。購入希望者が多ければ多いほど、その価格は高くなります。
ブロックチェーンや仮想通貨市場はできてから10年少ししか経っていません。まだまだ発展途上の技術であり、改善の余地は計り知れません。しかし、その安全性と規制に関してはまだ大きな懸念があり、市場の投機を引き起こしています。仮想通貨市場は、ほかの長期市場や短期市場が直面する財務状況と無縁ではありません。
下降トレンドが続いているにも関わらず、弱気の反復の底で資産を買い戻し、価格を上昇させるトレーダーがいます。しかし、その価格上昇が投機的なものであると市場が判断すると、その資産は通常、前回の安値よりもさらに下がります。これは「デッド・キャット・バウンス」と呼ばれ、市場の不確実性に起因するものです。
デッド・キャット・バウンスとは?
「デッド・キャット・バウンス」という言葉は、高いところから落とせば死んだ猫でも跳ね返るという意味で、ウォール街で使われていました。これは弱気の市場の間に一時的に市場の感情がポジティブになることを意味し、通常市場の大暴落後に発生します。
デッド・キャット・バウンスは長期にわたる下落の後、一時的に価格が回復することを言います。通常、下降トレンドは一時的に価格が回復する短期の回復期間によって中断されます。しかしこれらは一般的に誤ったシグナルであり、状況が改善していると考えてはいけません。急激な価格上昇は一時的なもので、その後もっと大きな下落が待っている可能性もあります。
デッド・キャット・バウンスの起源
この言葉は、1980年代初頭、金融危機に見舞われたイギリスで生まれました。また1985年12月、Financial TimesのジャーナリストであるHorace BragとWong Sulongも、シンガポールとマレーシアの株式市場が大きく下落した後に立ち直ったことを、この言葉を用いて表現しました。両国の経済は衰退し続け、回復したのはかなり後になってからでした。
このパターンをよりテクニカルに分析すると、デッド・キャット・バウンスは継続パターンであると考えられます。最初の跳ね返りでトレンドが反転したかのように見えますが、その後すぐに継続して価格が下落していきます。継続パターンは大きな価格変動の方向性を予測するのに利用できます。
デット・キャット・バウンスのパターンは通常、発生した後にしか確認できず、リアルタイムで検出することはほぼ不可能です。
デット・キャット・バウンスでスポット取引をするには?
デッド・キャット・バウンスは3段階に分かれて発生します。まず、資産の価格がある時期に急激に下落します。その後、その資産価値が急激に上昇し、下降トレンドが反転したかのように見えます。最後に、上昇した価格は前回の安値よりも下がって、下降トレンドを継続します。
急激な下落の後にリバウンドを期待する投資家は、強気の感情を錯覚させるデッド・キャット・バウンスの餌食になることがあります。しかしこのパターンは、市場の長期的な下落に対する反応に過ぎず、市場の根本的な変化を示すものではありません。
デッド・キャット・バウンスのパターンは多くの場合、資産が長期的に見て悪い投資であり、お金を払う価値がないことを示しています。しかし、弱気な市場における全ての回復の動きがデット・キャット・バウンスに分類されるわけではありません。価格が安定した下降トレンドで動いていて、短期的な反転の後に前回の安値を下回らない限り、デット・キャット・バウンスとは見なされません。
仮想通貨市場におけるデッド・キャット・バウンス
仮想通貨市場は、その規制されていない性質と投機的な価格変動によって常に予測不可能であり、過去に何度もデッド・キャット・バウンスが発生しています。2017年末には、ビットコインの価格は当時のICOのバブルから史上最高値の2万ドルまで上昇していました。
バブルが崩壊した時、ビットコインのコストは2万ドルから3,000ドル近くまで下落しましたが、その下落は安定したものではありませんでした。膨れ上がったビットコインの価値は、下落の過程で何度も死んだ猫のように跳ねました。
ビットコインが最終的に回復し、今年史上最高額である50万ドルまで急上昇したことは、特に2017年のICOブームへの反応を考えると、一部の人には前例がないことだったかもしれません。しかしそれは、ビットコインのバブルがいかに膨らんでいたかを示しており、それに気づいた投資家はすぐさま撤退をしました。
重要なのは、デッド・キャット・バウンスを引き起こすのは下降トレンドであり、その逆では起こり得ないということです。デッド・キャット・バウンスの発生は必ずしも先行きが暗いことを表すものではありません。下降トレンドの原因が解消され、再び強気市場に戻る可能性もあるのです。
デッド・キャット・バウンスの影響
デッド・キャット・バウンスのパターンは、下落している資産では珍しいものではなく、ファンダメンタル投資から投機的投資まで、様々な理由で発生します。
デッド・キャット・バウンスとは通常、ある資産の価格がすぐに戻ってくるという投資家の思い込みを反映したものです。通常、投資家は下落している暗号資産が底辺に達した、もしくはその基礎となる資産が過小評価されていると考えることがあります。これは、現在の価格が実際の価値を反映していないため、投資家がより多く購入することに繋がります。多くのこのような投資家が、特定の資産に飛びつくことで、価格の下落が止まるデッド・キャット・バウンスが発生します。
デイトレーダーや短期投資家が下落している資産を購入し、その日のうちの価格変動を利用して小さな利益を得ようとする投機的な動きも、デッド・キャット・バウンスの原因となります。しかし、デッド・キャット・バウンスの主な原因は、売り手が自身のポジションから退場しようとするタイミングです。特定の仮想通貨が過大評価されているように見える場合、トレーダーは価格が下がることを期待して空売りをします。
この退場により、より低い価格で買いたいと考える投資家がその仮想通貨の買い取引を活性化させる可能性があります。これは短期的な価格の上昇に繋がり、さらに多くの投資家を市場に呼び込むことでさらに短期的な価格上昇を生むという連鎖を生み出します。
仮想通貨市場の価格変動は最新のニュースや市場周辺の憶測などに大きく左右されます。否定的なアカウントは価格を下げ、肯定的なアカウントは価格の急上昇に繋がります。このようなニュースによって仮想通貨のプロジェクトに急遽関心が寄せられると、トレーダーたちはそのプロジェクトに殺到します。またこれは、トレーダーがポジションの売却を決断するまで価格の急上昇を引き起こすこともあります。
デッド・キャット・バウンスはどれくらい継続するの?
テクニカルアナリストはしばしば、市場の研究のためにデッド・キャット・バウンスの価格パターンを利用します。予測不可能な現象であるため、熟練した投資家でも習得するのは難しいです。
デッド・キャット・バウンスは明白な規則性がないため、予測するのは不可能です。これは主に気まぐれな投機やトレーディングに起因するものであり、日中の仮想通貨の価格変動のボラティリティと混同されやすいです。
さらに、デッド・キャット・バウンスの期間は定まっておらず、正確に予測することはできません。数日で終わることもあれば数ヶ月に及ぶこともあります。そのため、デッド・キャット・バウンスが発生した時点でそれを正確に見極めることは非常に困難なのです。
デッド・キャット・バウンスは悪か?
しかし、一般的な認識とは異なり、デッド・キャット・バウンスは必ずしも悪いものではありません。むしろ、ボラティリティを待望しているトレーダーにとっては大きな利益を得るチャンスでもあります。デッド・キャット・バウンスは、賢く取引すれば短期投資家と長期投資家の双方にとって非常に有益なものになります。短期投資家は小幅な上昇で利益を得ることができ、長期投資家は反転の間にショートポジションを開始することができます。
猫は必ず着地すると言われていますが、死んだ猫は必ず跳ね返ります。このために、デッド・キャット・バウンスを強気のトレンドに反転している資産と間違えないようにすることが重要です。長期投資家も短期投資家も、特にボラティリティの高い仮想通貨の領域では、デッド・キャット・バウンスがいかに厄介かを目の当たりにしてきました。
まとめ
市場の急な変動は利益を生む可能性がありますが、そのような変動を引き起こす可能性のある要素を全て把握しておく必要があります。これは長期または短期の資産に投資する際に、損失を最小限に抑え、利益を最大限にするために、十分な情報に基づいた判断をするために役立ちます。
弱気相場は厳しく、大きな損失を出した後に一時的な利益で投資家を翻弄すると、多くの投資家が崖っぷちに追い込まれてしまいます。このような状況下では冷静さを失わず、感情に流されることなく市場の動きの背後にある根本的な理由を探すことが重要です。
分散化されたリスク調整済みのポートフォリオは、市場の急激な変動からお客様の資産を直接守ることはできないかもしれませんし、デッド・キャット・バウンスの最中に投資を止めることは不可能です。しかし、市場の変動がもたらすリスクを軽減し、長期的に安定した利益を得ることができるのです。